C言語・C++で発生するコンパイラ エラー C3709の原因と対策について解説
この記事では、C言語やC++の開発環境で発生するコンパイラ エラー C3709について説明します。
__hook や __unhook を使用する際、第1引数に有効なイベントメソッド、第2引数にイベントソースオブジェクトを正しく指定する必要があり、不適切な記述がエラーの原因となります。
具体例を参照しながら、正しい実装方法を紹介します。
エラー原因の解析
__hookの構文エラー
イベントメソッドの誤った指定
__hook を使用する際、第1パラメーターには有効なイベントメソッドを指定する必要があります。
しかし、誤ってイベントメソッドではない関数や、不適切な記述で指定してしまうと、コンパイラ エラー C3709 が発生します。
例えば、以下のコードは誤ったイベントメソッドを指定している例です。
#include <iostream>
// サンプルイベントソースクラス
class EventSource {
public:
// 正しくはイベントとして定義されたメソッドが必要
__event void onEvent();
};
// サンプルイベント受信クラス
class EventReceiver {
public:
// 誤ったイベントメソッドの指定例
void incorrectHandler() {
std::cout << "Incorrect handler executed" << std::endl;
}
void HookEvents(EventSource* pSource) {
// __hookの第一引数は本来、正しいイベントメソッドへのポインタで指定する必要がある
__hook(invalidMethod, pSource, EventReceiver::incorrectHandler); // エラー C3709
}
};
int main() {
EventSource source;
EventReceiver receiver;
receiver.HookEvents(&source);
return 0;
}
上記のコードでは、__hook
の第一引数に invalidMethod
という存在しない、または正しくないイベントメソッドが指定されているため、エラーが発生します。
不適切なイベントソースオブジェクトの利用
__hook や __unhook では、第2パラメーターにイベントソースオブジェクトを渡す必要があります。
この部分で、イベントソースオブジェクトが正しくない型や不正な値の場合にも、C3709 のエラーが発生します。
具体的には、イベントソースに該当しない変数や、null ポインタ等を指定するとエラーとなります。
以下の例は、イベントソースとして不適切なオブジェクトが指定される場合のイメージです。
#include <iostream>
class EventSource {
public:
__event void onEvent();
};
class EventReceiver {
public:
void validHandler() {
std::cout << "Valid handler executed" << std::endl;
}
void HookEvents(void* pObj) {
// pObj が有効な EventSource オブジェクトでない場合、エラーが発生する
__hook(&EventSource::onEvent, static_cast<EventSource*>(pObj), EventReceiver::validHandler); // エラーの可能性あり
}
};
int main() {
int improperSource = 0; // 不適切なイベントソース
EventReceiver receiver;
receiver.HookEvents(&improperSource); // キャストにより意図しない動作となる
return 0;
}
__unhookの構文エラー
誤ったパラメーター指定によるエラー
__unhook を使用する場合も、__hook 同様に正しいパラメーター指定が求められます。
具体的には、第1引数に有効なイベントメソッド、第2引数に正しいイベントソースオブジェクト、第3引数に登録されたイベントハンドラの指定が必要です。
これらのうち、一つでも不適切な値が含まれると、コンパイラがエラー C3709 を出力します。
次の例では、__unhook のパラメーター指定が誤っているケースを示しています。
#include <iostream>
class EventSource {
public:
__event void onEvent();
};
class EventReceiver {
public:
void handler() {
std::cout << "Handler executed" << std::endl;
}
void UnhookEvents(EventSource* pSource) {
// 誤ったパラメーター指定例
__unhook(nullptr, pSource, EventReceiver::handler); // 第1引数が無効なためエラー
}
};
int main() {
EventSource source;
EventReceiver receiver;
receiver.UnhookEvents(&source);
return 0;
}
上記の例では、第1引数に nullptr
を指定しているため、正しいイベントメソッドが指定されず、エラーが発生します。
正しい記述方法
__hookの正しい使い方
有効なイベントメソッドの指定方法
__hook を使用する際は、第1引数に正しく宣言されたイベントメソッドのアドレスを指定する必要があります。
以下のサンプルコードは、正しいイベントメソッドの指定方法を示しています。
#include <iostream>
// イベントソースクラス
class EventSource {
public:
// イベントとして定義されたメソッド
__event void onEvent();
};
// イベント受信クラス
class EventReceiver {
public:
void validHandler() {
std::cout << "Valid handler executed" << std::endl;
}
void HookEvents(EventSource* pSource) {
// 正しいイベントメソッドの指定方法
__hook(&EventSource::onEvent, pSource, EventReceiver::validHandler);
}
};
int main() {
EventSource source;
EventReceiver receiver;
receiver.HookEvents(&source);
return 0;
}
この例では、&EventSource::onEvent
として正しいイベントメソッドのアドレスを渡しているため、エラーなくコンパイルされます。
適切なイベントソースオブジェクトの利用方法
イベントソースオブジェクトは、__hook および __unhook の第2引数において、正しい型のオブジェクトを指定する必要があります。
正しい使用方法は、イベントソースとして設計されたクラスのインスタンスを渡すことです。
以下は、正しいイベントソースオブジェクトの利用方法を示す例です。
#include <iostream>
// イベントソースクラス
class EventSource {
public:
__event void onEvent();
};
class EventReceiver {
public:
void validHandler() {
std::cout << "Valid handler executed" << std::endl;
}
void HookEvents(EventSource* pSource) {
// 正しいイベントソースオブジェクトとして渡す
__hook(&EventSource::onEvent, pSource, EventReceiver::validHandler);
}
};
int main() {
EventSource source; // 正しいイベントソースインスタンス
EventReceiver receiver;
receiver.HookEvents(&source);
return 0;
}
__unhookの正しい使い方
正しいイベント指定の実装方法
__unhook を使用する際も、__hook と同様に、正しいイベントメソッドとイベントソースオブジェクトを指定する必要があります。
正しい実装例は下記の通りです。
#include <iostream>
// イベントソースクラス
class EventSource {
public:
__event void onEvent();
};
class EventReceiver {
public:
void validHandler() {
std::cout << "Handler executed correctly" << std::endl;
}
void UnhookEvents(EventSource* pSource) {
// 正しいイベントメソッドとイベントソースオブジェクトの指定
__unhook(&EventSource::onEvent, pSource, EventReceiver::validHandler);
}
};
int main() {
EventSource source;
EventReceiver receiver;
receiver.UnhookEvents(&source);
return 0;
}
この例では、全てのパラメーターが正しく指定されているため、エラーなく正常に __unhook を利用できます。
修正例の解説
不正なコード例の詳細分析
先に示した不正なコード例では、以下の点が問題となっています。
- __hook の第1引数に存在しないイベントメソッド
(invalidMethod
やnullptr)
を指定している点 - __hook や __unhook の第2引数に、正しいイベントソースではないオブジェクトや不適切な型のオブジェクトを渡している点
これらの誤りは、イベントハンドリングの仕組みを正しく利用するための基本的な仕様に反しているため、コンパイラがエラーを返します。
エラーコード C3709 は、正しいイベント指定の構文が守られていないことを明確に示しています。
修正後のコード例の確認ポイント
修正後のコード例では、以下の点に注意する必要があります。
- __hook および __unhook の第1引数には、正しいイベントメソッドへのポインタが指定されているか確認します。
- 第2引数には、適切なイベントソースオブジェクトが指定されているかをチェックします。
- イベントハンドラとして登録した関数が、正しい形式(戻り値や引数など)で定義されているかを確認してください。
以下は、上記の確認ポイントを踏まえた修正後のコード例になります。
#include <iostream>
// イベントソースクラス
class EventSource {
public:
__event void onEvent();
};
class EventReceiver {
public:
void validHandler() {
std::cout << "Correct handler executed" << std::endl;
}
void HookEvents(EventSource* pSource) {
// 修正後の正しい __hook の指定
__hook(&EventSource::onEvent, pSource, EventReceiver::validHandler);
}
void UnhookEvents(EventSource* pSource) {
// 修正後の正しい __unhook の指定
__unhook(&EventSource::onEvent, pSource, EventReceiver::validHandler);
}
};
int main() {
EventSource source;
EventReceiver receiver;
receiver.HookEvents(&source);
// 本来のイベントが発生するタイミングで handler が実行される
// イベント解除処理も正しく行われることを確認できる
receiver.UnhookEvents(&source);
return 0;
}
このコード例では、全てのパラメーターが正しく指定されているため、エラー C3709 は発生せず、イベントの登録と解除が正しく行われることが確認できます。
まとめ
本記事では、C言語およびC++におけるコンパイラ エラー C3709 の原因と対策を解説しました。
__hook および __unhook の使用時、イベントメソッドとイベントソースオブジェクトの指定が正しくないとエラー発生の原因となることが明らかです。
正しい記述方法とコード例を通じ、正確なイベント指定方法を理解できます。