コンパイラエラー

Visual C++ コンパイラエラー C3672 の原因と対策について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

コンパイラエラー C3672は、擬似デストラクター式を単独で利用した場合に発生します。

C++ではデストラクターの呼び出しは関数呼び出しの一部として正しく記述する必要があります。

正しい記述例は、pT->T::~T()のように括弧を含む形になります。

目次から探す

エラーの基本情報
- コンパイラエラー C3672 の概要
- 発生条件と使用状況
エラーの原因解説
- 擬似デストラクター式の使用方法
- 誤った呼び出し方法とその影響
コード例による詳細解説
- 誤った記述例の説明
- 正しい記述方法との比較
対策方法と実装例
- 対応手法のポイント
- コード修正例の具体的説明
ビルド時の確認事項
- コンパイル環境の設定と留意点
- エラー再発防止の確認手順
まとめ

エラーの基本情報

コンパイラエラー C3672 の概要

Visual C++で発生するコンパイラエラー C3672は、擬似デストラクター式が正しく使用されなかった場合に表示されるエラーです。

擬似デストラクター式は、本来、関数呼び出しの一部としてのみ利用できる特別な記法であり、その使用方法に誤りがあるとコンパイラが正しくデストラクターを呼び出せません。

たとえば、擬似デストラクター式が単独で記述された場合や、関数呼び出しの一部と認識されない場合にこのエラーが発生します。

発生条件と使用状況

エラー C3672は、主に以下の状況で発生します。

擬似デストラクター式が関数呼び出しの外側に記述された場合
正しい構文に従っていない場合

具体的には、次のような記述が原因です。

&p->T::~T; のように、アドレス演算子と共に使用された場合
呼び出し式の一部として認識されず、デストラクター呼び出しが誤って記述された場合

このエラーは、クラスのデストラクターやテンプレートを利用したコードで発生することが多く、正しい記述ルールを守る必要がある状況です。

エラーの原因解説

擬似デストラクター式の使用方法

擬似デストラクター式は、オブジェクトのデストラクターを明示的に呼び出すために使われる特別な表現です。

C++標準では、通常、オブジェクトがスコープを抜ける際に自動的に呼び出されるデストラクターを、必要に応じて手動で呼び出すために使われます。

例えば、テンプレート関数内で特定のタイミングでデストラクターを呼び出したい場合などに利用されます。

使用例としては、次のように書く方法が示されます。

誤った呼び出し方法とその影響

誤った呼び出し方法としては、関数呼び出しの一部として認識される形でない擬似デストラクター式の記述が挙げられます。

具体的には、以下のようなコードは誤りです。

&p->T::~T;

この記述は、擬似デストラクター式が単独の式として評価されるため、コンパイラが正しいデストラクター呼び出しと認識できず、結果としてエラー C3672が発生します。

正しくは、呼び出し式の一部として記述する必要があります。

誤った記述により、プログラムが本来意図した動作を行わなかったり、リソースの解放が適切に行われなかったりする影響が考えられます。

コード例による詳細解説

誤った記述例の説明

以下に誤った記述例を示します。

コメントで各部分の説明を入れておりますので、正確に把握できるようになっています。

#include <iostream>
// テンプレート関数 f
template<typename T>
void f(T* pObj) {
    // 以下の記述は、擬似デストラクター式の使用方法として誤っています。
    // コンパイラ エラー C3672 が発生します。
    &pObj->T::~T;  // 誤った記述例
    // 正しい呼び出し方は、呼び出し式の一部として記述することです。
    pObj->T::~T(); // OK
}
int main() {
    int value = 42;
    f(&value);
    return 0;
}

(このコードは、コンパイラ エラー C3672 を発生させる部分と正しい呼び出しの例が混在しているため、
エラーがあるコード部分をコメントアウトすると正常に実行されます。)

正しい記述方法との比較

正しい記述方法では、擬似デストラクター式を関数呼び出しの一部として使用することが求められます。

たとえば、上記の例の中で正しい記述方法は以下のようになっています。

誤り: &pObj->T::~T;
正解: pObj->T::~T();

正しい記述方法では、デストラクターを呼び出すための式として pObj->T::~T(); を使用することで、コンパイラが意図どおりにデストラクターの呼び出しを解釈するようになります。

これにより、リソース解放などの処理が問題なく実行されることが期待できます。

対策方法と実装例

対応手法のポイント

エラー C3672を解消するための対応手法は、主に記述ミスを避けることに集中しています。

以下のポイントに注意してください。

擬似デストラクター式は関数呼び出しの一部として使用する。
誤った記述、特にアドレス演算子と組み合わせた記述を避ける。
テンプレートやクラスの実装時に、擬似デストラクター式の正しい使い方を確認する。

関数呼び出し内での正しいデストラクター呼び出し

関数内でデストラクターを明示的に呼び出す場合は、次のような形を用います。

各オブジェクトに対して、正しいデストラクター呼び出しの形式で記述することで、予期しないエラー発生を防ぎます。

この方法は、特にテンプレート関数などの汎用コードで有効です。

コード修正例の具体的説明

次に、エラー C3672が発生するコード例と、その修正例を具体的に示します。

修正前後のコードを比較することで、理解が深まるようにしています。

修正前のコード(エラーが発生する例):

#include <iostream>
template<typename T>
void f(T* pObj) {
    // 誤った記述：擬似デストラクター式が正しく使用されていません。
    &pObj->T::~T;  // ここでエラー C3672 が発生します。
}
int main() {
    int value = 100;
    f(&value);
    return 0;
}

修正後のコード(正しい記述例):

#include <iostream>
template<typename T>
void f(T* pObj) {
    // 正しい記述：呼び出し式の一部としてデストラクターを明示的に呼び出します。
    pObj->T::~T();
    // コメント：必要であれば、追加の処理をここに記述してください。
}
int main() {
    int value = 100;
    f(&value);
    std::cout << "正しい記述によりエラーは発生しません。" << std::endl;
    return 0;
}

正しい記述によりエラーは発生しません。

この修正例では、誤った擬似デストラクター式の記述を削除し、正しい形式でデストラクターを呼び出しています。

結果として、コンパイラエラー C3672が解消され、プログラムが意図したとおりに動作するようになります。

ビルド時の確認事項

コンパイル環境の設定と留意点

Visual C++を利用する場合、コンパイル環境が正しく設定されているか確認することが大切です。

特に以下の点に留意してください。

Visual Studioのバージョンが最新の状態かどうか
プロジェクトのプロパティでC++標準やテンプレートの取り扱いに関する設定が正しいか
エラー発生箇所の周辺で、C++の標準に従った記述となっているか

また、エラーが発生した際は、コンパイルエラーメッセージを確認し、どの部分が原因になっているか明確に把握することが有効です。

エラー再発防止の確認手順

エラーの再発を防止するために、以下の手順を確認してください。

コードレビュー時に、擬似デストラクター式の記述が適切であるかを確認する
コンパイル時に細かい警告も無視せず、警告レベルを上げて確認する
テストケースを複数のプラットフォームで実行し、環境依存の挙動がないか確認する
テンプレートやクラス実装時に、擬似デストラクターの使用パターンをドキュメント化し、チーム内で共有する

これらの確認手順を実施することで、将来的なエラー発生リスクを低減できるようになります。

まとめ

この記事では、擬似デストラクター式を用いた際に発生するVisual C++コンパイラエラー C3672の概要、原因、誤った記述例と正しい記述方法、及びエラー解消のための具体的な対策方法と実装例について学べました。

さらに、ビルド時の注意事項や環境設定のポイントを確認することで、再発防止にも役立つ内容となっています。