コンパイラエラー

C言語 C3656エラーについて解説：override指定子の重複使用と修正方法

2025-03-29更新日: 2025-03-29

エラー C3656 は、C++のコード中で明示的なoverride指定子が重複して使用されたときに表示されます。

例えば、関数定義でoverrideを2回記述するとこのエラーが発生します。

適切に修正する際は、override指定子は1回のみ使用するようにしてください。

目次から探す

エラーの基本情報
- C3656エラーの概要
- エラー発生の背景
オーバーライド指定子の役割と問題点
- override指定子の基本的な使い方
- 重複記述によるエラーの発生原因
エラー修正の方法
参考情報
- Microsoft公式ドキュメントの参照ポイント
- 関連する技術情報の補足説明
まとめ

エラーの基本情報

C3656エラーの概要

C3656エラーは、C++においてoverride指定子が重複して記述される場合に発生するコンパイラエラーです。

override指定子は、基底クラスの仮想関数を派生クラスで正しくオーバーライドするために使用するもので、1回だけ指定することが求められます。

重複して記述すると、不要な冗長さとしてエラーが発生します。

エラー発生の背景

C++ではオーバーライドを正しく記述することで、継承関係のミスやシグネチャの誤りを防止する仕組みが用意されています。

しかし、override指定子を意図せず複数回書いてしまうと、コンパイラは1つの関数に対して複数の明示的なオーバーライド指定があると判断してエラーを報告します。

これは、コードの可読性や保守性を高めるための設計上の制約によるものです。

オーバーライド指定子の役割と問題点

override指定子の基本的な使い方

override指定子は、派生クラスで基底クラスの仮想関数をオーバーライドする際に、明示的にその意図を示すために使用します。

これにより、シグネチャが一致しない場合などにコンパイラによるエラー検出が行われ、予期しない動作を防ぐことができます。

オーバーライドすべき関数に対して必ず1回だけ指定する必要があります。

重複記述によるエラーの発生原因

override指定子を関数宣言に2回以上書くと、コンパイラは規格に反する記述と判断し、エラーを発生させます。

基本的には使用者が意図せずミスって複数回記述してしまうことが、今回のC3656エラーの原因となっています。

コンパイルエラーの詳細な説明

コンパイラは各仮想関数で1回のoverride指定子の使用を想定しています。

重複記述がある場合、コンパイル時に

$‘override’ : オーバーライド指定子を繰り返すことはできません$

というメッセージが表示されます。

これは、override指定子が正しく1回だけ使用されるべきであるという言語仕様に基づいています。

実例のコード解析

以下は、override指定子が重複して記述された例です。

エラーが発生する箇所として参考になるコード例を示します。

#include <iostream>
using namespace std;
// 基底クラスの定義
struct Base {
    virtual int f() = 0;
};
// 派生クラスでのオーバーライド
struct Derived : public Base {
    // 以下の行はoverride指定子が重複して記述されており、コンパイルエラー C3656 が発生します
    int f() override override { return 0; }
};
int main() {
    // 本来はオーバーライドが正しく記述されていないため、こちらのコードは正常に実行できません
    return 0;
}

このサンプルコードでは、Derived::f()に対して2回のoverrideが記述されているため、コンパイルエラーが発生します。

エラー修正の方法

正しいoverride指定子の使用例

エラーを解消するためには、重複しているoverride指定子のうち1つを削除し、関数宣言に対して1回だけ指定する必要があります。

以下は、正しく記述した例です。

修正前と修正後のコード比較

以下の表は、エラー発生前とエラー修正後のコードの違いを示しています。

修正前:
- 派生クラスの関数定義にoverrideが2回指定されている。
修正後:
- override指定子が1回のみ記述される。

修正前と修正後のサンプルコード

修正前(エラー発生例)

#include <iostream>
using namespace std;
// 基底クラスの定義
struct Base {
    virtual int f() = 0;
};
// 派生クラスでのオーバーライド(エラー例)
// 以下のコードは、override指定子が2回指定されるため、コンパイルエラーが発生します。
struct DerivedError : public Base {
    int f() override override { return 0; }  // コンパイルエラー C3656
};
int main() {
    // エラーコードのため、実行は想定されていません
    return 0;
}

修正後(正しい例)

#include <iostream>
using namespace std;
// 基底クラスの定義
struct Base {
    virtual int f() = 0;
};
// 派生クラスでのオーバーライド(正しい例)
// override指定子が1回のみ記述されています。
struct Derived : public Base {
    int f() override { return 0; }
};
int main() {
    Derived obj;
    // 関数f()が正しくオーバーライドされているため、0が出力されます
    cout << obj.f() << endl;
    return 0;
}

下記は、修正後のサンプルコードを実行した際の出力結果です。

コード変更時の注意点

コードを修正する際には、以下の点に注意してください。

明示的なoverride指定子は各仮想関数につき1回のみ記述すること。
他のキーワードやコメントと混同せず、正確に1回のみ記述するようにすること。
コンパイラが出力するエラーメッセージの内容を確認し、重複記述が原因であることを把握して修正すること。

参考情報

Microsoft公式ドキュメントの参照ポイント

Microsoft公式ドキュメントの「コンパイラエラー C3656」のページには、エラー内容の詳細な説明と、なぜoverride指定子が1回のみ必要なのかが記載されています。

エラー解決の際の参考情報として、公式ページを参照することが推奨されます。

まとめ

この記事では、C3656エラーの概要と発生背景を解説し、override指定子の正しい使い方と重複記述によるエラーの原因、修正方法について詳しく説明しました。

サンプルコードを通じて、正しい記述方法を理解することで、コンパイルエラーの解消やコードの保守性向上につながることがわかります。