C言語 コンパイラエラー C3345 の原因と対策について解説
C3345は、モジュールの識別子に無効な文字が含まれている場合に発生するエラーです。
例えば、モジュール属性のnameパラメーターに空白やその他の無効な文字が入っていると、このエラーが発生します。
識別子は、最初の文字がアルファベット、アンダースコア、または高位ANSI文字で始まり、続く文字は英数字やアンダースコアとする必要があります。
エラー解消には、識別子に無効な文字が含まれないよう修正します。
エラー原因と識別子のルール
このセクションでは、識別子に関する基本的な規則と、無効な文字が混入した場合に発生するエラーの原因について解説します。
モジュール名や変数名など、プログラム内で使用する名称の取り扱いは、正しい規則に従う必要があるため、注意が必要です。
識別子の基本規則
識別子は、プログラム内の変数、関数、モジュールなどの名称として使われます。
C言語やC++では、識別子は以下の基本規則に沿って作成されることが要求されます。
始めの文字と使用可能な文字
識別子の最初の文字は、英字(A~Z、a~z)、またはアンダースコア(_)でなければなりません。
最初の文字以降には、英数字、アンダースコア、または高位ANSI文字が使用可能です。
例えば、次のような識別子は正しい規則に従っています。
moduleName
_internalValue
M123
もし、数字から始めたり、空白や記号を含んでいたりすると、コンパイラがエラーを出力します。
識別子に関しては、厳格な規則が存在するため、小さなミスでもエラーの原因となります。
高位ANSI文字の役割
高位ANSI文字は、コードページによって定義された特殊文字等を含んでおり、日本語環境などでも見かける場合があります。
これらの文字は、最初の文字およびその後に使用することも可能ですが、使用する環境によっては一部のコンパイラで問題が発生する可能性もあります。
一般的には、国際化対応のプログラムを書く場合に注意が必要です。
無効な文字混入の事例
識別子に空白や記号などの無効な文字が混入すると、コンパイラエラーが発生します。
特に、モジュール属性で使用される識別子は、名前としてそのまま使用されるため、見落としがちな空白や特殊文字が原因となるケースが多く見受けられます。
空白などの禁止文字の影響
識別子に空白が含まれている場合、コンパイラはこれを無効な文字として認識します。
たとえば、属性指定の際にname="My Library"
というように空白が含まれると、エラーC3345が発生します。
正しい識別子は空白を含まず、name="MyLibrary"
のように記述する必要があります。
以下は、空白が含まれている場合の誤った例です。
// 誤った例:識別子に空白が含まれているためエラーが発生する
#include <stdio.h>
int main(void) {
// "my Variable"という識別子は無効なため、コンパイルエラーが発生する
int my Variable = 10;
printf("%d\n", my Variable);
return 0;
}
<コンパイルエラー: 'my Variable'は無効な識別子です>
発生ケースの詳細
特にモジュール属性を使用する場合、識別子の指定ミスはエラーC3345の原因として頻繁に発生します。
ここでは、エラー発生の具体的なケースとコード例を示します。
モジュール属性でのエラー発生
モジュール属性では、module
などのキーワードを使ってモジュール名などの設定を行いますが、識別子に無効な文字が含まれるとコンパイルエラーが発生します。
属性指定の際は、正しい形式の識別子を用いる必要があります。
C言語におけるコード例
C言語では、モジュール属性そのものを直接利用する機会は少ないですが、同様の識別子ルールは変数名や関数名など、全般に適用されます。
以下は、識別子に空白が混入している場合のコード例です。
#include <stdio.h>
// 誤った識別子を使用している例
int my ModuleFunction(void) { // "my ModuleFunction"に空白が含まれている
return 0;
}
int main(void) {
// コンパイラエラーが発生するため、下記の関数呼び出しは実行できない
int result = my ModuleFunction();
printf("Result: %d\n", result);
return 0;
}
<コンパイルエラー: 識別子 'my ModuleFunction' に無効な文字が含まれています>
識別子の指定ミスの具体例
実際にモジュール属性を利用する場合、たとえば次のような記述で指定ミスが起こることがあります。
誤った指定:
// C++の例: 識別子に空白が含まれる
[module(dll, name="My Library", version="1.2", helpfile="MyHelpFile")]
class ModuleClass {
public:
BOOL WINAPI DllMain(DWORD dwReason, LPVOID lpReserved) {
// 独自の処理
return true;
}
};
正しくは、識別子に空白を含まないように記述する必要があります。
// 修正例: 識別子の空白を削除
[module(dll, name="MyLibrary", version="1.2", helpfile="MyHelpFile")]
class ModuleClass {
public:
BOOL WINAPI DllMain(DWORD dwReason, LPVOID lpReserved) {
// 独自の処理
return true;
}
};
エラー対策の手順
識別子に関するエラーを解消するための手順について、正しい命名規則の適用方法やコード修正の比較、コンパイル・検証方法について解説します。
識別子修正のポイント
エラー原因となる識別子の指定ミスを防ぐため、正しい命名規則を理解し、見直しを行う必要があります。
正しい命名規則の適用
正しい識別子は以下のようなルールに従う必要があります。
- 最初の文字は英字またはアンダースコアであること
- 2文字目以降は英数字、アンダースコア、または高位ANSI文字であること
- 空白や記号などの無効な文字を含まないこと
例えば、誤って"My Library"
と指定してしまった場合は、正しく"MyLibrary"
と記述することで、エラーを防ぐことができます。
修正前後の比較
以下は、識別子修正前後の比較例です。
修正前
[module(dll, name="My Library", version="1.2", helpfile="MyHelpFile")]
class ModuleClass {
public:
BOOL WINAPI DllMain(DWORD dwReason, LPVOID lpReserved) {
return true;
}
};
修正後
[module(dll, name="MyLibrary", version="1.2", helpfile="MyHelpFile")]
class ModuleClass {
public:
BOOL WINAPI DllMain(DWORD dwReason, LPVOID lpReserved) {
return true;
}
};
上記のように、識別子中の空白を削除することでエラーは解消されます。
修正前後のコード比較表は次の通りです。
- 誤った識別子:
"My Library"
- 正しい識別子:
"MyLibrary"
コンパイルと検証方法
正しい識別子に修正した後は、必ずコンパイルおよび動作検証を行い、修正が正しく適用されているかを確認します。
修正後のコンパイル確認
修正を行った後、まずはコンパイラでエラーが解消されるかを確認します。
標準のコンパイルコマンドを使用し、エラーが出ないことをチェックしてください。
例えば、C言語の場合はコマンドラインから次のようにコンパイルできます。
gcc -o program program.c
また、C++の場合は、Visual Studioのコンパイラやgcc/g++を使用してコンパイルしてください。
動作テストの実施ポイント
コンパイルエラーが解消された後は、実際にプログラムが正しく動作しているかをテストします。
以下は、C言語での動作確認のサンプルコードです。
#include <stdio.h>
// 修正後の正しい識別子を使用した例
int myModuleFunction(void) { // 識別子内に空白がない
return 42;
}
int main(void) {
int result = myModuleFunction();
// 結果を表示するためのテストコード
printf("Result: %d\n", result);
return 0;
}
Result: 42
このように、修正後はコンパイルエラーが発生せず、想定通りの結果が表示されれば、問題が解決されたことを確認できます。
まとめ
本記事では、C言語およびC++で発生するエラーC3345の原因となる識別子の不正使用について解説しました。
始めの文字や使用可能な文字、特に空白や無効な記号の影響を確認し、正しい命名規則を適用することの重要性が理解できる内容です。
コード例を通して、認識ミスとその修正方法、コンパイル・動作確認の手順が分かりやすく示されています。