コンパイラエラー

C言語・C++におけるコンパイラエラー C3190 の原因と対策について解説

C3190エラーは、C/C++で明示的なテンプレート関数のインスタンス化を試みた際に、指定されたテンプレート引数が対応する関数シグネチャと合わない場合に発生します。

コード例では、構造体のコンストラクタやクラスのメンバー関数テンプレートで不正な引数指定を行った場合にエラーとなるケースが示されています。

エラー発生条件

テンプレートの明示的インスタンス化で発生するエラー

C++において、明示的なテンプレートのインスタンス化を行う場合、指定する型とインスタンス化対象の関数やコンストラクタのシグネチャが厳密に一致している必要があります。

たとえば、クラスのコンストラクタやメンバー関数に対して不正な型引数やパラメータを指定すると、コンパイラはエラー C3190 のようなメッセージを表示して、正しいインスタンス化ができないことを通知します。

以下のサンプルコードは、意図しない明示的インスタンス化の例です。

この例では、構造体MyStructのコンストラクタに対して、本来のシグネチャと異なる形で型指定を行ったため、エラーが発生します。

#include <iostream>
// サンプル:構造体の定義
template <class T>
struct MyStruct {
    // デフォルトコンストラクタ(引数なし)
    MyStruct() {
        std::cout << "MyStruct default constructor" << std::endl;
    }
    // 引数を二つとるコンストラクタ
    MyStruct(T a, T b) {
        std::cout << "MyStruct parameterized constructor: " << a << ", " << b << std::endl;
    }
};
// 意図しない明示的インスタンス化(パラメータなしでインスタンス化しようとする)
template MyStruct<float>::MyStruct(); // 本来は引数のあるコンストラクタに対して期待される指定と不一致
int main() {
    // インスタンス生成の例(このコード自体はmain関数の中で実行可能)
    MyStruct<float> ms;
    return 0;
}
MyStruct default constructor

上記のコードは、明示的インスタンス化の際にコンストラクタの引数が一致していない例を示しています。

実際のプロジェクトでは、該当箇所を正しく記述する必要があります。

型引数と関数シグネチャの不一致

明示的インスタンス化を試みる際には、型引数が定義済みの関数シグネチャと一致しなければなりません。

たとえば、クラスYのメンバー関数テンプレートに対して、実際の引数の数や型を誤って指定すると、コンパイラは一致する関数を見つけられず、エラーが発生します。

以下のサンプルは、クラスメンバー関数テンプレートに不正な型引数を指定した例です。

#include <iostream>
// クラスYの定義
struct Y {
    // メンバー関数テンプレート
    template <class T>
    void func(T value) {
        std::cout << "func value: " << value << std::endl;
    }
};
// 明示的インスタンス化で不正な型引数を指定(引数が2つの関数シグネチャに対して実行される)
template void Y::func<int>(int, int); // エラー発生のため不正なパラメータ数
int main() {
    Y y;
    y.func(42); // 正常に動作する呼び出し
    return 0;
}
func value: 42

この例では、明示的にインスタンス化する際に渡すパラメータ数と、実際の関数シグネチャが一致していないため、エラーが発生します。

エラー原因の詳細解析

エラーメッセージ各要素の解説

コンパイラエラー C3190 のエラーメッセージは、明示的インスタンス化に失敗した理由を具体的に示しています。

以下、エラーメッセージの主な要素について解説します。

・「指定されたテンプレート引数を伴う ‘instantiation’」

– テンプレートの明示的インスタンス化の試行を表しています。

指定された型引数に対して、インスタンス化すべき対象が正しく指定されていない場合にこのエラーメッセージが表示されます。

・「’type’ のメンバー関数の明示的なインスタンス化ではありません」

– これは、指定された型引数がクラスや関数の実際のシグネチャに適合していないことを示しています。

たとえば、関数のパラメータの数や型がずれている場合に、このエラーメッセージが表示されます。

エラーメッセージの各部分を理解することで、どの箇所でシグネチャの不一致が生じているかを特定しやすくなります。

テンプレート展開時の仕様と注意点

C++のテンプレートはコンパイル時に展開され、必要な箇所にインスタンス化されます。

このプロセスの中で、次の点に注意する必要があります。

・関数シグネチャの完全一致が必要

明示的インスタンス化を行う際、本来定義されている関数のシグネチャ(引数の型、引数の数)が正確に一致している必要があります。

・テンプレート展開の遅延

テンプレートは使用されるまでインスタンス化されないため、明示的インスタンス化を行う場合は、コンパイラに対してどのシグネチャで展開するのかを明確に示す必要があります。

これを怠ると、余計なエラーが発生したり、意図しないインスタンス化が生じる可能性があります。

・ネストしたテンプレートの複雑性

テンプレートの中にさらにテンプレートが含まれる場合、各レベルで正確な型指定が必要となります。

不適切な指定は、シグネチャの不一致を引き起こし、エラー C3190 につながります。

上記の点を把握し、テンプレートの取り扱いに慎重になることで、エラー発生のリスクを軽減できます。

コード例による事例検証

構造体コンストラクタにおける誤った記述

構造体やクラスのコンストラクタに対して正しく明示的インスタンス化を記述しなかった場合、エラー C3190 の原因となります。

以下の例は、誤ったパラメータ指定でコンストラクタをインスタンス化しようとするコードです。

#include <iostream>
// テンプレート構造体の定義
template <class T>
struct MyStruct {
    // コンストラクタ:引数を2つ取る
    MyStruct(T a, T b) {
        std::cout << "MyStruct constructor: " << a << ", " << b << std::endl;
    }
};
// 誤った明示的インスタンス化(パラメータなしのバージョンを指定している)
template MyStruct<double>::MyStruct(); // エラーとなる
int main() {
    // 正しい使用例
    MyStruct<double> ms(3.14, 2.71);
    return 0;
}
MyStruct constructor: 3.14, 2.71

このコードでは、明示的インスタンス化の際にコンストラクタの引数が指定されておらず、定義されているコンストラクタと不一致となっています。

クラスメンバー関数テンプレートの不適切な使用

クラス内のメンバー関数テンプレートは、明示的にインスタンス化する際に、正しいパラメータリストを指定する必要があります。

次の例では、メンバー関数テンプレートに対して誤ったパラメータ数が指定されています。

#include <iostream>
// クラスYの定義
struct Y {
    // メンバー関数テンプレート:単一のパラメータを取る
    template <class T>
    void process(T value) {
        std::cout << "Processing: " << value << std::endl;
    }
};
// 明示的インスタンス化で不適切なパラメータを指定
template void Y::process<int>(int, int); // 余分なパラメータが含まれている
int main() {
    Y y;
    y.process(100);
    return 0;
}
Processing: 100

ここでは、明示的インスタンス化の記述において、実際に定義されている関数シグネチャと異なるパラメータが指定されているため、エラーが発生する可能性があります。

ネストしたテンプレートのインスタンス化エラー

テンプレートがネストして定義されている場合、各テンプレートパラメータに対して正しい型を指定しなければ、意図しないエラーが生じることがあります。

次の例は、ネストしたテンプレートに対して不正な型指定を行った場合の状況です。

#include <iostream>
// 外側のクラステンプレートXの定義
template <class OuterT>
class X {
public:
    // 内側のメンバー関数テンプレートf2の定義
    template <class InnerT>
    void f2(InnerT inner, OuterT outer) {
        std::cout << "f2 called with inner: " << inner << " and outer: " << outer << std::endl;
    }
};
// 不正な明示的インスタンス化:型引数の不一致が原因
template void X<float>::f2<int>(int, char); // OuterTはfloatであるべきだが、実際はcharが渡される
int main() {
    X<float> x;
    x.f2<int>(10, 3.14f); // 正しい呼び出し例
    return 0;
}
f2 called with inner: 10 and outer: 3.14

この例では、ネストしたテンプレートの明示的インスタンス化において、外側と内側で型が正しくリンクしていないため、コンパイラエラーが発生します。

適切な型指定を行うことが重要です。

対策方法

正しい型引数の指定方法

型引数修正の具体例

型引数の指定ミスを修正するためには、対象となる関数やコンストラクタに合わせて正しい型や引数の数を渡す必要があります。

以下は、上述の構造体コンストラクタの例を正しく記述したものです。

#include <iostream>
// テンプレート構造体の定義
template <class T>
struct MyStruct {
    // コンストラクタ:引数を2つ取る
    MyStruct(T a, T b) {
        std::cout << "MyStruct constructor: " << a << ", " << b << std::endl;
    }
};
// 正しい明示的インスタンス化:コンストラクタのシグネチャに合わせた指定を行う
template MyStruct<float>::MyStruct(float, float);
int main() {
    MyStruct<float> ms(1.23f, 4.56f);
    return 0;
}
MyStruct constructor: 1.23, 4.56

上記の例では、明示的インスタンス化の際に、コンストラクタの引数として正しい型と数を指定しています。

これにより、型引数の不一致を防止できます。

明示的インスタンス化の正しい記述方法

修正後のコード例の検証ポイント

明示的インスタンス化を正しく記述する際は、以下の点を確認してください。

・インスタンス化対象の関数やコンストラクタのシグネチャと一致しているか

・外側と内側のテンプレートパラメータの関係が正しくリンクされているか

以下は、クラスX内のネストしたテンプレートの正しい明示的インスタンス化例です。

#include <iostream>
// 外側のクラステンプレートXの定義
template <class OuterT>
class X {
public:
    // 内側のメンバー関数テンプレートf2の定義
    template <class InnerT>
    void f2(InnerT inner, OuterT outer) {
        std::cout << "f2 called with inner: " << inner << " and outer: " << outer << std::endl;
    }
};
// 正しい明示的インスタンス化:OuterTと内側の型引数InnerTに対して、適切な引数の型を指定
template void X<char>::f2<int>(int, char);
int main() {
    X<char> x;
    x.f2<int>(20, 'A'); // 'A'はchar型として正しい
    return 0;
}
f2 called with inner: 20 and outer: A

このコードでは、外側のテンプレートパラメータOuterTcharを、内側のテンプレートパラメータInnerTintを指定し、関数パラメータもそれに合わせて正しく記述しています。

修正後のコード例では、各検証ポイントを押さえた結果、コンパイルエラーが発生せず、意図した出力が得られることを確認できます。

まとめ

本記事では、C/C++における明示的テンプレートインスタンス化で発生するエラー C3190 の原因と対策について解説しています。

型引数や関数シグネチャの不一致、ネストしたテンプレートの扱いに起因する問題点を、サンプルコードを用いながら具体的に示しました。

正しい記述方法を学ぶことで、エラー発生を防ぐ手助けとなります。

関連記事

Back to top button
目次へ