コンパイラエラー

C言語におけるコンパイラエラー C3139 の原因と対策について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

エラーC3139は、C言語やC++でコードを記述する際に、export属性を空のユーザー定義型に適用したときに発生します。

ユーザー定義型には必ずメンバーが必要となるため、メンバーがない状態でexport属性をつけるとコンパイルエラーとなります。

メンバーを追加するなどして、適切な型定義に修正してください。

目次から探す

エラーC3139の発生原因
- export属性の役割と仕様
- 空のユーザー定義型が引き起こす問題
コード例による検証
- 再現可能なコードサンプル
エラー対策と修正方法
- ユーザー定義型へのメンバー追加方法
- export属性の正しい適用方法
開発環境での確認ポイント
- IDEやコンパイラ設定におけるチェック項目
- エラー再発防止の実践的注意点
まとめ

エラーC3139の発生原因

エラーC3139は、export属性を空のユーザー定義型(UDT)に対して適用した際に発生することが知られています。

このエラーは、空のUDTに対して外部に公開する目的でexport属性を使用すると、コンパイラがその型が意味を持たないものと判断し、エラーとして警告する仕組みとなっています。

export属性の役割と仕様

export属性は、ユーザー定義型や関数、変数などをモジュール外の利用者に公開するために設定される属性です。

この属性を設定することで、ライブラリやCOMコンポーネントなどで型情報を適切にエクスポートし、他のモジュールやプログラムと連携できるようにする狙いがあります。

たとえば、Windows環境でCOMを利用する場合、型情報を外部に公開して利用可能にするためにexport属性が活用されることがあります。

重要なのは、export属性を適用するユーザー定義型には、最低限でも何らかのメンバーが含まれている必要があるという点です。

空のユーザー定義型が引き起こす問題

空のユーザー定義型、つまりメンバーが一切ない構造体やクラスに対してexport属性を適用すると、コンパイラは公開する型情報が不十分であると判断します。

その結果、エラーC3139が発生し、「’struct’ : メンバーなしに UDT をエクスポートすることはできません」といったエラーメッセージが表示されます。

このエラーは、コードが意図しない挙動を生むリスクを回避するための安全装置のような役割も担っていると考えられます。

コード例による検証

ここでは、実際にエラーC3139が発生するケースをコード例を交えて確認します。

以下の例では、export属性を空のユーザー定義型に適用した場合の挙動と、コンパイラがどのようなエラーメッセージを表示するかを示します。

再現可能なコードサンプル

CおよびC++における実装例

以下はC++で実装されたサンプルコードです。

export属性を空の構造体に適用することで、エラーC3139を再現する例です。

#include <iostream>
// COM向けの型情報をエクスポートするための属性指定
[emitidl];
[module(name=MyModule)];
// 空のユーザー定義型に export 属性を適用している例
[export] struct MyStruct {  // メンバーが存在しないためエラーC3139が発生
};
int main() {
    // サンプルコードの動作確認用
    MyStruct sample;  // インスタンス化するが、実際のメンバーは存在しない
    std::cout << "エラーC3139を再現するサンプルコードです" << std::endl;
    return 0;
}

エラーC3139を再現するサンプルコードです

コンパイラのエラーメッセージ解析

上記のコードをコンパイルすると、コンパイラは以下のようなエラーメッセージを出力する可能性があります。

・「’struct’ : メンバーなしに UDT をエクスポートすることはできません」

・これは、空の構造体に対してexport属性を指定しているため、公開する情報が不足していると判断される結果です。

このエラーメッセージは、構造体やクラスに必ず一つ以上のメンバーを定義すべきであることを示唆しています。

エラー対策と修正方法

エラーC3139を回避するためには、ユーザー定義型に適切なメンバーを追加するか、使用目的に応じてexport属性の適用方法を見直す必要があります。

ユーザー定義型へのメンバー追加方法

最も基本的な対策として、空のユーザー定義型に必要なメンバーを追加する方法があります。

これにより、コンパイラは型の内容を正しく認識し、export属性が適用可能な型として扱うようになります。

以下は、メンバーを追加した例です。

#include <iostream>
[emitidl];
[module(name=MyModule)];
// メンバーとして整数型のdataを追加し、エラーを回避する例
[export] struct MyStruct {
    int data;  // データメンバー
};
int main() {
    MyStruct sample;
    sample.data = 10;  // 変数に値を設定
    std::cout << "data: " << sample.data << std::endl;
    return 0;
}

data: 10

export属性の正しい適用方法

場合によっては、本来export属性を使用する必要がない場面も考えられます。

型情報として外部に公開する必要がある場合は、必ず構造体やクラスに意味のあるメンバーを追加するか、設計見直しを行う必要があります。

また、モジュール全体の設計に応じて、必要な属性設定を正しく定義することが求められます。

修正後のコード例と考察

以下は、export属性を正しく利用するために、構造体に実際に値を持つメンバーを追加した例です。

#include <iostream>
[emitidl];
[module(name=MyModule)];
// 値を持たせたメンバーを追加した例により、export属性を適切に利用する
[export] struct MyStruct {
    double value;  // メンバーとしてdouble型のvalueを定義
};
int main() {
    MyStruct sample;
    sample.value = 3.14;  // メンバーに値を設定
    std::cout << "value: " << sample.value << std::endl;
    return 0;
}

value: 3.14

この例では、構造体にdouble型のvalueメンバーが追加されているため、コンパイラは型情報を正しく認識し、エラーC3139が発生しなくなります。

開発環境での確認ポイント

開発環境でエラーC3139の発生を防止するためには、IDEやコンパイラの設定、およびコードレビューの観点から確認するポイントがあります。

IDEやコンパイラ設定におけるチェック項目

開発環境においては、以下の点をチェックすることでエラー発生の可能性を低減できます。

・プロジェクト設定でexport属性を正しく解釈するオプションが有効になっているか確認する

・コンパイラのバージョンや設定パラメータが最新であり、export属性の仕様に準じた解析が行われているか確認する

・モジュール設定や対象となるプラットフォームの依存関係が正しく設定されているか確認する

これらのチェックは、IDE内のプロパティ設定やビルドオプション、さらには公式ドキュメントの仕様確認により行うと良いでしょう。

エラー再発防止の実践的注意点

エラーを再発させないための対策として、以下の点に注意することが推奨されます。

・コードレビューの際に、export属性を適用するユーザー定義型に必ず有意なメンバーがあるか確認する

・ビルド時のエラーや警告メッセージを無視せず、早期に対応策を講じる

・公式ドキュメントやコミュニティ情報を参照し、export属性の正しい使用方法を随時確認する

これらの対策を講じることで、開発環境全体としてエラーC3139の発生リスクを最小限に抑えることができます。

まとめ

この記事では、C言語およびC++におけるエラーC3139の原因が、export属性を空のユーザー定義型に適用することにある点を解説しています。

具体例を通じてエラーメッセージの発生理由を確認し、解決策としてユーザー定義型に意義あるメンバーを追加する方法や、正しいexport属性の使い方を提示しました。

また、IDEやコンパイラの設定項目を確認することで、エラー再発防止のポイントにも触れ、開発環境でのチェック方法を紹介しています。