C言語のOpenMPエラー C3023 について解説
この概要では、C言語やC++でOpenMPを使用する際に発生するコンパイラエラーC3023について解説します。
エラーは、OpenMPの句へ誤った引数を指定した場合に発生します。
具体的なコード例を通して正しい記述方法が示され、エラー修正の参考にしていただけます。
エラー C3023 の基本情報
エラー内容の説明
エラー C3023 は、OpenMP の clause 句に不正な引数や予期しないトークンが渡された場合に発生します。
このエラーは、プログラム中の OpenMP 指令の記述ミスにより、コンパイラが正しい解釈を行えないときに表示されます。
たとえば、schedule 句の引数の区切り文字や値の指定が誤っていると、このエラーが発生し、コンパイルを停止します。
具体的には、正しい区切り文字としてカンマ (,) を使用する必要があるにもかかわらず、それ以外のトークンを使用した場合などに生じることが多いです。
エラー発生時の予期しないトークンの理由
このエラーの原因は、OpenMP 指令に渡す引数に対して適切な文法が守られていない点にあります。
たとえば、schedule(dynamic, 10) のように、dynamic と後続のパラメータ 10 の間にカンマが必要ですが、カンマが欠落していた場合や不正な記号が混入していた場合、コンパイラは予期しないトークンを検出します。
その結果、指定された値が正しく解釈されず、エラー C3023 を出力するのです。
誤ったOpenMP句の記述例
誤った構文の具体例
OpenMP 指令における構文ミスは、意図した並列処理の指定が正しく行われない原因となります。
以下に、誤った構文の具体例を紹介します。
動的スケジュール指定時のエラー例
以下のサンプルコードは、dynamic スケジュール指定においてパラメータの間にカンマが抜けているため、エラー C3023 が発生します。
#include <stdio.h>
#include "omp.h"
int main() {
    int i;
    // カンマが抜けているため、コンパイルエラーとなる例
    #pragma omp parallel for schedule(dynamic 10)   // エラー C3023
    for (i = 0; i < 10; ++i) {
        // 空ループ
    }
    return 0;
}不正なセパレータの使用例
次の例では、セパレータとしてカンマではなくセミコロンが使用されており、これもエラー C3023 を引き起こします。
#include <stdio.h>
#include "omp.h"
int main() {
    int i;
    // セミコロンが使用されているため、構文エラーとなる例
    #pragma omp parallel for schedule(dynamic;10)   // エラー C3023
    for (i = 0; i < 10; ++i) {
        // 空ループ
    }
    return 0;
}正しい記述方法とコンパイラ設定
正しいOpenMP句の利用方法
OpenMP 指令を正しく記述するためには、パラメータ間の区切り文字や構文ルールを正確に守る必要があります。
以下に、正しい構文例とその詳細を示します。
正規の構文例の詳細解説
正しくは、schedule 句において並列処理の方式として dynamic を指定する場合、パラメータ 10 の前にカンマが必要です。
たとえば、以下のサンプルコードは正しい形式となります。
#include <stdio.h>
#include "omp.h"
int main() {
    int i;
    // 正しい構文で dynamic スケジュールを指定しています
    #pragma omp parallel for schedule(dynamic, 10)
    for (i = 0; i < 10; ++i) {
        printf("Iteration: %d\n", i); // 各スレッドでループ変数を出力
    }
    return 0;
}Iteration: 0
Iteration: 1
Iteration: 2
Iteration: 3
Iteration: 4
Iteration: 5
Iteration: 6
Iteration: 7
Iteration: 8
Iteration: 9コンパイラオプションの確認
OpenMP を使用する場合、コンパイラに対して適切なオプションが必要です。
Microsoft Visual C++ などの場合、/openmp オプションを指定することで OpenMP を有効にできます。
オプションの指定がない場合、OpenMP 指令が無視されるか、予期しない動作となる可能性があります。
/openmp オプションの正しい指定方法
コマンドラインからプログラムをコンパイルする際は、以下のように /openmp オプションを必ず含めてください。
cl /openmp C3023Example.cまた、統合開発環境 (IDE) を利用している場合は、プロジェクト設定のコンパイラオプションから OpenMP を有効にする設定を行ってください。
エラー修正のポイント
よくある記述ミスと対策
エラー C3023 の修正においては、以下の点に着目して記述ミスを確認してください。
- OpenMP 指令内のパラメータ区切りにカンマを使用しているか確認する
- 使用している数値やキーワードが正しく記述されているか確認する
- OpenMP のバージョンやコンパイラの仕様に沿った記述になっているかチェックする
これらを確認することでほとんどの場合、エラーが改善されます。
修正後の動作確認手順
修正後のコードが正しく動作するかどうか、以下の手順で確認してください。
- 修正したソースコードを保存する
- コンパイラオプションに /openmpが含まれているか確認する
- コンパイルを行い、エラーが解消されているかチェックする
- プログラムを実行し、予期する出力が得られているか確認する
具体的には、既に示した正しい構文のサンプルコードを使用して、コンパイルおよび実行のテストを行ってください。
まとめ
この記事では、OpenMP 指令を使用する際に発生するエラー C3023 の内容と原因、特に schedule 句における構文エラーについて解説しました。
予期しないトークンが発生する理由や、具体例としてカンマ抜きや不正なセパレータ使用の事例を示し、正しい記述方法とコンパイラ設定(/openmp オプションの指定)の確認方法、修正手順について説明しました。
これにより、エラー修正へのアプローチが明確になる内容です。
