コンパイラエラー

C言語のOpenMPディレクティブエラー C3007について解説

C言語におけるエラーC3007は、OpenMPディレクティブに不要な引数が指定された場合に発生します。

OpenMPディレクティブは引数を取らないため、例えば#pragma omp parallel for ordered(2)のような記述はエラーとなります。

エラー内容を確認後、該当部分を修正してください。

エラーC3007の発生原因

OpenMPディレクティブの基本仕様

OpenMPは、C言語やC++でマルチスレッド処理を実現するために利用されるAPIです。

OpenMPディレクティブはコンパイラに対して、どの部分を並列化するかなどの情報を提供します。

各ディレクティブには決められた構文が存在し、句(clause)は決まった用途に合わせた記述が必要です。

特に、ディレクティブ内で引数を不要とするものに対して引数を指定すると、構文エラーが発生する可能性があります。

例えば、parallel fororderedディレクティブにおいて、指定できない引数を誤って記述するとエラーC3007が発生する原因になります。

不要な引数指定の記述例

間違った記述例として、orderedディレクティブに引数を指定してしまう場合が挙げられます。

以下はサンプルコードです。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
int main() {
    // 並列処理を開始しますが、orderedディレクティブに不要な引数を指定しています。
    #pragma omp parallel for ordered(2)
    for (int i = 0; i < 10; i++) {
        // スレッドごとの番号とループの値を出力します。
        printf("Thread %d, i = %d\n", omp_get_thread_num(), i);
    }
    return 0;
}

上記の例では、orderedディレクティブに(2)という引数を指定しており、OpenMPの仕様に反するためエラーC3007が発生します。

エラーメッセージの詳細解説

コンパイラが出力するエラー内容

エラーC3007の内容は、ディレクティブ上で無効な引数が指定されていることを示しています。

コンパイラは通常、以下のようなメッセージを出力します。

'arg' : OpenMP 'directive' ディレクティブ上の句には、引数を指定できません

このエラーメッセージは、句に引数が含まれている場合、OpenMPディレクティブが本来引数を取らないため、コンパイル時に不具合が発生することを明示しています。

誤った記述による発生事例

実際の事例として、以下のようなコードが存在します。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
int main() {
    // 誤った記述例:orderedディレクティブに引数(2)が指定されています。
    #pragma omp parallel for ordered(2)
    for (int i = 0; i < 10; i++) {
        printf("Thread %d, i = %d\n", omp_get_thread_num(), i);
    }
    return 0;
}

このコードをコンパイルすると、コンパイラは「引数を指定できません」というエラーメッセージを出力します。

原因は、orderedディレクティブが本来引数を取らず、誤った引数が記述されているためです。

エラー原因の分析

OpenMPディレクティブと引数の関係

OpenMPのディレクティブは、設計上、特定の引数や句が不要なものがあります。

たとえば、orderedディレクティブにはループ内の実行順序を保証する機能があるものの、追加の引数を指定する必要はありません。

したがって、余分な引数の指定は文法エラーにつながり、コンパイラは誤った記述を検出してエラーC3007を報告します。

数式の表現で示すと、もしディレクティブが引数を取らないとすると、

DirectiveArgument

となり、記述に引数が存在する場合、相違が生じることが原因です。

コード例を用いた原因の検証

原因を検証するために、以下のコード例を参考にしてください。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
int main() {
    // 誤った記述でエラー発生(引数(2)が不適切)
    #pragma omp parallel for ordered(2)
    for (int i = 0; i < 10; i++) {
        printf("Thread %d, i = %d\n", omp_get_thread_num(), i);
    }
    return 0;
}

このコードは、orderedディレクティブに不要な引数が含まれているためエラーとなります。

コンパイラがどの部分で引数の誤用を検出しているかを把握することで、誤記述が原因であると断定できます。

修正方法の検証

正しいOpenMPディレクティブの記述例

正しい記述では、orderedディレクティブには引数を指定せずに使用します。

以下は正しい記述例です。

#include <stdio.h>
#include <omp.h>
int main() {
    // 正しい記述例:orderedディレクティブは引数なしで記述
    #pragma omp parallel for ordered
    for (int i = 0; i < 10; i++) {
        // orderedディレクティブが使用されている場合、ループ内でorderedセクションを利用できます
        #pragma omp ordered
        {
            printf("Thread %d, i = %d\n", omp_get_thread_num(), i);
        }
    }
    return 0;
}
Thread 0, i = 0
Thread 1, i = 1
...

この例では、orderedディレクティブに引数を指定していないため、正しくコンパイルでき、指定された順序で出力が実行されます。

コード例の具体的解説

上記のコード例では、#pragma omp parallel for orderedと記述することで、並列ループ内のorderedブロックの実行順序を保証します。

orderedブロックは、各スレッドが並列実行するループ内で、元のループ順序に従って実行されるようになっています。

これにより、出力結果がどのような並列実行状態でも、決められた順序で処理されることが確認できます。

コンパイルオプションの確認手順

OpenMPディレクティブを利用する際には、コンパイル時に適切なオプションを指定する必要があります。

以下に、一般的なコンパイル手順を示します。

  • Windows (Visual Studioの場合):
    • プロジェクトの「プロパティ」→「C/C++」→「言語」で「OpenMPサポート」を有効にする
  • Linux/GCCの場合:
    • コンパイル時に-fopenmpオプションを付与する

例: gcc -fopenmp sample.c -o sample

これらの設定を確認することで、OpenMPディレクティブが正しく認識され、エラーが発生しない環境が整います。

注意点と確認事項

記述時の留意点

OpenMPディレクティブを記述する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • ディレクティブごとに許容される句や引数が決まっているため、仕様書をよく確認する
  • 引数を必要としないディレクティブに対して余分な引数が記述されないように注意する
  • サンプルコードや実際のコードで誤記述がないか逐一確認する

正しい記述にするために、コンパイラのエラーメッセージを参考にすることが有効です。

修正後の動作確認方法

修正後は、以下の手順を実施して動作確認を行います。

  • ソースコードを保存後、コンパイルオプションが正しく指定されているか確認する
  • 実際に実行して、出力結果が期待通りの順序で表示されるかレビューする
  • 並列処理が行われる際、意図した順序制御が確実に機能しているかを検証する

これらの確認事項を実施することで、エラーC3007の原因となる誤記述がなくなり、正しい動作が確認できるようになります。

まとめ

本記事では、OpenMPディレクティブに不要な引数指定が原因で発生するエラーC3007について解説しました。

エラーメッセージの内容や誤った記述例、原因の分析、そして正しいディレクティブの記述方法やコンパイルオプションの確認手順について学ぶことができます。

これにより、C言語およびC++でOpenMPを利用する際に正しい記法を実践する判断材料が得られる内容になっています。

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