コンパイラエラー

C++ 配置 new 式のコンパイラエラー C2956 の原因と対策について解説

コンパイラ エラー C2956は、配置 new 式で使われる割り当て解除関数のシグネチャが通常の関数と合致する場合に発生します。

これにより、誤った delete が実行され、メモリリークや実行時クラッシュにつながる可能性があります。

たとえば、型に適切な alignas 指定を施して、配置 new に対応した operator delete を呼び出すように修正すると、問題に対処できます。

配置 new 式の基本動作

配置 new 式の仕組み

operator new と operator delete の動作

C++の配置new式は、通常のnew式と異なり、追加の配置パラメーターを受け取ることで、メモリアロケーションの方法を柔軟に指定できる仕組みです。

例えば、要求するアライメントが明確な場合、std::align_val_t型のパラメーターを使って、特定の配置でメモリを確保することが可能となります。

この動作を実現するために、メモリ割り当て時にはoperator newが、解放時には対応するoperator deleteが呼ばれる仕組みになっております。

各演算子は、引数のシグネチャに応じて適切な関数が選択されるため、定義する側は必要なパラメーター数や型に注意する必要があります。

配置パラメーターの役割と使用例

配置パラメーターは、new式においてメモリの割り当て方法やアライメントなどの追加情報をコンパイラに伝える役割を果たします。

例えば、std::align_val_t{64}というパラメーターを渡すことで、64バイト境界に配置されたメモリを確保することができます。

以下のサンプルコードは、配置パラメーターを使用してメモリを確保する例です。

#include <new>
#include <iostream>
#include <cstdlib>
struct T {
    // 配置new式を利用する型
};
int main(){
    // std::align_val_tパラメーターを用いて64バイトアライメントで割り当て
    T* p = new (std::align_val_t{64}) T;
    std::cout << "Memory allocated with alignment 64." << std::endl;
    delete p;  // メモリ解放
    return 0;
}
Memory allocated with alignment 64.

コンパイラエラー C2956 の詳細

エラー発生のメカニズム

配置 new 式における operator delete の選択

配置new式を使用する際、コンパイラは渡された配置パラメーターに一致するoperator deleteを探します。

しかし、型定義などで適切なoperator deleteが用意されていない場合、通常の割り当て解除関数が選択されるため、期待する挙動と異なる動作が発生します。

この不一致が、エラーC2956の発生原因となるケースが多く見られます。

エラー C2956 の発生条件

エラーC2956は、配置new式で割り当てられたメモリに対して、配置パラメーターと一致しないoperator deleteが呼ばれる場合に発生します。

具体的には、operator newで追加のパラメーターを受け取る仕様にしていても、対応するoperator deleteがそのシグネチャに合わせたオーバーロードとして定義されていないと、このエラーが発生します。

エラー発生時の影響

メモリリークの可能性と実行時クラッシュのリスク

エラーC2956が発生すると、割り当てられたメモリが正しく解放されず、メモリリークが発生する危険性があります。

また、誤ったoperator deleteが呼ばれることにより、実行時に不整合なメモリ操作が行われ、プログラムのクラッシュにつながるリスクもあります。

そのため、配置new式を利用する際には、operator newとoperator deleteのシグネチャが一致しているか十分に確認する必要があります。

エラーの原因解析

operator delete シグネチャの不一致

シグネチャの要求仕様

C++の新しい規格(特にC++17以降)では、配置new式に対して、std::align_val_tなどの追加パラメーターを受け取るoperator deleteが要求される場合があります。

そのため、型定義やメモリ操作を実装する際には、operator newで受け取るパラメーターに合わせたoperator deleteを定義することが必要です。

例えば、割り当て時にoperator new(std::size_t, std::align_val_t)を利用するならば、解放時にはoperator delete(void*, std::align_val_t)を提供する必要があります。

不一致が引き起こす問題点

operator newとoperator deleteのシグネチャが一致しない場合、コンパイラは意図しないoperator deleteを呼び出す可能性があります。

この結果、メモリアロケーションと解放の整合性が崩れ、メモリリークが発生したり、プログラム実行中にクラッシュする原因となります。

適切なシグネチャを維持することが、安定した動作を実現するための基本となります。

オーバーアラインメモリの考慮

alignas 指定子の必要性

オーバーアラインメモリの要求がある場合、型の定義にalignas指定子を利用して、適切なアライメントを明示する必要があります。

これにより、new式が割り当てるメモリとdelete式が解放するメモリで一致するアライメントが保証され、エラーC2956の発生を回避できます。

たとえば、64バイトアライメントが必要な場合、struct alignas(64) Tのように型宣言で指定します。

C++ 標準とアライメントの関係

C++17以降、標準ライブラリではアライメント指定に関する仕組みがより厳格に定められております。

このため、配置new式で指定されたアライメント情報に基づいて、対応するoperator deleteが呼び出される設計となっております。

正しいアライメント指定を行うことで、プログラム全体で統一したメモリ管理が実現でき、エラーを未然に防ぐことが可能です。

エラー対策と修正方法

型定義の修正と alignas の適用

修正前後の比較

修正前のコードでは、型のアライメントが適切に指定されていないため、配置new式で確保されたメモリを解放する際に、誤ったoperator deleteが選択されることがあります。

一方、修正後は型定義にalignas(64)などの指定子を追加することで、配置new式とdelete式が同じアライメント要求に基づいて動作するようになります。

状態内容
修正前型にアライメント指定がなく、配置new式で追加パラメーターを使用した場合、通常のoperator deleteが呼ばれるため、エラーが発生する。
修正後型定義にalignas指定子が適用され、オーバーロラインメントが明示されることで、正しいoperator deleteが呼び出される。

コード例の解説

以下のサンプルコードでは、修正前と修正後の実装例を示しております。

修正前の例では、型定義にアライメント指定がないため、配置new式を使用するとエラーC2956が発生します。

修正後は型定義にalignas(64)を導入することで、operator newとoperator deleteの対応が正しく行われるようになっています。

配置 new 式と delete 式の整合性確保

operator delete の選定基準

配置new式を利用する際は、delete演算子が割り当て時に指定されたパラメーターに一致するoperator deleteを選択できるように設計する必要があります。

コンパイラは、new式に渡された配置パラメーターのシグネチャを基に、適切なdelete演算子を自動的に選択します。

そのため、型定義や演算子オーバーロードの際に、シグネチャが一致するよう注意深く定義することが重要です。

エラー回避のポイント

エラーを回避するためのポイントは、以下のとおりです。

  • 配置new式で追加パラメーターを使用する場合、対応するoperator deleteを正しく定義する。
  • オーバーアラインメントが必要な場合、必ず型定義でalignas指定子を適用する。
  • operator newとoperator deleteのシグネチャが一致しているかを確認し、コンパイラが意図した関数を選択するように調整する。

コード例による具体的解説

エラー C2956 発生例のコード

発生するエラー内容の説明

以下のサンプルコードは、配置new式を使用しているものの、型定義にalignas指定子が適用されていない場合の例です。

この状況では、operator newで配置パラメーターを受け取る一方、対応するoperator deleteが定義されていないため、コンパイラは通常のoperator deleteを使用しようとします。

その結果、エラーC2956が発生し、コンパイルが正しく行われません。

#include <new>
#include <iostream>
struct T {
    // 配置new演算子のオーバーロード(型にアライメント指定なし)
    void* operator new(std::size_t size, std::align_val_t alignment) {
        std::cout << "Overloaded new with alignment." << std::endl;
        return ::operator new(size, alignment);
    }
    // 対応するoperator deleteが定義されていないため、削除時にエラーが発生する
};
int main() {
    // 64バイトアライメントでの割り当て要求
    T* p = new (std::align_val_t{64}) T;
    delete p; // エラー C2956 の原因となる
    return 0;
}
コンパイラエラー C2956: 通常の割り当て解除関数が使用されるため、正しいoperator deleteが見つかりません。

修正後のコード例と検証

修正版のコード解説

以下のサンプルコードは、型定義にalignas(64)を適用することで、配置new式とdelete式の整合性を確保し、エラーC2956を回避した例です。

新たに指定されたアライメントにより、割り当て時に利用されたoperator newと、それに対応するoperator deleteが正しく選択され、メモリの解放が安全に実施されます。

#include <new>
#include <iostream>
struct alignas(64) T {
    // 配置new演算子のオーバーロード
    void* operator new(std::size_t size, std::align_val_t alignment) {
        std::cout << "Overloaded new with alignment." << std::endl;
        return ::operator new(size, alignment);
    }
    // 配置new式に対応したoperator deleteのオーバーロード
    void operator delete(void* ptr, std::align_val_t alignment) noexcept {
        std::cout << "Overloaded delete with alignment." << std::endl;
        ::operator delete(ptr, alignment);
    }
};
int main() {
    // 型Tでnew演算子を呼び出す際、alignasが適用されているため正しいメモリ管理が行われる
    T* p = new T;
    delete p;
    return 0;
}
Overloaded new with alignment.
Overloaded delete with alignment.

注意すべき実装ポイント

修正後のコード例では、型定義にalignas指定子を適用している点が重要です。

これにより、new式で指定された配置パラメーターとdelete式で利用されるoperator deleteのシグネチャが一致し、正しいメモリ割り当て解除が実現します。

また、operator deleteの実装ではnoexceptを付与しており、例外安全性に配慮している点にも注意が必要です。

まとめ

この記事では、配置new式の基本動作と、operator newおよびoperator deleteの役割について確認できました。

また、配置new式で発生するコンパイラエラーC2956の原因、すなわちoperator deleteのシグネチャ不一致やオーバーアラインメモリ管理の問題点、そしてその解決方法として型定義へのalignas指定子の適用や正しいoperator deleteの定義が必要である点について解説しています。

安全なメモリ管理のための具体例も示し、エラー回避に役立つ実装のポイントが理解できる内容となっています。

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