C言語 コンパイラエラー C2936 の原因と対処方法について解説
この記事では、Visual Studio環境で発生するコンパイラ エラー C2936について解説します。
C2936は、テンプレートやジェネリッククラスをグローバル変数として再定義しようとする際や、中かっこの不整合が原因で発生する場合があります。
具体的なコード例を参考に、エラーの原因と回避方法を簡潔に説明します。
エラー C2936 の基本情報
Visual Studio などの開発環境で、グローバル変数としてテンプレートやジェネリッククラスを定義すると、エラー C2936 が発生することがあります。
また、単純に中かっこが正しく閉じられていない場合にも、同様のエラーが報告されることがあるため、ソースコードの見直しが必要です。
エラー発生の原因
グローバル変数としてのテンプレート・ジェネリッククラスの使用
テンプレートクラスやジェネリッククラスは型の定義や拡張のために用いられる機能ですが、これらをグローバル変数として直接定義するとエラー C2936 が発生します。
たとえば、以下のサンプルコードでは、テンプレートクラス TemplateClass
をグローバル変数として宣言しており、Visual Studio の一部バージョンではエラーとなります。
#include <stdio.h>
// テンプレートクラスの定義
template <class T>
struct TemplateClass {
// サンプルとしてメンバ変数を定義
T data;
};
// グローバル変数としてテンプレートクラスのインスタンスを定義(エラー)
int TemplateClass<int>; // エラー C2936: グローバル変数として定義できません
int main(void) {
return 0;
}
(コンパイルエラーが発生します)
同様に、ジェネリッククラスの場合も同様のエラーが発生するため、グローバル変数としての定義は避ける必要があります。
中かっこの不整合によるエラー
テンプレートの定義やその他の複雑な構造を記述する際に、中かっこの開始と終了が一致していないと、コンパイラは正しくソースコードを解析できず、エラー C2936 が発生することがあります。
中かっこの数や位置に細心の注意を払うことが大切です。
以下は、中かっこの不整合が原因の場合の簡単な例です。
#include <stdio.h>
// 中かっこの不整合によりエラーが発生する例
struct SampleStruct {
int value; // 開始中かっこはあるが、閉じ中かっこが不足している場合
// ここに記述ミスがあると、エラーが報告されます
// }; // この行が抜けているとエラーとなる
int main(void) {
return 0;
}
(コンパイルエラーが発生します)
対象環境の確認
Visual Studio のバージョン依存性
エラー C2936 は、特に Visual Studio の古いバージョンにおいて問題となるケースが報告されています。
Visual Studio 2022 以降では、このエラーメッセージは廃止されている場合も多いですが、開発環境によっては依然として発生する可能性があるため、使用しているバージョンに合わせた対処が重要です。
C言語とC++での取り扱いの違い
C言語ではテンプレート機能が存在しないため、エラー C2936 は基本的にC++向けのエラーとなります。
一方、C++ではテンプレートやジェネリッククラスが利用できるため、正しい使い方をしないとエラーが発生することがあります。
C言語とC++では、型の定義やグローバル変数の扱いに違いがあるため、注意深く区別して記述する必要があります。
エラー発生時のコード例
コンパイラエラー C2936 が発生する具体的なコード例を見ていきましょう。
間違った定義と正しい記述方法の双方を確認することで、エラーの原因と修正方法が明確になります。
エラーを引き起こすケース
テンプレートクラスの誤ったグローバル定義
以下は、テンプレートクラスをグローバル変数として定義した場合の例です。
グローバルな領域にテンプレートクラスのインスタンスを定義すると、Visual Studio の一部環境ではエラー C2936 が発生します。
#include <stdio.h>
// テンプレートクラスの定義
template <class T>
struct TemplateClass {
T data;
};
// 誤ったグローバル変数の定義(エラーが発生する)
int TemplateClass<int>; // エラー C2936: グローバル変数として定義できません
int main(void) {
return 0;
}
(コンパイルエラーが発生します)
ジェネリッククラスの誤ったグローバル定義
次に、ジェネリッククラスを使用した場合の例です。
ジェネリッククラスもテンプレートと同様に、グローバル変数として直接使用するとエラーとなる場合があります。
#include <stdio.h>
// /clr オプション下で動作するジェネリッククラスの定義
generic <class T>
ref struct GenericClass {
T data;
};
// 誤ったグローバル変数の定義(エラーが発生する)
int GenericClass<int>; // エラー C2936: グローバル変数として定義できません
int main(void) {
return 0;
}
(コンパイルエラーが発生します)
正しいコード例
エラーを回避するためには、グローバル変数としてテンプレートやジェネリッククラスを定義しないことが重要です。
以下に正しいコード例を示します。
正しいグローバル変数の定義方法
グローバル変数として定義する必要がある場合は、テンプレートやジェネリッククラスではなく、通常の構造体やクラスを利用しましょう。
#include <stdio.h>
// 正しい構造体の定義
struct CorrectStruct {
int value;
};
// グローバル変数として正しく定義する
struct CorrectStruct globalVar = { 10 };
int main(void) {
printf("Value: %d\n", globalVar.value);
return 0;
}
Value: 10
中かっこの一致を意識した記述法
中かっこが正しく対応しているかを確認することも重要です。
以下は、正しく中かっこが一致している例です。
#include <stdio.h>
// 中かっこが正しく一致している構造体の定義
struct ProperStruct {
int data;
};
int main(void) {
// 構造体変数の初期化に問題がない例
struct ProperStruct sample = { 42 };
printf("Data: %d\n", sample.data);
return 0;
}
Data: 42
エラー対処方法の詳細
エラー C2936 の対処方法は、エラーの原因を正確に把握し、該当箇所を修正することです。
以下では、原因特定の手順と具体的な対処法について説明します。
原因特定の手順
コンパイルオプションの確認
エラーが発生する場合、まずはコンパイルオプションの見直しを行います。
特に、テンプレートやジェネリッククラスに関連するオプションや、Visual Studio のバージョン設定について確認することが推奨されます。
適切なオプションが設定されているかをチェックすることで、エラーの誤検出を防ぐ手助けとなります。
ソースコードの中かっこチェック
中かっこの不整合によるエラーの場合、ソースコード内のすべての中かっこ( { と } )が正しく対応しているかを確認する必要があります。
多くの場合、エディタの自動整形機能や静的解析ツールを利用することで、誤り箇所を特定しやすくなります。
実践的な対処方法
コード修正によるエラー回避
エラーの根本原因がグローバル変数としてテンプレートやジェネリッククラスを定義している場合、コードの修正が必要です。
グローバル変数として利用する場合は、テンプレートではなく具体的な型に基づいた通常のクラスや構造体を定義するように変更します。
以下は、上記のエラー例を修正した例です。
#include <stdio.h>
// テンプレートクラスを通常のクラスに変更
struct FixedClass {
int data;
};
// 正しくグローバル変数として定義
struct FixedClass fixedInstance = { 100 };
int main(void) {
printf("Data: %d\n", fixedInstance.data);
return 0;
}
Data: 100
環境設定の再確認
最後に、開発環境の設定も見直してください。
Visual Studio のバージョンが最新の場合、エラーが発生しないような設定変更が行われていることもあります。
プロジェクトのプロパティやビルドオプションを確認して、正しい環境でコンパイルが行われているかどうかを再確認することが、エラー解消の重要なポイントです。
まとめ
この記事では、エラー C2936 が発生する原因としてグローバル変数にテンプレートやジェネリッククラスを使用している点や、中かっこの不整合がある点を確認できます。
Visual Studio のバージョンや C言語とC++の取り扱いの違いについても解説しており、誤ったコード例と正しいコード例を通じて、具体的な修正方法が理解できる内容です。