C言語・C++におけるコンパイラ エラー C2913 の原因と対策について解説
エラー C2913 は、Microsoft Visual C++ で発生するエラーで、非テンプレートクラスの明示的特殊化を試みたときに表示されます。
クラステンプレートの特殊化のみが認められているため、たとえば class X{}
に template<>
を記述するとエラーとなります。
C言語や C++ の開発中に遭遇する可能性があるため、コード記述時は注意しましょう。
エラー C2913 の発生原因
非テンプレートクラスでの特殊化誤用
クラステンプレートではなく、通常の非テンプレートクラスに対して特殊化を試みるとエラー C2913 が発生します。
例えば、以下のコードでは、非テンプレートクラスである X
に対して特殊化を行おうとしており、コンパイラは「非テンプレートクラスを特殊化することはできません」というエラーを出します。
#include <iostream>
class X {
// 非テンプレートクラス
};
// テンプレートクラスの定義
template <class T>
class Y {};
// 非テンプレートクラス X の特殊化を試みる(エラー対象)
template<>
class X<int> {
// エラー C2913 が発生する
};
int main() {
std::cout << "エラー発生例" << std::endl;
return 0;
}
このように、特殊化を行う対象は必ずテンプレートクラスでなければならず、非テンプレートクラスに対しては適用できません。
テンプレート特殊化の正しい記述方法
テンプレート特殊化は、クラステンプレートで定義された型に対してのみ行う必要があります。
正しい特殊化では、テンプレートクラス Y
の特定の型パラメータに対して明示的な特殊化を記述します。
例えば、次のコードはテンプレート特殊化の正しい記述例になります。
#include <iostream>
// テンプレートクラスの定義
template <class T>
class Y {
public:
void display() {
std::cout << "一般的なテンプレート" << std::endl;
}
};
// Y<int> に対する明示的な特殊化
template <>
class Y<int> {
public:
void display() {
std::cout << "int 型に対する特殊化" << std::endl;
}
};
int main() {
Y<double> obj1; // 一般的なテンプレート
Y<int> obj2; // 特殊化されたテンプレート
obj1.display();
obj2.display();
return 0;
}
一般的なテンプレート
int 型に対する特殊化
このように、テンプレート特殊化はテンプレートクラス Y
に対して行う必要があり、非テンプレートクラスには使用できません。
エラーが発生するコード例の分析
エラーを引き起こすコード例
以下のコードは、エラー C2913 を発生させる代表的な例です。
非テンプレートクラス X
に対して誤って特殊化を行っているため、コンパイラはエラーを報告します。
#include <iostream>
class X {}; // 非テンプレートクラス
template <class T>
class Y {}; // テンプレートクラス
// 非テンプレートクラス X に対して特殊化を試みている(エラー発生)
template<>
class X<int> {
// コンパイラエラー C2913 が発生
};
int main() {
std::cout << "サンプルコード(エラー発生)" << std::endl;
return 0;
}
誤ったコードの解説
上記コードでは、非テンプレートクラス X
に対して template<> class X<int> {}
として特殊化を試みています。
C++ の仕様では、特殊化は必ずクラステンプレートに対して行わなければならず、非テンプレートクラスは特殊化の対象とならないため、エラー C2913 が発生します。
このエラーはコンパイラが対象のクラスがテンプレートではないことを検出したときに発生します。
正しいコード例との比較
正しい実装のポイント
正しい特殊化の記述例としては、テンプレートクラス Y
を使用したものが挙げられます。
重要なポイントは、特殊化する対象がテンプレートクラスであり、型パラメータを正しく指定している点です。
以下のコードは、Y<int>
に対する特殊化を正しく実装した例です。
#include <iostream>
// テンプレートクラス Y の定義
template <class T>
class Y {
public:
void display() {
std::cout << "一般的なテンプレート" << std::endl;
}
};
// Y<int> に対する明示的な特殊化
template <>
class Y<int> {
public:
void display() {
std::cout << "int 型に対する特殊化" << std::endl;
}
};
int main() {
Y<double> obj1;
Y<int> obj2;
obj1.display();
obj2.display();
return 0;
}
一般的なテンプレート
int 型に対する特殊化
この正しい例では、クラス Y
はテンプレートとして定義されており、Y<int>
の特殊化も正しい形式で記述されているため、エラーなく動作します。
コンパイラ動作の詳細
Microsoft Visual C++ の仕様
Microsoft Visual C++ では、明示的な特殊化の対象が非テンプレートクラスである場合、エラー C2913 を出力します。
具体的には、Visual C++ は以下の仕様に基づきエラーを報告します。
「明示的な特殊化 ‘declaration’ はクラス テンプレートの特殊化ではありません」というエラーメッセージが表示され、対象のクラスがテンプレートとして認識されていないことを示しています。
言語仕様との整合性の観点
C++ の言語仕様では、特殊化はあくまでテンプレートクラスに対してのみ適用が認められています。
対象の型がテンプレートであるかどうかは、コンパイラがプログラムの中で厳密にチェックする項目のひとつです。
定義されたクラスがテンプレートでない場合、
この振る舞いは、言語標準とコンパイラの実装とが整合性を保つために重要な役割を果たしています。
エラー対策および修正方法
コード修正の具体的方法
エラー C2913 を解決するための最も基本的な対策は、特殊化を行う対象が正しくテンプレートクラスであるか確認することです。
非テンプレートクラスに対する特殊化の試みをやめ、テンプレートクラスを正しく定義する必要があります。
テンプレート特殊化の適用方法
テンプレート特殊化を適用する際は、以下のポイントに注意してコードを修正します。
- テンプレートクラスを定義する
- 特定の型に対する明示的な特殊化をテンプレートクラスに対して行う
以下は、上述の正しい実装例です。
#include <iostream>
// テンプレートクラス Y の定義
template <class T>
class Y {
public:
void display() {
std::cout << "一般的なテンプレート" << std::endl;
}
};
// Y<int> に対する明示的な特殊化
template <>
class Y<int> {
public:
void display() {
std::cout << "int 型に対する特殊化" << std::endl;
}
};
int main() {
Y<double> obj1;
Y<int> obj2;
obj1.display();
obj2.display();
return 0;
}
一般的なテンプレート
int 型に対する特殊化
この例では、Y
がテンプレートクラスであるため、Y<int>
に対する特殊化が正しく動作します。
開発環境での確認事項
コード修正のほかに、開発環境で以下の点を確認することも有用です。
- 使用しているコンパイラのバージョンや仕様の確認
- コンパイラの警告レベルの設定(エラーや警告の内容が明確になるため)
- テンプレート特殊化に関する言語標準の確認(最新の C++ 標準に準拠しているかどうか)
これらの確認により、思わぬエラーや非互換性を早期に発見でき、効率的に問題を解決できる可能性が高まります。
まとめ
この記事では、エラー C2913 の原因や発生条件、具体的な誤ったコード例と正しいテンプレート特殊化の記述方法、Microsoft Visual C++ における仕様や言語標準との整合性に着目しました。
テンプレート特殊化の適用対象が非テンプレートクラスとなっている場合に発生するエラーの回避方法と、開発環境で確認すべき事項を解説しており、エラー解決に向けた具体的なコード修正方法も示しています。