C言語のエラーC2855について解説
Visual Studioなどの開発環境でC言語をビルドするとき、エラーC2855が発生する場合があります。
このエラーは、プリコンパイル済みヘッダーを作成する際に使用するコマンドラインオプションが、実際のビルドで設定されているものと異なるときに起こります。
各ソースファイルでのコンパイラオプションの設定を統一し、プロジェクト全体をリビルドすることで対処してください。
エラーC2855の発生要因
このエラーは、プリコンパイル済みヘッダーの作成時に使用された設定と、現在のコンパイラオプションが一致しない場合に発生するため、原因の把握が重要です。
以下に、エラー発生の主な要因について詳しくご説明します。
プリコンパイル済みヘッダーの仕組み
プリコンパイル済みヘッダー(PCH)は、ソースコードのコンパイル時間を短縮するために利用される仕組みです。
通常、複数のソースファイルで共通して使用されるヘッダー情報をあらかじめコンパイルしておくことで、ビルド全体の効率を向上させます。
PCHが有効なプロジェクトでは、専用のソースファイル(例:pch.cpp
またはstdafx.cpp
)が存在し、そこに指定されたコンパイラオプションでPCHが生成されます。
これにより、実際のソースファイルはPCHを参照するだけで済むため、再コンパイルの負荷が軽減される仕組みとなります。
コンパイラオプションの不一致
プロジェクト内で各ソースファイルに対して異なるコンパイラオプションを適用している場合、プリコンパイル済みヘッダーの作成時に使用したオプションと、再利用する際のオプションが食い違いエラーが発生します。
具体的には、PCH作成時に設定されたオプションと、後から変更されたあるいは個別に設定されたオプションとの差異が原因となります。
エラー C2855 は、このような不一致があるときに出されるため、ソースファイルごとの設定が統一されているか確認する必要があります。
インクリメンタルビルドとの関連
インクリメンタルビルドは、変更があったソースファイルのみを再コンパイルする仕組みです。
ただし、コンパイラオプションやプリコンパイル済みヘッダーの設定が途中で変更された場合、古いPCHファイルが利用されたままとなり、正しいオプションが反映されずエラーが発生することがあります。
例えば、オプション変更後にインクリメンタルビルドを実施すると、変更部分だけが更新されず、PCHと他のソースファイル間で整合性が取れなくなります。
このため、オプション変更後は適切な対処が必要となります。
発生時の確認ポイント
エラーが発生した場合、まずは各種設定および環境の確認が必要です。
以下に、確認すべき具体的なポイントについて説明します。
個別ソースファイルの設定確認
エラー C2855 は、個々のソースファイルに対して個別に設定しているコンパイラオプションが原因となることがあります。
各ソースファイルのプロパティを確認し、プリコンパイル済みヘッダー作成時に使用されているオプションと一致しているかをチェックしてください。
具体的には、以下の点を確認します。
- ソースファイルごとに設定される最適化オプションや警告レベルがPCH作成時と同様であるか
- ヘッダーの参照方法(例:
/Yu
オプション)が統一されているか
プロジェクト全体の設定整合性
全体の設定整合性も非常に重要です。
プロジェクト単位のビルド設定と、個別ファイルの設定が乖離している場合、エラーが発生することがあります。
以下の手順で、プロジェクト全体の設定を確認してください。
- プロジェクトのプロパティ全体でコンパイラオプションが統一されているか
- プリコンパイル済みヘッダーの関連設定(例:生成ファイル、再利用オプション)が正しく構成されているか
Visual Studio特有の設定検証
Visual Studio では、プリコンパイル済みヘッダーの作成および利用に関して独自の設定が存在します。
特に以下の点について確認することが大切です。
- テンプレートプロジェクトで自動生成された
pch.cpp
またはstdafx.cpp
の設定が適正であるか /Yc
(作成)と/Yu
(使用)のオプションが正しく分割されているか- プロジェクトのインクリメンタルビルド機能が誤った状態で動作していないか
エラーC2855の対処方法
エラーが発生した場合は、設定の見直しと正しい手順による再ビルドが求められます。
下記に対処方法を具体的に記載しています。
プリコンパイル済みヘッダーの再生成
エラー C2855 の解決策として、まずはプリコンパイル済みヘッダーを再生成することが重要です。
変更されたコンパイラオプションを反映させるために、関連するソースファイルでPCHを再生成する必要があります。
具体的には、pch.cpp
または stdafx.cpp
が対象となります。
以下に、サンプルプログラムを記載しますので、設定が正しく反映されているかの確認にご利用ください。
#include <stdio.h>
#include "pch.h" // プリコンパイル済みヘッダーをインクルード
// main関数はエントリーポイントです
int main(void) {
// 設定が正しく反映されたか確認するためのメッセージを表示
printf("プリコンパイル済みヘッダー再生成のサンプルプログラム\n");
return 0;
}
プリコンパイル済みヘッダー再生成のサンプルプログラム
pch.cppおよびstdafx.cppの管理
Visual Studio のテンプレートでは、pch.cpp
や旧バージョンであれば stdafx.cpp
が自動的に作成されます。
これらのファイルが正しく管理されることが大切です。
設定変更後は、これらのファイルを清掃(クリーン)し、再生成されるように全体の再ビルドを行うことを推奨します。
また、複数の開発者が関わる場合は、各自の環境で同一の設定が共有されているかも確認をしてください。
プロジェクト全体のリビルド手順
コンパイラオプションの修正やヘッダーの再生成が完了した後は、プロジェクト全体のリビルドを実施することが望ましいです。
これにより、インクリメンタルビルドで残っていた古い情報が一掃され、最新の設定が確実に反映されます。
リビルドの手順としては以下のステップを参考にしてください。
- 開発環境の「クリーン」操作を実行し、すべての中間ファイルを削除
- 再度「リビルド」操作を実施して、変更内容が全体に反映されているか確認
これにより、エラーが解消される可能性が高まります。
注意事項とトラブルシューティング
エラー C2855 の解消の際は、設定変更とその影響について慎重に扱う必要があります。
予期せぬトラブルを避けるために、以下の注意事項と対策を確認してください。
コマンドラインオプションの統一方法
プロジェクト全体で一貫性のあるコンパイラオプションを使用することが、エラー防止に効果的です。
各ソースファイルに個別のオプションを適用する場合は、必ずプロジェクトのグローバル設定と一致しているか確認してください。
もし異なるオプションが混在している場合、以下の手順がおすすめです。
- プロジェクトプロパティで、共通のコンパイラオプションを明示的に設定する
- 必要に応じて、個別ファイルのオーバーライド設定を見直す
設定変更時の注意点と対策
設定変更後は、以下の点に注意してください。
- プリコンパイル済みヘッダー生成用のソースファイル(例:
pch.cpp
)が最新の設定で正しくビルドされるか確認する - 変更前と変更後のオプションの差分を整理し、問題発生の原因を特定する
- 変更後は必ず全体のリビルドを実施することで、古いキャッシュが影響しないようにする
これらの対策により、不意のエラー発生を防ぐとともに、安定した開発環境を維持することが可能となります。
まとめ
この記事では、エラー C2855 が発生する原因と対処方法が理解できます。
プリコンパイル済みヘッダーの仕組み、コンパイラオプションの不一致やインクリメンタルビルドが引き起こす問題に触れ、個別ソースおよびプロジェクト全体の設定確認方法を詳しく説明しています。
さらに、pch.cpp
や stdafx.cpp
の管理と全体リビルドの手順、コマンドラインオプションの統一、設定変更時の注意事項をサンプルコード付きで解説しています。