コンパイラエラー

C言語 コンパイラエラー C2813 の原因と対策を解説

コンパイラエラー C2813 は、/MP オプションを使用して複数のファイルを並列コンパイルする際、ファイル内に #import プリプロセッサディレクティブが含まれていると発生します。

各ファイルで同じタイプライブラリからクラスを生成しようとするため、競合が起こりエラーとなります。

Visual Studio 2008 以降の環境で注意が必要です。

エラー発生条件と背景

/MP オプションの役割と動作

/MP オプションは、複数のソースファイルを同時にコンパイルするために用いられます。

これにより、ビルド時間の短縮が実現されるため、大規模なプロジェクトなどで効果を発揮します。

ただし、並列処理を行うため、複数のコンパイルユニットが同時に同じリソースへアクセスする可能性があり、特定のプリプロセッサディレクティブとの相性に問題が発生する場合があります。

特に #import ディレクティブでは、並行処理の影響で予期せぬ競合が起こるケースがあります。

#import ディレクティブの特徴

#import は、指定したタイプライブラリから C++クラスを自動生成する Microsoft 独自の拡張機能です。

このディレクティブは、対象のタイプライブラリ内の型定義を読み込み、内部的にヘッダーファイルを生成します。

通常、複数のソースファイルで同一の #import を使用した場合、生成されるヘッダーファイルが各コンパイル単位で重複して出力されることになり、並行コンパイルの際に書き込みの競合が発生してエラーとなる場合があります。

エラー原因の詳細

複数ファイルでの#import使用による競合

/MP オプションを使用して複数のファイルを同時にコンパイルする場合、各ソースファイルに同じ #import ディレクティブが記述されていると、コンパイラが各コンパイルユニットで同時にヘッダーファイル生成処理を実行しようとします。

この結果、共通のヘッダーに対して複数のプロセスがアクセスを試みるため、競合状態が発生し、コンパイラエラー C2813 が発生します。

同一ヘッダーへの重複出力の問題

#import により自動生成されるヘッダーは、実際には内部的な仕組みによりシステム上の特定の場所に出力されます。

複数のコンパイルユニットがそれぞれ同じヘッダーを書き込もうとする場合、出力先の重複によりファイルがロックされたり、書き込み順序が保証されなかったりするため、出力の重複や競合が発生します。

これがコンパイルエラーの直接の原因となっています。

Visual Studio環境における考慮事項

VS2008以降の新機能と設定変更

Visual Studio 2008 以降、/MP オプションによる並列コンパイルが標準機能として導入されました。

これに伴い、従来は単一コンパイル単位で動作していた一部のプリプロセッサディレクティブ、特に #import によるヘッダー生成の動作に影響が出るようになりました。

開発環境のバージョンアップや設定変更の際には、これらの新機能の動作を十分に把握する必要があります。

ビルドオプションおよび環境設定の確認

Visual Studio のプロジェクト設定やビルドオプションでは、並列コンパイルに関連する設定が複数存在します。

具体的には、/MP オプションの有効・無効や、ソースファイルの配置、依存関係の整理が挙げられます。

これらの設定が正しく構成されていない場合、意図せぬエラーが発生する可能性があるため、環境設定の見直しが求められます。

エラー対策と修正手順

コンパイルオプションの調整方法

/MP オプション利用時の制限措置

/MP オプションを使用する場合、#import ディレクティブが含まれるソースファイルを特定し、並列コンパイルから除外するか、該当ソースを別プロジェクトに移すことで対処することが可能です。

たとえば、エラーの原因となりうるファイルだけを個別コンパイルに切り替える設定を検討してください。

単一コンパイルユニットの検討

もう一つの対策として、#import を使用する部分を単一のソースファイルにまとめ、その他のソースファイルからはそのファイルを参照する形にリファクタリングする方法があります。

これにより、ヘッダーの重複出力を防止できるため、エラーの発生リスクが低減されます。

プロジェクト設定の見直し

ファイル管理および分割方法の再検討

プロジェクト内のソースファイルの管理と分割方法を見直すことが重要です。

特に、#import を含むファイルとそれ以外のファイルを明確に区別し、分割して管理することで、並列コンパイル時の競合を防止できる可能性があります。

ファイルの依存関係を整理し、必要に応じてヘッダーの一元管理を行うとよいでしょう。

ソースコード修正例の提示

以下に、エラー回避のためのサンプルコードを示します。

サンプルコードでは、#import を単一のソースファイルにまとめ、main関数を含めておりますので、実際にコンパイル可能な状態となっています。

// SingleImport.cpp
// このファイルは #import を単一管理するためのソースファイルです。
#include <stdio.h>
#import "C:\\windows\\system32\\stdole2.tlb"  // ヘッダー自動生成(エラー回避用)
// 他のソースから利用する共通関数を定義する場合は、ここに記述します。
void commonFunction() {
    // 共通処理のサンプル
    printf("Common function is executed.\n");
}
int main() {
    // サンプル実行コード
    printf("Hello, World!\n");
    commonFunction();
    return 0;
}
Hello, World!
Common function is executed.

上記のサンプルコードは、#import を一箇所にまとめることで並列コンパイル時の競合を避け、エラー C2813 の発生を防ぐ工夫がされています。

これらの対策を参考に、プロジェクト全体のソースコード管理とコンパイルオプションの調整を行っていただくとよいでしょう。

まとめ

この記事では、/MP オプションが複数ファイルの並列コンパイルに利用される背景を説明し、その結果として #import ディレクティブによるヘッダー自動生成で発生する競合による C2813 エラーの原因を明らかにしました。

また、Visual Studio 2008 以降の環境変化を踏まえ、エラー回避のためのコンパイルオプションの調整や、単一コンパイルユニットへの統合、プロジェクト設定の見直しといった具体的対策を紹介しました。

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