C言語およびC++のコンパイラエラー C2795 の原因と対策について解説

この記事はC/C++の開発環境で発生するコンパイラエラーC2795について説明します。

superを使ってメンバー関数以外のメンバーにアクセスしようとすると発生するこのエラーの原因や具体的な修正方法を解説します。

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エラー発生の背景

エラーメッセージの意味

コンパイラから表示されるエラーメッセージ「'super::function' はメンバー関数ではありません」は、super を用いて存在しない、もしくはメンバー関数ではない要素にアクセスしようとした場合に発生します。

このメッセージは、プログラム内で正しくない呼び出し方法が用いられていることを示しており、特にクラス階層における基底クラスのメンバーの呼び出し時に注意が必要なことを教えてくれます。

発生する具体的状況

エラー C2795 は、基底クラスおよびそのメンバーにアクセスする際の使用方法に誤りがあるときに発生します。

例えば、以下のような状況で発生する可能性があります：

• 派生クラス内で、super を使用して存在しないメンバーにアクセスしている場合
• super を用いてデータメンバーや静的関数など、メンバー関数として定義されていない要素にアクセスしようとした場合
• クラス階層の設計ミスにより、正しいメンバーが見つからない場合

これらの状況では、記述方法やクラス設計の見直しが必要となります。

エラー C2795 の原因分析

superの使用方法の誤解

多くの場合、エラー C2795 の原因は super の使用方法に対する誤解にあります。

開発者の中には、super をJavaや他の言語にあるような感覚で利用して、メンバー関数以外の要素にもアクセスできると考える方がいます。

しかし、C++では super(厳密にはクラス名または基底クラス名を用いてアクセスする方法)は、メンバー関数に対してのみ正しい呼び出しが可能とされています。

メンバー関数と非メンバー要素の違い

C++においてクラスの要素には、メンバー関数、データメンバー、静的メンバーなどがあります。

• メンバー関数はインスタンスに紐づき、オブジェクトの内部状態を操作するために定義されます。
• 一方、データメンバーや静的関数は、クラスそのものまたはオブジェクトの状態を保持するものであり、呼び出し方法が異なります。

この違いを理解せずに、全ての要素に同じ方法でアクセスしようとすると、エラーが発生する可能性が高くなります。

対策と修正手法

コード修正のポイント

関数呼び出しの正しい記述

正しい関数呼び出しの記述方法としては、基底クラスのメンバー関数が呼び出し対象であることを前提に、クラス名やスコープ解決演算子(::)を用いて呼び出す必要があります。

例えば、基底クラスの関数を呼び出す場合、以下のように記述できます。

#include <iostream>
// 基底クラス Base の定義
class Base {
public:
    void display() {
        std::cout << "Base display" << std::endl;
    }
};
// 派生クラス Derived の定義
class Derived : public Base {
public:
    void display() {
        // 基底クラスの display() を正しく呼び出す
        Base::display();
        std::cout << "Derived display" << std::endl;
    }
};
int main() {
    Derived d;
    d.display(); // 出力は Base display と Derived display の順になります
    return 0;
}

Base display
Derived display

この例では、Base::display() を用いて基底クラスのメンバー関数を呼び出しており、誤った super::display() の使用は避けられています。

superの適切な利用方法

C++では、super というキーワード自体はサポートされていません。

代替として、基底クラスの名前(例えば Base)とスコープ解決演算子(::)の組み合わせを使用します。

既に示したように、正しい記述を採用することで、エラー C2795 は回避できます。

また、複数の基底クラスが存在する場合は、対象となるクラス名を明示することが重要です。

再発防止のチェック項目

エラーの再発を防止するために、以下のチェック項目を参照してください：

• クラス階層が正しく設計されているか確認する
• メンバー関数と非メンバー要素の違いを明確に理解する
• 基底クラスのメンバーにアクセスする際、クラス名とスコープ解決演算子を利用しているか確認する
• 静的解析ツールやコンパイラの警告を活用し、誤った使用方法を早期に検知する

実践的な修正例

C言語での修正例

C言語はクラスや継承の概念を持たないため、エラー C2795 の直接的な原因となる記述は発生しません。

しかし、構造体や関数ポインタを利用して似たような機能を実装する場合、関数のポインタの呼び出し方法が正しいか確認する必要があります。

以下に、関数ポインタを利用した例を示します。

#include <stdio.h>
// 構造体 MyStruct の定義
typedef struct {
    void (*display)(void); // 関数ポインタ
} MyStruct;
// display 関数の定義
void displayFunction(void) {
    printf("Displaying from MyStruct\n");
}
int main(void) {
    MyStruct myInstance;
    // 正しい関数ポインタの代入
    myInstance.display = displayFunction;
    // 関数ポインタを使って関数呼び出しを実行する
    myInstance.display(); // 出力は Displaying from MyStruct になります
    return 0;
}

Displaying from MyStruct

この例は、関数ポインタを正しく設定して呼び出しているため、C言語においても呼び出し方法の誤解によるエラーを防ぐことができます。

C++での修正例

C++では、基底クラスと派生クラス間での正しいメンバー関数へのアクセス方法が重要です。

以下に、エラー C2795 を回避するための C++ の実践例を示します。

#include <iostream>
// 基底クラス Base の定義
class Base {
public:
    // 正しく定義されたメンバー関数
    void showMessage() {
        std::cout << "Message from Base" << std::endl;
    }
};
// 派生クラス Derived の定義
class Derived : public Base {
public:
    // 派生クラス固有のメンバー関数
    void showMessage() {
        // 基底クラスの showMessage() を明示的に呼び出し
        Base::showMessage();
        // 派生クラスの処理
        std::cout << "Message from Derived" << std::endl;
    }
};
int main() {
    Derived obj;
    obj.showMessage(); // 出力は Base のメッセージと Derived のメッセージが順に表示されます
    return 0;
}

Message from Base
Message from Derived

このコードでは、基底クラス Base のメンバー関数 showMessage() を呼び出すために Base::showMessage() を用いています。

これにより、誤った super の使用によるエラーを回避し、正しく上位クラスの処理を実行することができます。

まとめ

この記事では、コンパイラエラー C2795 の原因と対策を中心に解説しました。

エラーメッセージの意味や発生状況、superの使い方に対する誤解が原因であること、そしてメンバー関数と非メンバー要素の違いに基づいてコード修正のポイントを押さえる必要がある点を説明しています。

実践例として、C言語とC++それぞれの修正例も示しており、正しい呼び出し方法の重要性が理解できます。