C言語で発生するコンパイラ エラー C2787について解説
コンパイラ エラー C2787は、C言語やC++言語のコードで__uuidof
演算子を使用する際に、GUID情報が付与されていないユーザー定義型を対象とすると発生します。
対象型に正しいGUIDを設定することでエラーを解消できます。
エラー概要
C2787エラーの定義と発生状況
C2787エラーは、コンパイラがユーザー定義型に関連付けられたGUIDが存在しない場合に発生するエラーです。
具体的には、__uuidof
演算子を使用した際、対象の型にGUIDが付与されていないとコンパイラがエラーを出力します。
このエラーは、主にCOM(Component Object Model)関連の開発や、GUIDを利用した型識別が必要なケースで確認されます。
エラー発生時は、対象の識別子に対して「このオブジェクトに関連付けられたGUIDはありません」といったエラーメッセージが表示され、プログラムのビルドが中断されます。
エラーメッセージの内容
エラーメッセージには次のような内容が含まれます。
- 識別子(型またはオブジェクト)名
- 「このオブジェクトに関連付けられたGUIDはありません」という文言
このメッセージは、__uuidof
演算子がGUIDを必要とするユーザー定義型に対して、GUIDの付与が不足していることを明確に示しており、どの型に対してエラーが発生したかを把握する手助けとなります。
エラー原因の詳細
__uuidof演算子の仕様
__uuidof
演算子は、オブジェクトや型に関連付けられたGUIDを取得するために使用されます。
この演算子は、GUIDが付与されたユーザー定義型に対して動作する設計となっており、GUID情報が存在しない型に対して適用するとC2787エラーが発生します。
なお、GUIDの取得はコンパイル時に行われるため、ソースコード上で正しくGUIDが宣言されていないとエラーとなる点に注意が必要です。
GUIDが付与されていないユーザー定義型の問題
ユーザー定義型にGUIDを付与するには、__declspec(uuid("..."))
を使用して型に対して明示的に指定する必要があります。
もしこの指定が行われていない場合、__uuidof
演算子は対象の型からGUID情報を取得することができず、C2787エラーが発生します。
この問題は、特にCOMインターフェースやオブジェクトの識別に関与する場合に影響を及ぼします。
GUIDの付与方法の解説
__declspec(uuid(“…”))の記述方法
GUIDを型に付与するためには、__declspec(uuid("..."))
を型宣言の前に記述します。
GUIDはハイフンで区切られた32桁の16進数で表され、下記のような形式になります。
例えば、次のように記述することで、型にGUID情報を付与できます。
__declspec(uuid("00000000-0000-0000-c000-000000000046"))
この記述により、コンパイラは型に対して正しいGUIDが関連付けされていると認識するため、__uuidof
演算子が正常に動作するようになります。
正しい型定義の例
GUIDの付与が正しく行われた型定義の例は以下の通りです。
#include <windows.h>
// GUIDが付与されていない型
struct MyTypeWithoutGUID {
// メンバ変数やメソッドの宣言
};
// GUIDが付与された型
struct __declspec(uuid("12345678-1234-1234-1234-1234567890ab")) MyTypeWithGUID {
// メンバ変数やメソッドの宣言
};
int main() {
// __uuidof演算子はGUIDが付与された型に対して正常に動作します。
GUID guidValue = __uuidof(MyTypeWithGUID);
return 0;
}
上記の例では、MyTypeWithGUID
型にGUIDを付与することで、__uuidof(MyTypeWithGUID)
が正常にコンパイルされるようになっています。
コード例による解説
エラー発生例の解析
以下は、GUIDが付与されていない型に対して__uuidof
演算子を使用した場合のエラー例です。
#include <windows.h>
// GUIDが付与されていない型の定義
struct MyType {
// 何も記述がありません
};
int main() {
// GUIDが付与されていないためC2787エラーが発生する
GUID guidError = __uuidof(MyType);
return 0;
}
このコードをコンパイルすると、コンパイラはMyType
にGUID情報が存在しないことを検出し、C2787エラーを出力します。
修正後の正常動作例の確認
以下は、__declspec(uuid("..."))
を使用してGUIDを付与した後の修正コードです。
#include <windows.h>
#include <stdio.h>
// GUIDが付与された型の定義
struct __declspec(uuid("12345678-1234-1234-1234-1234567890ab")) MyType {
// 第後にメンバを追加可能
};
int main() {
// __uuidof演算子はGUIDが付与された型に対して正しく動作する
GUID guidValue = __uuidof(MyType);
// GUIDの各値を表示する簡単な例
printf("Data1: %u\\n", guidValue.Data1);
return 0;
}
output
Data1: 305419896
このコードでは、MyType
に対してGUIDが正しく付与されているため、__uuidof(MyType)
が正常に動作し、GUIDの一部情報が出力されます。
デバッグと環境確認のポイント
コンパイル時の設定確認
コンパイル時にC2787エラーが発生する場合は、まず以下の点を確認してください。
- ソースコードに正しい
#include <windows.h>
が記述されているか - 使用しているコンパイラがGUID操作をサポートしているか
- タイプに対して正しい書式で
__declspec(uuid("..."))
が付与されているか
これらの項目は、エラーの原因を迅速に特定するために非常に有効です。
実装時の注意事項と環境依存の点
実装時には、以下の注意点に気を付けると良いです。
- GUIDが必要な型には必ず
__declspec(uuid("..."))
を付与する - 複数の環境(コンパイラやプラットフォーム)でビルドする場合、GUIDの形式や記述方法が正しいか再確認する
- 開発環境の設定やオプションがGUID関連の機能をサポートしているかを確認する
これらのポイントをチェックすることで、意図しないエラーの発生を防ぐことができます。
まとめ
この記事では、C2787エラーとは何か、GUIDが付与されていないユーザー定義型に対して__uuidof
演算子を適用した際の問題点について解説しています。
また、正しいGUIDの付与方法として__declspec(uuid("..."))
の記述方法と、修正例をコードとともに説明しました。
さらに、エラー発生時のコンパイル設定や環境依存の注意点についても触れ、エラー回避のための基本的なポイントを整理しています。