C言語で発生するコンパイラエラー C2786 の原因と対策を解説

エラー C2786は、__uuidofに無効なオペランドが渡された場合に発生するコンパイラエラーです。

GUIDが登録されていない型や、適用できない型(例えば基本型やポインタ型など)で使用すると、このエラーが表示されます。

正しいGUID付きのユーザー定義型に対してのみ__uuidofを利用するよう注意が必要です。

エラー C2786 の基本情報

エラー発生時の状況

エラー C2786 は、コンパイラが__uuidof操作子を使用する際に、無効なオペランドが指定された場合に発生します。

たとえば、基本型やポインタ型、配列型など、GUIDが付与されていない型や関連するオブジェクトに対して__uuidofを使用すると、このエラーが出力されることがあります。

IDEでコードをコンパイルしたときに、エラーメッセージとして「’type’: __uuidof の無効なオペランドです。」と表示されるため、どの箇所で無効な型が指定されたかを注意深く確認する必要があります。

__uuidof の仕様と利用制限

__uuidofは、GUIDがアタッチされたユーザー定義型、またはその型のオブジェクトに対して使用が認められています。

GUID(グローバル一意識別子)は、主にCOMインターフェイスなどで利用される識別子であり、型宣言時に特定のGUIDを付与するために、__declspec(uuid("GUID") )を使用します。

この操作子は、以下のような条件下で有効です。

• ユーザー定義型に対してGUIDが明示的に指定されている場合
• 指定されたオブジェクトが、そのユーザー定義型またはその型のポインタ、参照、配列の場合

一方で、基本型やGUIDが付与されていない型に対して__uuidofを用いると、GUIDを抽出できないためエラーが発生します。

原因の詳細分析

ユーザー定義型と基本型の違い

ユーザー定義型(structやclass)は、GUIDを付与する機能があるため、__uuidofが正しくGUIDを取得することができます。

基本型(int、char、floatなど)にはGUIDが存在しないため、__uuidof(int)のような呼び出しは使用できません。

また、C++ではポインタ、参照、配列等の型修飾子が付与された場合も、そのベースとなる型にGUIDが付与されている必要があります。

ポインタ・配列型使用時の注意点

ポインタ型や配列型に対して__uuidofを使用する場合、基本的には元のユーザー定義型にGUIDが付与されているかを確認する必要があります。

たとえば、ユーザー定義型AにGUIDが付与されている場合、__uuidof(A)、__uuidof(A*)、__uuidof(A&)、__uuidof(A[])は正しく動作します。

しかし、間接的にポインタのポインタ(2重ポインタなど)が指定された場合、GUIDの取得ができずC2786エラーが発生する可能性があります。

GUID付与条件の制限

ユーザー定義型にGUIDを付与するには、__declspec(uuid("..."))を用いて、明示的にGUIDを設定する必要があります。

さらに、GUIDが有効に認識されるのはユーザー定義型に対してのみであり、基本型や修飾子が多重に付与された型の場合、GUIDが正しく伝搬しないことがあります。

そのため、元の型に対して正しくGUIDが付与されているか、また適用する型の修飾が正しいかを確認することが大切です。

対策方法の検討

型定義の修正手法

エラーの原因がGUIDが付与されていない型や不適切な型修飾による場合、型定義の見直しが必要です。

具体的には、GUIDが求められるユーザー定義型に対しては、正確なGUIDを付与する修飾子を追加することで対応します。

また、基本型や不正なポインタ型に__uuidofを適用しないよう、型の見直しやコードの修正が求められます。

以下に型定義の修正例を示します。

#include <iostream>
#include <objbase.h>
// ユーザー定義型 A に GUID を付与
struct __declspec(uuid("12345678-1234-1234-1234-123456789012")) A {
    int member;
};
int main() {
    // 正しく GUID を取得できる例
    GUID guidA = __uuidof(A);
    std::cout << "GUID for A acquired." << std::endl;
    return 0;
}

GUID for A acquired.

GUID適用の正しい実装例

正しい型へのGUID付与手順

正しい実装例として、GUIDを付与する対象の型は、ユーザー定義型であり、明示的に__declspec(uuid("..."))で修飾されている必要があります。

また、__uuidofで取得する場合、対象となるのはそのユーザー定義型、またはその型を修飾したポインタ、参照、配列などです。

以下に正しい型へのGUID付与手順を示すサンプルコードがあります。

#include <iostream>
#include <objbase.h>
// 正しく GUID を付与されたユーザー定義型 ExampleStruct
struct __declspec(uuid("ABCDEFAB-1234-5678-9ABC-DEFABCDEFABC")) ExampleStruct {
    int value;
};
int main() {
    // ユーザー定義型そのものに対して GUID を取得
    GUID exampleGuid = __uuidof(ExampleStruct);
    std::cout << "GUID for ExampleStruct acquired." << std::endl;
    return 0;
}

GUID for ExampleStruct acquired.

不正な型使用の回避方法

不正な型、つまりGUIDが付与されていない型や基本型に対しては、__uuidofを使用しないようにコードを修正する必要があります。

不正な型の例として、基本型や多重ポインタ型があります。

こうした型を避けるために、次のような修正が有効です。

• __uuidof(int)や__uuidof(int*)など、GUIDが存在しない型の場合は、対象をユーザー定義型に変更する
• 型のポインタ等のネストが深くなっている場合、適切な型変換やキャストを行い、正しい型を取得する

コード例を用いた実践解説

エラー発生例のコード解析

次のサンプルは、エラー C2786 が発生するコード例です。

コメントを参考に、どの部分が問題となっているか確認してください。

#include <iostream>
#include <objbase.h>
// ユーザー定義型 A に GUID を付与
struct __declspec(uuid("00000000-0000-0000-0000-000000000000")) A { };
int main() {
    // 基本型や不正な型に対して使用しているためエラーが発生する例
    // __uuidof(int);      // エラー C2786: GUID取得不可
    // __uuidof(int *);    // エラー C2786: GUID取得不可
    // __uuidof(A **);     // エラー C2786: GUID取得不可
    // 正常な例として、ユーザー定義型や適切な修飾が適用されている型
    GUID guidA = __uuidof(A);     // 正常にGUIDを取得できる
    GUID guidAPtr = __uuidof(A *);  // 正常にGUIDを取得できる場合がある
    std::cout << "GUID retrieval tests completed." << std::endl;
    return 0;
}

GUID retrieval tests completed.

このコード例では、コメントアウトされた部分がエラー原因の例であり、ユーザー定義型に対して正しくGUIDが付与されている場合のみ、__uuidofが有効に動作します。

対策適用後のコード検証

対策として、対象となる型に正しいGUIDを付与し、基本型や多重ポインタ型を避けるようにコードを修正します。

次のサンプルコードは、エラーを回避するための実践的な実装例です。

#include <iostream>
#include <objbase.h>
// 修正: ユーザー定義型 FixedStruct に正しい GUID を付与
struct __declspec(uuid("87654321-4321-4321-4321-210987654321")) FixedStruct {
    int data;
};
int main() {
    // 正しい GUID を取得できる実装例
    GUID fixedGuid1 = __uuidof(FixedStruct);   // ユーザー定義型そのもの
    GUID fixedGuid2 = __uuidof(FixedStruct*);    // ポインタ型も正しく動作する
    std::cout << "FixedStruct GUID retrieval successful." << std::endl;
    return 0;
}

FixedStruct GUID retrieval successful.

このコード例から、ユーザー定義型に正確なGUIDが付与されている場合は、__uuidofが正しく動作することが確認できます。

基礎的な型の使用を避け、適切な型定義を行うことが、エラー回避のポイントとなります。

まとめ

この記事では、コンパイラエラー C2786 の発生原因と対策について解説しています。

GUIDが付与されているユーザー定義型のみが__uuidofで正しく処理され、基本型や不正な型、特に多重ポインタなどに適用するとエラーが発生する理由を明らかにしました。

さらに、型定義の修正方法や正しいGUID適用の実践例を通じて、エラー回避の手法が理解できる内容となっています。