C言語 C2774エラーの原因と対策について解説

Microsoft Visual C++ の __declspec(property) を使う際、プロパティに対応する putメソッドが定義されていない場合にエラー C2774 が発生します。

読み取り専用として宣言されたプロパティに値の代入や更新を試みると、このエラーが表示されます。

C言語や C++ の開発環境で作業中に見かけることがあるため、原因と解決策を確認すると役立ちます。

C2774エラーの基本

エラーメッセージの内容

C2774エラーは、プロパティに関連付けられたputメソッドが存在しない状態で、値の設定(代入)を行った際に発生するエラーです。

エラーメッセージは以下のように表示されます。

'identifier' : このプロパティに関連付けられた 'put' メソッドはありません

このメッセージは、プロパティで宣言されたデータメンバーがget属性のみで、値を更新するためのput属性が定義されていない場合に表示されます。

発生条件と原因

エラーC2774は、次の場合に発生します。

• プロパティに対して、読み取り用のgetメソッドのみ定義し、書き込み用のputメソッドが実装されていない場合。
• プロパティの値を代入または更新しようとした際に、関連するputメソッドが存在しない場合。
• 例として、pa->prop = val;やpa->prop++;のように操作するとエラーが発生します。

このエラーは、プロパティ操作において読み取り専用であるべきか、もしくは書き込み操作が許可されるべきかを明確にするためにコンパイラがチェックする仕組みとして働きます。

__declspec(property)の動作

get属性とput属性の役割

Visual C++では、__declspec(property)を使用してクラスや構造体内にプロパティを宣言できます。

この仕組みにより、関数の呼び出しを透過的に行えるため、メンバー変数の直接アクセスのように利用できます。

getメソッドの役割

getメソッドはプロパティの値を読み取る役割を持ちます。

プロパティにアクセスするとき、getメソッドが自動的に呼ばれ、内部変数の値や計算結果を返却します。

これにより、カプセル化が実現され、内部データの保護が可能となります。

putメソッドの必要性

一方、putメソッドはプロパティへの書き込み要求、つまり値の設定を受け付けるために必要です。

putメソッドが存在しない場合、値の更新操作を行おうとするとコンパイラはエラーC2774を出力し、値の変更ができない状態となります。

プロパティに対して書き込み操作が必要な場合は、必ずput属性を定義する必要があります。

プロパティ宣言時の注意事項

プロパティ宣言時には以下の点に注意してください。

• プロパティを読み取り専用にする場合は、get属性のみで十分ですが、後の変更操作が不要かどうか再確認してください。
• 書き込みも可能にしたい場合は、必ず対応するputメソッドを実装する必要があります。
• メンバー関数名は分かりやすいように命名し、get属性とput属性が明確に対応するようにします。
• プロパティとして定義したメンバー変数に対して、意図せず更新が入らないように設計を見直すことも大切です。

C2774エラー発生の実例

コード例の検証

プロパティを利用したサンプルコードで、putメソッドが定義されていない場合にC2774エラーが発生する様子を確認できます。

以下はエラーが発生する状況を示す簡単な例です。

エラー発生コードの特徴

エラー発生コードは、プロパティ宣言時にget属性のみ指定し、put属性を省略した状態で値の代入・更新操作を試みています。

具体的には、

• プロパティに対して直接代入する操作(例：pa->prop = val;)
• 更新演算子(例：pa->prop++;)を用いる操作が原因となります。

このような操作に対して、コンパイラは「putメソッドが定義されていない」という理由でエラーC2774を出力します。

発生シチュエーションの確認

C2774エラーは、主に以下のシチュエーションで発生します。

• クラスや構造体で__declspec(property)を使用しているが、読み取り専用とする意図が明確でない場合。
• 後から書き込み操作が必要となる可能性があるコードに対して、putメソッドの実装が漏れている場合。
• プロパティ宣言後に、意図せず値を変更するコードが追加され、コンパイラがエラーとして検出するケース。

これらのシチュエーションでは、プロパティの設計や実装を見直し、必要に応じてputメソッドを追加することが求められます。

エラーC2774の対策

putメソッドの実装方法

C2774エラーの対策として、プロパティに対して正しくputメソッドを実装する方法を紹介します。

以下は、prop2というプロパティに対してputメソッドを実装したサンプルコードです。

#include <iostream>
// 構造体Aのプロパティとしてget属性とput属性を指定
struct A {
    // 読み取り専用プロパティ 'prop'(put属性が定義されていないため、書き込み不可)
    __declspec(property(get=GetProp)) int prop;
    // 読み書き可能プロパティ 'prop2'
    __declspec(property(get=GetProp2, put=PutProp2)) int prop2;
    // propのgetメソッド
    int GetProp() {
        // internalValueは内部の変数
        return internalValue;
    }
    // prop2のgetメソッド
    int GetProp2() {
        return internalProp2;
    }
    // prop2のputメソッド
    void PutProp2(int value) {
        internalProp2 = value;
    }
    // 内部データメンバー
    int internalValue;
    int internalProp2;
};
int main() {
    // 構造体Aのインスタンスを生成
    A a;
    a.internalValue = 50;
    a.internalProp2 = 100;
    // propは読み取り専用なので、値の取得のみ可能
    std::cout << "prop: " << a.prop << "\n";  // GetPropが呼ばれる
    // prop2は書き込みも可能なプロパティ
    std::cout << "prop2: " << a.prop2 << "\n"; // GetProp2が呼ばれる
    // putメソッドを使ってprop2の値を更新
    a.prop2 = 200;
    std::cout << "prop2 (updated): " << a.prop2 << "\n"; // 更新後の値を取得して出力
    return 0;
}

prop: 50
prop2: 100
prop2 (updated): 200

上記のサンプルコードでは、prop2に対してputメソッドが正しく実装されているため、値の更新が問題なく行えることが確認できます。

デバッグ時のポイントと対処法

エラーC2774が発生した場合、以下のポイントを確認してください。

• プロパティ宣言において、値の代入や更新が必要な場合は、必ずput属性を定義しているか確認する。
• コードの中で、意図しない更新が行われていないか、プロパティの利用箇所を見直す。読み取り専用にする意図の場合、更新操作を行っていないかチェックする。
• デバッグ時には、プロパティへのアクセスが正しくgetやputのメソッドを介して行われているか、実行時の呼び出し順序などを検証し、問題が発生している箇所を特定する。

これらの視点でコードを確認することで、エラーC2774の原因を迅速に特定し、適切な対策(必要なputメソッドの追加や、意図しない書き込み操作の削除)を施すことが可能です。

まとめ

この記事では、C2774エラーの基本的な内容とエラーメッセージ、発生条件や原因について解説しています。

また、Visual C++の__declspec(property)におけるget属性とput属性の役割、プロパティ宣言時の注意点を説明し、実例を通してエラー発生コードの特徴や発生シチュエーションを確認しました。

さらに、エラーC2774の対策としてのputメソッドの正しい実装方法やデバッグ時のポイントを示し、プロパティ利用におけるよくある落とし穴を回避する方法を学ぶことができます。