C言語で発生するC2726エラーの原因と対処方法について解説

C言語やC++環境で発生するC2726エラーは、gcnewキーワードを使ってネイティブ型のインスタンスを作成しようとした場合に起こります。

gcnewはマネージド型やWinRT型専用のため、ネイティブクラスについてはnewを使用する必要があります。

この記事では、エラーの原因と解決方法について簡潔に説明します。

エラー概要

C2726エラーの概要

C2726エラーは、C++においてgcnewが使用可能な対象を超えて利用されたときに発生するエラーです。

具体的には、gcnewはマネージド型やWinRT型のオブジェクトの作成にのみ使用可能であり、ネイティブ型に対して使用するとエラーが発生します。

コンパイラはこの利用ミスを検出し、適切な生成方法をアナウンスするためにC2726エラーを出力します。

エラー発生の背景と原因

gcnewの利用制限について

マネージド型およびWinRT型の対象

gcnewは、.NETのガベージコレクションヒープ上にオブジェクトを配置するための演算子です。

そのため、対象となるのはマネージド型ref classやWinRT型などであり、これらの型はガベージコレクション環境で正しく管理されます。

例えば、以下のように定義されたマネージド型はgcnewを利用して正しくインスタンス生成が可能です。

• ref class MyManagedClass { };
• WinRT型に該当する型も同様に扱われます。

ネイティブ型の扱いと制限

一方、通常のC++のネイティブ型(classやstructなど)には、newを使用してヒープ上にインスタンスを生成する必要があります。

gcnewをネイティブ型に適用すると、ガベージコレクション環境に適合しないためエラーC2726が発生します。

この制限は、メモリ管理の役割分担を明確にするために設けられています。

コンパイル設定との関連性

/clrオプションの役割

C++/CLI環境では、/clrオプションを指定してコンパイルすることで、マネージドコードとの相互運用が可能になります。

/clrオプションが有効な場合、コンパイラはマネージド型やWinRT型に特化したルールを適用します。

そのため、ネイティブ型に対してgcnewを使用した場合、コンパイラはガベージコレクション環境で管理されるべきでない型に対する演算子の適用を検出し、C2726エラーを発生させるのです。

エラー発生の具体例

再現可能なソースコード例

エラー発生コード例

以下のサンプルコードは、gcnewがネイティブ型に対して使用された場合のエラー例です。

コンパイルオプションに/clrを有効にしてコンパイルすると、C2726エラーが発生します。

#include <stdio.h>
using namespace System;
// ネイティブ型の定義
class NativeClass {};
// マネージド型の定義
ref class ManagedClass {};
// 値型の定義(構造体に近い)
value class ValueType { };
int main() {
    // 以下の行はエラー C2726 を発生させます
    NativeClass* instance1 = gcnew NativeClass;  // エラー発生: gcnewはネイティブ型には使用できません
    // 通常のネイティブ型のインスタンス生成
    NativeClass* instance2 = new NativeClass;      // 正しくコンパイルされます
    // マネージド型のインスタンス生成は gcnew を使用して正常に動作します
    ManagedClass^ instance3 = gcnew ManagedClass;
    // 値型のインスタンス生成も通常の方法で行います
    ValueType instance4;
    return 0;
}

正常なコード例との比較

以下のサンプルコードは、ネイティブ型とマネージド型それぞれに対して正しいインスタンス作成方法を示しています。

ネイティブ型はnewを、マネージド型はgcnewを利用しており、コンパイルエラーは発生しません。

#include <stdio.h>
using namespace System;
// ネイティブ型の定義
class NativeClass {};
// マネージド型の定義
ref class ManagedClass { };
int main() {
    // ネイティブ型のインスタンス生成は new を使用
    NativeClass* nativeInstance = new NativeClass;
    // マネージド型のインスタンス生成は gcnew を使用
    ManagedClass^ managedInstance = gcnew ManagedClass;
    // 結果を出力(標準出力)
    printf("正常なコード例です\n");
    return 0;
}

正常なコード例です

コンパイルエラーメッセージの解説

上記のエラー発生コード例をコンパイルすると、コンパイラから以下のようなエラーメッセージが出力されます。

error C2726: 'gcnew' は、マネージド型または WinRT 型のオブジェクトの作成にのみ使用できます

このメッセージは、gcnew演算子がネイティブ型のNativeClassに対して適用されていることを示しています。

エラーメッセージは、どの行が問題であり、どのような型に対して正しくない演算子が使用されているのかを明確に伝えてくれます。

エラー対処方法の解説

正しいインスタンス作成方法

gcnewとnewの使い分け

エラーC2726への対処方法として、まずはgcnewとnewの使い分けを正しく理解する必要があります。

• マネージド型やWinRT型のオブジェクトを生成する場合は、gcnewを使用します。ガベージコレクションによるメモリ管理が働くため、メモリ解放については気にする必要がありません。
• ネイティブ型のオブジェクトを生成する場合は、newを使用します。こちらは手動でのメモリ管理や解放が必要になる場合があります。

コード修正例の提示

以下は、ネイティブ型に対してgcnewが使用されてエラーが起こるコードを修正した例です。

NativeClassのインスタンス生成にはnewを使用し、マネージド型のManagedClassのインスタンス生成にはgcnewを利用しています。

#include <stdio.h>
using namespace System;
// ネイティブ型の定義
class NativeClass { };
// マネージド型の定義
ref class ManagedClass { };
int main() {
    // ネイティブ型のインスタンス生成は new を使用
    NativeClass* nativeInstance = new NativeClass;
    // マネージド型のインスタンス生成は gcnew を使用
    ManagedClass^ managedInstance = gcnew ManagedClass;
    printf("修正後のコードは正常にコンパイルされます\n");
    return 0;
}

修正後のコードは正常にコンパイルされます

コンパイルオプションの確認と調整

/clrオプション設定の確認方法

/clrオプションは、C++コードをマネージド環境でコンパイルするために必要な設定です。

プロジェクトのプロパティ画面や、コマンドラインビルドの場合はコンパイルオプションに/clrが含まれているかを確認してください。

• Visual Studioの場合は、プロジェクトのプロパティ → 構成プロパティ → 全般 → Common Language RunTime サポートで/clrが有効になっているか確認します。
• コマンドラインでコンパイルする場合は、cl /clr file.cppのようにオプションを追加してください。

適切なコンパイルオプションが設定されていない場合、gcnewの使用に関連したエラーが発生する可能性があるため、必ず設定を確認することが重要です。

まとめ

この記事では、C++/CLI環境下で発生するエラーC2726の原因とその対処法について解説しました。

特に、マネージド型やWinRT型専用のgcnewとネイティブ型専用のnewの違い、/clrオプションの役割が重要であることが理解できます。

また、具体例を通してエラー発生の状況と正しいコード修正方法が示され、適切なインスタンス生成方法やコンパイルオプションの確認方法が明確になった内容です。