コンパイラエラー

C言語で発生するコンパイラエラー C2715 の原因と対策を解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

コンパイラエラー C2715は、マネージド環境で例外処理を行う際に、値型のオブジェクトを直接スローまたはキャッチしようとした場合に発生します。

例えば、値構造体のオブジェクトをそのまま例外として扱うとエラーとなるため、適切な参照型表記を用いる必要があります。

エラーの詳細や対策については、公式ドキュメントなども参考にしてください。

目次から探す

エラー C2715 の概要
- エラーの意味と発生条件
- 発生する環境の特徴
エラー発生の原因
対策と回避方法
コード修正例
- 改善前のコード例
- 改善後のコード例
まとめ

エラー C2715 の概要

エラーの意味と発生条件

エラー C2715 は、C++のマネージド環境で例外処理を行う際に、値型(value type)のオブジェクトを例外としてスローまたはキャッチしようとすると発生するエラーです。

例えば、C++/CLIで/clrオプションを使用してコンパイルすると、マネージドコードにおいて値型オブジェクトをそのまま例外として扱うことが制限されるため、このエラーが発生します。

エラーが発生する条件としては、以下の点が挙げられます。

マネージド環境でのコンパイル時(通常、/clrオプションの利用下)
値型(構造体やvalue struct)の変数を例外としてスローまたはキャッチしようとした場合
例外オブジェクトのコピーが行われる際に、型の制限に引っかかる場合

これにより、値型のオブジェクトは意図した方法で例外処理が行えない状況になります。

発生する環境の特徴

エラー C2715 は、主にマネージドコードの環境で見受けられます。

C++/CLIでは、ネイティブなC++と異なり、マネージドオブジェクトと値型オブジェクトの取り扱いに関していくつかの制約があります。

具体的には以下のような特徴があります。

マネージド環境では、ガベージコレクションやマネージドポインタが利用されるため、値型オブジェクトのライフタイムやコピー処理が厳密に管理されています。
値型をそのまま例外としてスローすると、内部的にコピー処理が行われる際に型の互換性や安全性が保証できなくなりエラーとなります。
C++/CLIでは、参照型(例えば^を用いる型)を利用する方法が推奨されるため、値型の取り扱いには注意が必要となります。

エラー発生の原因

値型オブジェクトの例外スローに関する問題

値型オブジェクトを例外としてスローする際、コピーコンストラクタが呼び出される場合がありますが、C++/CLIのマネージドコードではこのコピー処理が正しく行われないことがあります。

特に、ガベージコレクションの影響や型の制約により、値型オブジェクトを例外に用いると、意図しない動作を引き起こす原因となります。

マネージド環境での例外処理特有の制約

マネージド環境では、例外オブジェクトが管理される方法がネイティブC++とは異なるため、例外スローとキャッチの際に参照型(例えばException^)を利用する必要があります。

値型オブジェクトをそのまま使用すると、例外処理の仕組みがうまく連携せず、エラー C2715 が発生します。

そのため、マネージドコードでは例外オブジェクトは常に参照型に変換して取り扱うことが求められます。

C言語とC++における実装の相違点

C言語は例外処理の仕組み自体が存在しません。

そのため、C言語の開発環境ではエラー C2715のようなコンパイラエラーは発生しません。

一方でC++は例外機構を持ち、特にC++/CLIのようなマネージド環境では、例外処理に関連する特有の制約があるため、値型と参照型の取り扱いの違いが原因となってエラーが発生する場合があります。

対策と回避方法

正しい例外スロー方法の選択

値型オブジェクトを直接例外としてスローするのではなく、参照型に変換してからスローする方法が推奨されます。

これにより、マネージド環境の制約に沿った安全な例外処理が可能となります。

参照型を利用することで、例外オブジェクトのコピー処理が適切に行われ、エラーの発生を回避できます。

参照型による例外スローの実装例

以下は、参照型を利用して例外をスローするサンプルコードです。

#include <iostream>
using namespace System;
// マネージド値構造体(value struct)の定義
value struct ValueStruct {
    int number;
};
void throwException() {
    ValueStruct vs;
    vs.number = 42;
    // 参照型に変換してスローすることで、エラー C2715 を回避
    throw (%vs);
}
int main() {
    try {
        throwException();
    }
    catch (ValueStruct^ vs) { // 参照型のキャッチで受け取る
        if (vs->number == 42) {
            Console::WriteLine("Caught exception with number: 42");
        }
        else {
            Console::WriteLine("Caught exception with unexpected value");
        }
    }
    catch (...) {
        Console::WriteLine("Unexpected exception caught");
    }
    return 0;
}

Caught exception with number: 42

適切な例外キャッチ記述の手法

例外をキャッチする際にも値型ではなく参照型を利用する必要があります。

これにより、例外オブジェクトが適切に管理され、正常な例外処理が実現します。

値型でキャッチしようとすると、例外が正しく伝播せず、コンパイル時にエラーが発生する可能性があるため注意が必要です。

ポインタキャッチを利用した例外処理

参照型またはポインタを利用して例外をキャッチする具体例を以下に示します。

この方法を採用することで、例外オブジェクトを安全に操作できるようになります。

#include <iostream>
using namespace System;
value struct ValueStruct {
    int number;
};
void throwException() {
    ValueStruct vs;
    vs.number = 100;
    // 参照型に変換してスロー
    throw (%vs);
}
int main() {
    try {
        throwException();
    }
    catch (ValueStruct^ pVs) { // ポインタを利用して例外をキャッチ
        if (pVs->number == 100) {
            Console::WriteLine("Caught exception with number: 100");
        }
        else {
            Console::WriteLine("Caught exception with unexpected number");
        }
    }
    catch (...) {
        Console::WriteLine("An unexpected exception occurred");
    }
    return 0;
}

Caught exception with number: 100

コンパイラオプションと環境設定の確認

エラー C2715 は主にマネージドコード環境下で発生するため、プロジェクトのコンパイルオプションが問題となる場合があります。

以下の点を確認してください。

プロジェクト設定で/clrオプションが正しく設定されているか
マネージド環境における例外処理のポリシーが適切に構成されているか
例外をスロー・キャッチする際に値型ではなく参照型を利用するコードが記述されているか

これらの確認により、予期せぬエラーの発生を防止することができます。

コード修正例

改善前のコード例

以下は、マネージドコード環境下で値型オブジェクトをそのまま例外スローおよびキャッチしようとした場合のコード例です。

このコードはエラー C2715 を引き起こす可能性があります。

#include <iostream>
using namespace System;
// マネージド値構造体の定義
value struct ValueStruct {
    int number;
};
void throwException() {
    ValueStruct vs;
    vs.number = 10;
    throw vs; // ここでエラー C2715 が発生する可能性がある
}
int main() {
    try {
        throwException();
    }
    catch (ValueStruct vs) { // 値型でキャッチしようとしている
        if (vs.number == 10) {
            Console::WriteLine("Caught 10 - but may trigger error C2715");
        }
        else {
            Console::WriteLine("Caught unexpected value");
        }
    }
    catch (...) {
        Console::WriteLine("An unexpected exception occurred");
    }
    return 0;
}

改善後のコード例

以下は、参照型を利用することでエラー C2715 を回避した改善例です。

例外スロー及びキャッチの際に値型を参照型に変換することで、正常に動作させることができます。

#include <iostream>
using namespace System;
// マネージド値構造体の定義
value struct ValueStruct {
    int number;
};
void throwException() {
    ValueStruct vs;
    vs.number = 10;
    // 参照型に変換してスローする
    throw (%vs);
}
int main() {
    try {
        throwException();
    }
    catch (ValueStruct^ pVs) { // 参照型のキャッチ
        if (pVs->number == 10) {
            Console::WriteLine("Caught 10 correctly");
        }
        else {
            Console::WriteLine("Caught unexpected value");
        }
    }
    catch (...) {
        Console::WriteLine("An unexpected exception occurred");
    }
    return 0;
}

Caught 10 correctly

まとめ

この記事では、C++/CLI環境におけるエラー C2715 の発生原因と対策について解説しています。

値型オブジェクトをそのまま例外としてスローやキャッチしようとすると、コピー処理などが正しく行われずエラーが発生する点に注意が必要です。

参照型を利用した例外処理の適用例や適切なコンパイラオプションの設定方法により、エラー回避が可能であることを理解できます。