コンパイラエラー

C言語とC++におけるコンパイラ エラー C2705の原因と対策について解説

この記事では、C言語とC++環境で発生するコンパイラ エラー C2705について解説します。

C2705は例外処理ブロック内のラベルへ不正にジャンプする操作が原因で発生します。

例えば、goto文で__try__finallyブロック内のラベルにジャンプするとエラーとなるため、適切なコード配置が求められます。

コード例を交えながらエラーの原因と修正方法を確認できる内容となっております。

エラー C2705の背景と発生条件

エラーの概況

C2705エラーは、例外処理ブロック内での不正なジャンプ操作が原因となって発生するエラーです。

C言語やC++の例外管理機能を使用する際、特にWindowsのStructured Exception Handling(SEH)において、__try/__except__try/__finallyブロック内に定義されたラベルへジャンプすることが禁止されています。

このため、例外処理ブロックの境界を越えたラベルジャンプがある場合、コンパイラがC2705エラーを発生させる仕組みになっています。

発生原因の詳細

エラーC2705はコンパイラがコードの流れが例外処理ブロックの外に飛び出してしまうのを防ぐために実装されている保護機能です。

不正なラベルジャンプが行われると、プログラムの例外処理が意図せずに乱れ、予期せぬ動作を引き起こす恐れがあるため、コンパイラ側もその使用を許可していません。

ラベルジャンプによる制約

ラベルジャンプによる制約は、例外処理ブロックの内部または外部の特定のスコープ間で許容されるジャンプ先と許容されないジャンプ先が明確に区別される必要がある点にあります。

特に、__try/__except__try/__finallyブロック内では、例外処理が実施されるため、ラベルジャンプによりブロック外へ抜け出すと、例外のスタックが正しく管理されなくなる可能性があるため、明確に制約が設けられています。

例えば、以下の数式のようにジャンプ可能な範囲(S)の概念と、ジャンプ後の期待される状態(E)が一致しない場合が問題となります。

SE

このような状況を防ぐために、コンパイラはエラーC2705を発生させます。

例外処理ブロック内のラベル使用規則

__try/__except と __try/__finally の仕組み

Windows環境における例外処理では、__try/__except__try/__finallyという2種類のブロックが使用されます。

前者は例外が発生した際にエラーハンドラーで処理を試みる仕組みであり、後者は例外の有無にかかわらず必ず実行される後処理のためのブロックです。

これらのブロックは、例外の発生と処理を正しく管理するために、その内部の制御フローに厳格なルールが設定されています。

例えば、例外発生時に行われるリソースの解放やクリーンアップ処理は、この仕組みのおかげで確実に実施されます。

ジャンプ禁止ルール

例外処理ブロック内の制御フローにおいては、ラベルジャンプが意図しない場所に飛ぶことがないように、厳密なルールが設けられています。

特に、__tryブロック外に定義されたラベルへジャンプを試みるコードは避ける必要があります。

これにより、例外処理のスタックが混乱せず、プログラムの安定性が保たれます。

以下のルールが示すように、例外処理ブロックの範囲外への任意のジャンプは認められていません。

不正なラベルジャンプの事例

不正なラベルジャンプの事例として、__tryブロック内で定義されたラベルへジャンプするコードが挙げられます。

次のC++のサンプルコードはその一例です。

#include <windows.h>
#include <stdio.h>
int main() {
    // 不正なジャンプ例
    goto exceptionLabel;  // 例外処理ブロック内のラベルへジャンプするためエラー発生
    __try {
        exceptionLabel:  // C2705エラーが発生する原因
        printf("This is inside __try block.\n");
    }
    __finally {
        printf("Finally block executed.\n");
    }
    return 0;
}
コンパイル時にエラー C2705 が発生

このサンプルでは、例外処理ブロック内のラベルに対してgoto命令を実行しており、コンパイラが不正なジャンプとしてエラーC2705を発生させます。

コード例とエラーメッセージの分析

エラー発生コードの紹介

エラー発生を再現するためのサンプルコードでは、例外処理ブロック内でのラベルジャンプの問題が強調されています。

下記のコードは、先ほどの不正なラベルジャンプを再現する例です。

#include <windows.h>
#include <stdio.h>
int main() {
    // 不正なジャンプ先のラベルへジャンプする
    goto trouble;
    __try {
        trouble:  // ここが問題となるラベル
        printf("Inside __try block\n");
    }
    __finally {
        printf("Inside __finally block\n");
    }
    return 0;
}
コンパイル時にエラー C2705 が発生

この例では、goto trouble;__tryブロック内のラベルにジャンプしようとするため、C2705エラーが発生します。

エラーメッセージの内容解析

コンパイラから出力されるエラーC2705は、「“label: ‘exception handler block’ スコープへの不正なジャンプ」という文言を含んでいます。

このエラーメッセージは、例外ハンドラーとして定義されたブロック内のラベルに対して不正なジャンプが行われたことを示しています。

エラーが示す内容は、ジャンプの移動先が例外処理ブロックとして保護された領域であるため、その制約に反している点にあります。

そのため、例外処理の正しい実行順序が崩れることを防ぐ意図があります。

表示されるエラーメッセージの要点

エラーメッセージの要点は以下の通りです。

  • 「exception handler block」へのジャンプが禁止されている。
  • 例外処理ブロック内のラベルに対する移動は、例外の管理に問題を引き起こす。
  • コンパイラはこのルール違反を検出するとエラーC2705として報告する。

このエラーメッセージを理解することで、コードレビューやデバッグ時に不正なジャンプを事前に防ぐことができます。

エラー解消のための対策

修正例によるエラー回避方法

エラーC2705を回避するための基本的な対策は、例外処理ブロック内でのラベル宣言を適切に配置し、ジャンプ先がブロック内部に限定されるようにすることです。

例えば、以下のサンプルコードでは、goto文の位置を見直すことでエラーを回避する方法を示しています。

#include <windows.h>
#include <stdio.h>
int main() {
    // ラベルを例外処理ブロックの外に定義してからジャンプする
    goto safeLabel;
    __try {
        // この位置にラベルが存在するとエラーになるため、ラベルを外部に配置
        printf("Inside __try block\n");
    }
    __finally {
        printf("Inside __finally block\n");
    }
    safeLabel:
    // 例外処理ブロック外でのラベルジャンプは許容される
    printf("Safe label execution\n");
    return 0;
}
Safe label execution

この例では、safeLabelを例外処理ブロックの外側に配置することで、ジャンプが適切なスコープ内で行われ、エラーC2705が発生しなくなります。

適切なラベル配置の実践例

適切なラベル配置を行うためには、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 例外処理ブロック内で使用するラベルは、該当ブロックの中でのみジャンプするように設計する。
  • ラベルが複数の場所で必要な場合は、回避策として関数分割や条件分岐を用いる。
  • goto文の使用は、コードの可読性と管理の観点からも最小限に抑える。

以下のサンプルコードは、例外処理ブロック内でラベルジャンプを行わずに、安全に処理の分岐を実現する一例です。

#include <windows.h>
#include <stdio.h>
void processExceptionHandling() {
    __try {
        // 例外処理ブロック内は通常の制御構造で処理を分岐
        printf("Processing inside __try block\n");
        // 何らかの理由で処理の分岐が必要な場合は条件分岐を使用する
        int condition = 1;
        if (condition) {
            printf("Condition met inside __try block\n");
        }
    }
    __finally {
        printf("Finalizing in __finally block\n");
    }
}
int main() {
    processExceptionHandling();
    printf("Execution continues in main\n");
    return 0;
}
Processing inside __try block
Condition met inside __try block
Finalizing in __finally block
Execution continues in main

このコード例では、ラベルジャンプを使用せずに条件分岐を利用して制御フローを管理する方法を示しています。

これにより、例外処理ブロックの安全性が確保され、エラーC2705の発生を防ぐことができます。

まとめ

この記事では、エラーC2705の背景と発生条件、特に例外処理ブロック内でのラベルジャンプの制約について理解できます。

具体的なエラーメッセージの解析とサンプルコードを通して、なぜ不正なジャンプが問題となるのか、またその対策として適切なラベル配置や制御構造の利用方法が示されています。

これにより、例外処理のルールを遵守し、より安全なコード作成方法が把握できる内容となっています。

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