コンパイラエラー

C++ コンパイラエラー C2688 の原因と対処方法について解説

Visual C++で発生するコンパイラエラー C2688は、変数引数を持つ仮想関数で共変の戻り値型を使用した際に発生します。

派生クラスで基底クラスと異なる型の戻り値を定義するとエラーが出るため、戻り値型の統一や変数引数の使用見直しが必要となります。

C言語やC++の開発環境でご注意ください。

エラー発生状況とエラーメッセージ

このセクションでは、エラーコード C2688 が発生する際のエラーメッセージの内容や、どのような状況下でエラーが生じるかについて説明します。

エラーメッセージの構成

C2688 エラー時のメッセージは、次のような情報を含んでいます。

  • 対象となるクラスやメンバー関数の名前
  • 共変戻り値に関する記述
  • 変数引数 (varargs) を使用している場合の指摘

例えば、Visual C++ では以下のようなエラーメッセージが表示されることがあります。

「『C2::fgrv』: covariant は varargs関数でサポートされていない複数の、または仮想継承を返します。」

このメッセージは、返り値の型が基底クラスの型と一致していない箇所が原因であることを示唆しており、変数引数を使用している関数で共変戻り値が定義されている場合に特に発生します。

発生条件と制約

C2688 エラーは、次の場合に発生することが確認されています。

  • 基底クラスの仮想関数で共変戻り値を用いており、派生クラスでその関数をオーバーライドする際に異なる戻り値型が指定されている場合
  • 該当する関数が変数引数...を含む場合

Visual C++ のコンパイラでは、共変戻り値と変数引数の組み合わせがサポートされていないため、これらの条件が揃うとエラーが発生します。

また、仮想関数のオーバーライド時に戻り値の整合性が保たれていない場合も、同様のエラーが起こる可能性があります。

原因分析

本セクションでは、C2688 エラーの原因となる要素について詳しく解析します。

仮想関数における共変戻り値の仕組み

C++ では、基底クラスの仮想関数を派生クラスでオーバーライドする際に、戻り値の型を基底クラスのものと異なる型に変更することが可能です。

これを共変戻り値(covariant return types)と呼びます。

共変戻り値により、派生クラスのオブジェクト特有の情報を返すことができる柔軟性があります。

しかし、共変戻り値の機能は一定の条件下でのみサポートされます。

特に、関数が変数引数を含む場合には、共変戻り値の機能は使用できず、コンパイラがエラーを報告します。

この仕組みは、コンパイラがオーバーロードや関数呼び出しの解決を行う際に、引数の数や型とともに戻り値型の整合性も確認するためです。

変数引数の影響

変数引数(varargs)は、関数が可変個の引数を受け入れるために使用されます。

変数引数を用いる関数は、引数の詳細な型情報を保持しないため、共変戻り値を利用する場合に型の安全性が損なわれる恐れがあります。

Visual C++ のコンパイラは、変数引数を含む仮想関数に対して共変戻り値をサポートしない制約を設けています。

このため、基底クラスと派生クラスで戻り値型が一致していない場合、エラー C2688 が発生する要因となります。

また、変数引数を利用することで、関数の呼び出し時に型チェックが困難になり、意図しない動作を引き起こす危険性も考慮されています。

コード例と解析

本セクションでは、具体的なサンプルコードを用いてエラーの発生箇所を確認します。

サンプルコードの提示

以下のコードは、エラー C2688 が発生する状況を示す例です。

コード内のコメントで、各部分の役割を説明しています。

#include <cstdio>
// 基底クラス用の構造体
struct G1 {
    // G1のメンバー変数やメソッドがここにあると仮定
};
struct G2 {
    // G2のメンバー変数やメソッドがここにあると仮定
};
// G1 と G2 を継承して、新たな型G3を定義
struct G3 : public G1, public G2 {};
// 別の基底構造体
struct G4 {
    // G4のメンバー変数やメソッドがここにあると仮定
};
struct G5 {
    // G5のメンバー変数やメソッドがここにあると仮定
};
// G4 と G5 を継承して、新たな型G6を定義
struct G6 : public G4, public G5 {};
// G3 と G6 を継承して、新たな型G7を定義
struct G7 : public G3, public G6 {};
// 基底クラス
struct C1 {
    // 仮想関数 fgrv を定義
    // 可変個引数を使用するため、引数リストに ... が含まれる
    virtual G4& fgrv(int number, ...) {
        // 引数 number を使って簡単な処理を実装
        return *(new G4());
    }
};
// 派生クラス
struct C2 : public C1 {
    // 基底クラスのメソッドをオーバーライドし、共変戻り値により G7& を返す
    // ここで、基底の G4& と戻り値の型が異なるためエラーが発生します
    virtual G7& fgrv(int number, ...) {
        return *(new G7());
    }
};
int main() {
    // C2クラスのオブジェクト生成
    C2 obj;
    // オーバーライドした fgrv を呼び出す
    // 可変引数として整数値を渡すサンプル
    G7 &result = obj.fgrv(10, 20, 30);
    // 簡単な出力(ポインタのアドレスを表示)
    std::printf("Result address: %p\n", (void*)&result);
    return 0;
}
Result address: 0xXXXXXXXX

出力結果は実行環境により異なります。

エラー発生箇所の指摘

上記コードにおいて、エラーが発生する部分は次の箇所です。

  • 基底クラス C1 の仮想関数 fgrv は、戻り値として G4& を返します。
  • 派生クラス C2 のオーバーライドされた fgrv は、共変戻り値として G7& を返すように定義されています。
  • 両関数は共に変数引数を持っているため、Visual C++ のコンパイラでは、この組み合わせはサポートされず、エラー C2688 が発生します。

このエラーは、変数引数を用いる関数で共変戻り値を実現しようとしている点に問題があるため、解決には基底クラスと派生クラスの戻り値型の統一が求められます。

対処方法の提案

以下の方法により、エラー C2688 を回避する実装変更が可能です。

戻り値型の統一による対策

最も直接的な対策は、基底クラスと派生クラスで戻り値の型を同一にする方法です。

この方法では、共変戻り値を利用することなく、両クラスで同じ型を返すように実装を統一します。

例えば、次のように変更することが考えられます。

#include <cstdio>
// 基底クラス用の構造体
struct G1 {
};
struct G2 {
};
// G1 と G2 を継承して、新たな型G3を定義
struct G3 : public G1, public G2 {
};
// 別の基底構造体
struct G4 {
};
struct G5 {
};
// G4 と G5 を継承して、新たな型G6を定義
struct G6 : public G4, public G5 {
};
// G3 と G6 を継承して、新たな型G7を定義
struct G7 : public G3, public G6 {
};
// 基底クラス
struct C1 {
    // 戻り値型を共通の G4& に統一
    virtual G4& fgrv(int number, ...) {
        return *(new G4());
    }
};
// 派生クラス
struct C2 : public C1 {
    // 基底クラスと同じ戻り値型 G4& を返すように定義
    virtual G4& fgrv(int number, ...) {
        // ここでは G4 型のオブジェクトを返すように変更する
        return *(new G4());
    }
};
int main() {
    C2 obj;
    G4 &result = obj.fgrv(10, 20);  // 可変引数として整数値を指定
    std::printf("Result address (G4): %p\n", (void*)&result);
    return 0;
}
Result address (G4): 0xXXXXXXXX

この実装は、基底と派生クラスの戻り値型を統一しているため、エラー C2688 を回避することができます。

変数引数を使用しない実装への変更

もう一つの対策は、関数定義から変数引数を除去する方法です。

変数引数を使用しなければ、コンパイラは共変戻り値の整合性のみをチェックすればよくなり、エラーが発生しません。

以下は、変数引数無しで共変戻り値を利用するサンプルコードです。

#include <cstdio>
// 基底クラス用の構造体
struct G1 {
};
struct G2 {
};
// G1 と G2 を継承して、新たな型G3を定義
struct G3 : public G1, public G2 {
};
// 別の基底構造体
struct G4 {
};
struct G5 {
};
// G4 と G5 を継承して、新たな型G6を定義
struct G6 : public G4, public G5 {
};
// G3 と G6 を継承して、新たな型G7を定義
struct G7 : public G3, public G6 {
};
// 基底クラス
struct C1 {
    // 変数引数を除去した仮想関数の定義
    virtual G4& fgrv(int number) {
        return *(new G4());
    }
};
// 派生クラス
struct C2 : public C1 {
    // 共変戻り値として G7& を返す定義も可能
    virtual G7& fgrv(int number) {
        return *(new G7());
    }
};
int main() {
    C2 obj;
    // 変数引数無しの呼び出し
    G7 &result = obj.fgrv(100);
    std::printf("Result address (G7): %p\n", (void*)&result);
    return 0;
}
Result address (G7): 0xXXXXXXXX

この方法では、変数引数が存在しないため、共変戻り値の仕組みを安全に適用することができ、エラー C2688 が発生しません。

環境や必要な機能に応じて、どちらの対策を採用するか検討してください。

まとめ

この記事では、Visual C++ のエラー C2688 の発生条件と、エラーメッセージに含まれる共変戻り値と変数引数の組み合わせに起因する問題点について解説しました。

具体例を通してエラー発生箇所を明確にし、対策として戻り値型の統一や変数引数を使用しない実装への変更方法を説明しています。

これにより、エラーの原因と解決方法が把握できます。

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