コンパイラエラー

C言語 コンパイラエラー C2638の原因と対処法について解説

この記事では、C言語(Microsoft拡張を利用する環境)で見かけるコンパイラエラー C2638について説明します。

メンバーへのポインタに__based修飾子を誤って適用するとエラーが発生します。

具体例をもとに、原因や修正方法を分かりやすく解説します。

エラー発生の背景と原因

__based修飾子の役割

ポインタ修飾子としての利用意図

Microsoft独自の拡張機能として提供される__based修飾子は、メモリアドレス計算やポインタの基準位置を明示するために利用される機能です。

特定のアドレスを基準にした相対参照が必要な場合に、プログラマが意図的に基準を指定できるようになっています。

例えば、特定のデータセグメントや動的に変化するメモリ領域の先頭アドレスを利用する際に、__based修飾子を用いることで、ポインタ演算を容易にする意図があります。

メンバーへのポインタに対する制限

一方、クラスや構造体のメンバーに対して__based修飾子を適用することは許可されていません。

メンバー変数やメンバー関数へのポインタは、特定のインスタンスに対するオフセットとして管理されるため、静的な基準アドレスを指定する__based修飾子の意味が成立しなくなります。

その結果、誤った宣言としてコンパイラエラー C2638 が発生します。

コンパイラ固有の仕様

Microsoft拡張の特性

Microsoftのコンパイラは、標準C言語やC++とは異なる独自の拡張機能を提供しています。

__based修飾子はその一例であり、特定のハードウェアやOS上での効率的なメモリ操作を実現するために用意されています。

しかし、この拡張機能は標準規格から外れているため、使用場所や対象が厳密に制限されています。

特に、メンバーへのポインタに対しては利用できないと定義されているため、注意が必要です。

C言語における適用例と制限

C言語の標準仕様には、クラスメンバーの概念やメンバー関数という機能は存在しません。

しかし、構造体のポインタを利用する際に、メモリレイアウトやデータ配置の最適化のために特定のアドレスを基準とする技法が用いられる場合があります。

にもかかわらず、メンバー毎に__based修飾子を用いることは想定されておらず、Microsoftの拡張機能としても制限されています。

こうした制限を無視すると、コンパイラはエラー C2638 を発生させる仕様となっています。

コード例による検証

誤った使用例の詳細

該当コードの構造

以下のサンプルコードは、意図的に__based修飾子をメンバーへのポインタ宣言に適用した例です。

コードは、メンバー変数に対してポインタ宣言を行っていますが、Microsoftが定める使用制限に反しているためエラーが発生します。

#include <stdio.h>
// 基準アドレスを示すグローバル変数
void *baseAddress;
// クラス風の構造体定義
class MyStruct {
public:
    int i;
    int j;
    int func();
};
// メンバーへのポインタに対して __based 修飾子を適用しているためエラーが発生する例
int __based(baseAddress) MyStruct::* cpi = &MyStruct::i;  // この文によりエラー C2638 が発生
int (__based(baseAddress) MyStruct::* cpf)() = &MyStruct::func; // 同様にエラーとなる
int main(void) {
    printf("エラー例のサンプルコードです。\n");
    return 0;
}

エラーコード C2638 の発生箇所

上記コード内では、クラス(または構造体)MyStructのメンバーであるiおよびfuncへのポインタ宣言部分に__based修飾子が適用されています。

この部分がMicrosoftの仕様に反しているため、コンパイル時にエラー C2638 が発生します。

エラーメッセージは「メンバーへのポインタに対する __based 修飾子が不正です」と示され、どの修飾子が原因かを明確に伝えています。

コンパイラエラーメッセージの解析

エラーメッセージの意味

コンパイラが出力するエラーメッセージ「identifier’ : メンバーへのポインタに対する __based 修飾子が不正です」は、__based修飾子が対象として許可されていない場所に適用されていることを示しています。

このメッセージは、修飾子自体は正しい使い方をすれば有用なものであるものの、対象がクラスや構造体のメンバーに対しては利用できないことを明確に伝えています。

発生原因の具体的説明

エラー発生の具体的な原因は、__based修飾子はポインタの基準となるアドレスを明示するためのものであり、通常のグローバル変数やメモリアドレスに対して使用されることを前提としている点にあります。

対して、クラスや構造体内のメンバーへのポインタはそれ自体がオブジェクトの相対オフセットで管理されるため、特定の基準アドレスの概念と矛盾します。

そのため、メンバーへのポインタにこの修飾子を適用すると、コンパイラはどの基準でアドレス計算を行うべきか判断できず、エラー C2638 を発生させるのです。

対処方法の解説

修正方法の提示

正しいポインタ宣言の記述例

メンバーへのポインタを宣言する際は、__based修飾子を除外して記述する必要があります。

以下のサンプルコードは、正しい形式のポインタ宣言例を示しています。

ここでは、直接インスタンスのメンバーにアクセスする形で示しています。

#include <stdio.h>
// 正常な動作が期待できるクラス風の構造体定義
class MyStruct {
public:
    int i;
    int j;
    int func();
};
// 正しいポインタ宣言の例(__based修飾子を使用しない)
int MyStruct::* cpi = &MyStruct::i;      // メンバー変数へのポインタ
int (MyStruct::* cpf)() = &MyStruct::func; // メンバー関数へのポインタ
int main(void) {
    MyStruct instance;
    instance.i = 42;
    printf("instance.i: %d\n", instance.i);
    return 0;
}
instance.i: 42

__based修飾子の適切な利用方法

__based修飾子は、クラスや構造体のメンバーへのポインタではなく、グローバルなポインタ変数や対象が明確なメモリ領域に対して適用する方法があります。

たとえば、特定のデータセグメントや配列の先頭アドレスに対して基準を示す場合は、次のように記述することができます。

#include <stdio.h>
void *baseAddress = (void *)0x1000;  // 基準アドレスの例
// グローバルなポインタ宣言に__based修飾子を適用
int __based(baseAddress) * globalPtr;
int main(void) {
    int data = 123;
    globalPtr = &data;
    printf("data: %d\n", *globalPtr);
    return 0;
}
data: 123

この例では、グローバルなポインタ変数globalPtrに対して__based修飾子を適用しており、正しい使い方となります。

このように、利用対象を明確にした上で__based修飾子を使用することが重要です。

注意点と検証ポイント

修正時の留意事項

修正の際は、以下の点に注意してください。

  • クラスや構造体のメンバーに対しては、絶対に__based修飾子を使用しないこと。
  • グローバル変数や静的に割り当てられるメモリアドレスに対してのみ、__based修飾子を適用するようにすること。
  • コンパイラのバージョンやオプションによって動作が異なる場合があるため、利用する開発環境の仕様をあらかじめ確認すること。

他の類似エラーとの違い

他のエラー(たとえば、型不一致や未定義動作に起因するエラー)と区別するために、今回のエラーは明確に「__based修飾子の誤用」として特定できます。

エラーメッセージにおいて、対象がメンバーへのポインタである点が明示されているため、同様のエラーと混同することなく、根本的な原因に焦点を当てた修正が可能です。

また、プログラム全体の構造を確認する際には、__based修飾子が意図した利用用途でのみ使用されているかを重点的に検証するようにしてください。

まとめ

この記事では、Microsoft独自の拡張機能として提供される__based修飾子の役割と、その使用が許される対象および禁止される対象について解説しています。

特に、メンバーへのポインタに__based修飾子を適用するとコンパイラエラー C2638 が発生する理由と、正しいポインタ宣言方法への修正ポイントが具体例を交えて説明されています。

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