コンパイラエラー

C言語のコンパイルエラー C2626 の原因と対策について解説

2025-03-29更新日: 2025-03-29

C言語のエラー C2626 は、匿名の構造体や共用体内にプライベートやプロテクトなアクセス指定子を記述すると発生します。

コンパイラは非公開のメンバーが許可されていない旨のエラーメッセージを出力しますので、解決するためにはこれらのアクセス指定子を削除する必要があります。

この記事では、その原因と対策について簡潔に説明します。

目次から探す

エラー C2626 の発生原因の詳細
- 匿名構造体・共用体におけるアクセス指定子の制限
エラー C2626 対策方法の解説
- 不要なアクセス指定子の削除手順
- コード例を用いた修正手法の説明
コンパイラメッセージの解析と修正検証
- エラーメッセージ内容の読み解き方
- 修正手順の実施方法と注意事項
まとめ

エラー C2626 の発生原因の詳細

エラー C2626 は、匿名構造体または匿名共用体内でプライベートやプロテクトのアクセス指定子が使用された場合に発生します。

C言語の仕様では、匿名構造体・共用体は全てのメンバーがパブリックである必要があり、これらのアクセス指定子を使用することは許されません。

Microsoft Learn のドキュメントにも、匿名構造体や共用体では公開(public)のアクセスしか認められていないと記されています。

このエラーが発生すると、コンパイラはアクセス指定子によって保護されているメンバーが存在することを検出し、エラーメッセージとして表示します。

原因を正確に把握することで、エラー発生時の対策が容易になります。

匿名構造体・共用体におけるアクセス指定子の制限

匿名構造体や匿名共用体は、メンバーへのアクセス性に制限があり、基本的に全てパブリックとして扱う必要があります。

匿名という特性上、外部からのアクセスが直に行える状態になっているため、プライベートやプロテクトなどでアクセス範囲を制限する意味がなく、かえってコンパイラ側で不整合と判断されます。

プライベート指定子使用時の問題点

匿名共用体内に private: を記述すると、そのメンバーは非公開となりますが、匿名共用体自体はアクセス範囲を制限できないため、矛盾が生じます。

以下は、プライベート指定子を使用した際の誤った例です。

#include <stdio.h>
int main(void) {
    union {
        // プライベート指定子が使用されているため、C2626エラーとなる
        private:
        int value;  // 非公開メンバーとして定義しているが、匿名共用体では許可されない
    };
    return 0;
}

この例のように、匿名共用体に private: を使用すると、コンパイラはメンバーのアクセス制御に矛盾を感じ、エラー C2626 を報告します。

プロテクト指定子使用時の挙動

プロテクト指定子 protected: を匿名共用体や匿名構造体で使用した場合も、同様にエラーが発生します。

プロテクト指定子はクラスや構造体内で継承関係におけるアクセスを制御するために使用されますが、匿名共用体の場合は継承や外部アクセスの制限が適用されないため、使用する意味がありません。

その結果、コンパイラはエラーメッセージを出力し、問題の箇所として指摘します。

エラー C2626 対策方法の解説

エラー C2626 を解決するための対策は、匿名共用体または匿名構造体内におけるプライベートやプロテクト指定子を削除し、全メンバーが自動的にパブリックになっている状態にすることです。

これにより、仕様に沿った正しいコードとなり、エラーが解消されます。

不要なアクセス指定子の削除手順

不要なアクセス指定子を削除する手順は、以下の通りです。

該当箇所の匿名共用体または匿名構造体内で定義されている private: や protected: の行を削除する。
残りのメンバーは記述を変更する必要がなく、すでにパブリックとして解釈される状態となる。
修正後、再度コンパイルしてエラーが解消されたか確認する。

匿名共用体や匿名構造体では、すべてのメンバーが初めからパブリックであるため、アクセス指定子自体が不要となります。

コード例を用いた修正手法の説明

以下では、誤ったコード例と正しいコード例を比較しながら、エラー C2626 の修正手法を説明します。

誤ったコード例の解析

次のコード例は、誤って private: アクセス指定子を使用しているケースです。

#include <stdio.h>
int main(void) {
    union {
        // 非公開指定されたメンバーがあるため、C2626エラーが発生する
        private:
        int value;  // コンパイラはこのメンバーのアクセス制御に矛盾を感じる
    };
    return 0;
}

この例では、匿名共用体内で private: を使用しているため、全体のアクセス性に一貫性がなく、コンパイラはエラー C2626 を報告します。

正しいコード例の比較検証

正しいコード例では、アクセス指定子を削除するか、必要な場合にのみ public: を使用して全メンバーを明示的に公開状態にします。

以下は正しいコード例です。

#include <stdio.h>
int main(void) {
    union {
        // 全てのメンバーが自動的にパブリックとなる
        public:
        int value;  // 正しい形で定義されている
    };
    // 出力処理のための簡単な表示
    printf("Value: %d\n", 0);
    return 0;
}

Value: 0

この正しい例では、匿名共用体内で public: を使用しており、全てのメンバーが正しく公開状態となるため、エラーは発生しません。

コンパイラメッセージの解析と修正検証

エラー発生時のコンパイラメッセージは、問題箇所を特定するために重要な情報を提供してくれます。

エラーメッセージの内容を正確に読み解くことで、どの部分にアクセス指定子の問題があるかを把握できます。

エラーメッセージ内容の読み解き方

コンパイラは、以下のようなエラーメッセージを出力します。

‘identifier’: プライベートまたはプロテクトデータメンバーは、匿名構造体または共用体では許可されていません

このメッセージは、匿名共用体または構造体内で非公開のアクセス指定子が使用されていることを示しています。

メッセージ内の identifier 部分に該当する変数名が表示されるため、その箇所を重点的に確認することが有効です。

数学的にも、アクセス制限の矛盾は

$存在しないアクセスレベル \neq 実態の公開状態$

という不整合と捉えることができます。

修正手順の実施方法と注意事項

修正作業を行う際は、コード全体の整合性を確認しつつ以下の手順に従って修正します。

問題のある匿名共用体・構造体部分に記述されている private: や protected: を削除または public: に変更する。
アクセス指定子を削除する際、他の部分へ影響しないよう注意する。
変更後、コードの動作確認を行い、エラーが解消されたことを確認する。

開発環境における検証ポイント

コンパイラの警告やエラーメッセージが表示されなくなっているか確認する。
IDE上でのエラー表示箇所が消えているか確認する。
コードの再コンパイルと実行によって、正しく動作するかテストする。

再発防止のための確認項目

コードレビュー時に匿名共用体や構造体内のアクセス指定子に注意し、誤った使用がないかチェックする。
統一したコーディングスタイルを採用し、アクセス指定子の必要性を再度確認する。
コンパイル前に静的解析ツール等でコードの整合性を確認することも有効である。

まとめ

この記事では、匿名構造体・共用体において発生するエラー C2626 の原因とその対策方法を解説しました。

プライベートやプロテクト指定子は匿名共用体では使用できず、使用時にはエラーが出るため、不要なアクセス指定子を削除する必要があります。

また、エラーメッセージの内容を正しく読み解き、適切な修正手順を踏むことでエラー解消が可能となることが理解できる内容となっています。