C言語のコンパイラエラー C2357の原因と対処法について解説
C言語のコンパイラで発生するエラー C2357 は、関数宣言がシステム内部で定義された宣言と一致しない場合に出現します。
例えば、atexit
の宣言で内部定義と異なる型を指定すると、このエラーが発生することがあります。
問題解決には、Microsoftのドキュメントを参考に宣言を見直して、正しい型を指定することが推奨されます。
エラー C2357の発生原因
コンパイラ内部宣言の仕様
システム定義関数とユーザー定義宣言の差異
Microsoft製のコンパイラは、内部でシステム用の関数宣言を持っています。
たとえば、atexit
関数は次のように宣言される仕様となっています。
int __cdecl atexit(void (__cdecl *)());
この宣言と異なる形式で同じ名前の関数やポインタを宣言すると、内部宣言との整合性が取れず、エラー C2357 が発生する可能性があります。
システムが定義する関数には、呼び出し規約や引数の型が厳格に決まっているため、ユーザー定義で異なる型指定を行うと不具合が出ることがあります。
型指定の不一致によるエラー発生
内部で定められた型指定と異なる型指定で関数や関数ポインタを再宣言すると、型の不一致が原因でエラー C2357 が発生します。
具体的には、
- 呼び出し規約(例:
__cdecl
)が異なる - 引数の型や数が一致しない
といった点が原因となります。
型指定が一致していない場合、コンパイラは内部宣言との比較でエラーを出力するため、ユーザー側での宣言は慎重に行う必要があります。
関数ポインタの型指定ミス
atexit 関数の誤った再宣言
atexit
関数の宣言をユーザー側で誤って再定義すると、関数ポインタの型指定が合致しないためにエラー C2357 が発生します。
たとえば、次のようなコードでは、コンパイラ内部の宣言と一致しない再定義が行われるため、問題が生じる場合があります。
#include <stdio.h>
// 誤った再宣言例
// 関数ポインタの型指定が正しくない
// 正しい宣言は「int __cdecl atexit(void (__cdecl *)());」ですが、以下は誤った形です。
#pragma warning(disable : 4075)
#pragma init_seg(".mine$m", myexit)
// ユーザー定義の関数としての再宣言
int myexit(void (*func)()) {
// 関数ポインタの扱いに注意してください
return 0;
}
int main(void) {
printf("エラーC2357の原因例を実行\n");
return 0;
}
エラーC2357の原因例を実行
この例では、atexit
の再宣言が誤って行われるため、内部の宣言との型指定が一致せず、コンパイル時に問題が発生する可能性があります。
エラー発生の具体例
コード内の誤宣言パターン
atexit 関数の具体例による検証
以下は、atexit
関数の誤った再宣言によりエラー C2357 が発生する可能性がある場合のサンプルコードです。
コメント内でそれぞれの部分がどのような誤りにつながるかを説明しています。
#include <stdio.h>
// コンパイラ内部の atexit 宣言と整合しない再宣言例
// 関数ポインタの型指定が正しくないため、エラーが発生する可能性があります。
#pragma warning(disable : 4075)
// 下記の再宣言は正しくない例です。
// 正しくは、コンパイラが内部で使用している型指定に合わせる必要があります。
#pragma init_seg(".mine$m", myexit)
int myexit(void (*func)()) {
// 関数ポインタの型指定が正しくないと、この関数自体がエラーの原因となる
return 0;
}
int main(void) {
printf("誤宣言例を検証中\n");
return 0;
}
誤宣言例を検証中
このコードでは、myexit
関数の宣言が内部定義と一致しないため、コンパイル時にエラー C2357 の原因となる可能性があります。
コンパイル時のエラーメッセージ解析
エラー番号 C2357の表示内容
コンパイラはエラー C2357 の際、次のようなエラーメッセージを表示します。
'identifier' : 型 'type' の関数でなければなりません
このメッセージは、関数ポインタの再宣言が内部のシステム定義と一致しないことを指摘しています。
メッセージに表示される identifier
には問題となる関数名が、type
には期待される型が記載され、内部仕様との不整合が明確に示されます。
このエラー内容を確認することで、どの部分の宣言が内部仕様と異なるかを特定する手がかりとなります。
エラー C2357の対処法
正しい関数宣言の記述方法
型指定の見直しと修正例
エラーを解消するためは、コンパイラ内部の宣言と一致するように型指定を修正する必要があります。
たとえば、atexit
関数の場合、正しい宣言は次の通りです。
#include <stdio.h>
// 正しい宣言例
// 内部宣言に合わせて、呼び出し規約や引数の型指定を正しく記述します。
int __cdecl myExitCorrect(void (__cdecl *func)());
#pragma init_seg(".mine$m", myExitCorrect)
int __cdecl myExitCorrect(void (__cdecl *func)()) {
// 正しい型指定のもとでの関数処理
return 0;
}
int main(void) {
printf("正しい宣言の例を実行\n");
return 0;
}
正しい宣言の例を実行
このように、内部の仕様に合わせた正しい型指定で関数を宣言することで、エラー C2357 を回避することができます。
修正前後の比較検討
以下の表は、誤った宣言と正しい宣言の主な違いをまとめたものです。
- 誤った宣言:
- 呼び出し規約が明示されていない、または間違っている
- 関数ポインタの引数の型が内部定義と不一致
- 正しい宣言:
- 呼び出し規約
__cdecl
を正しく指定 - 関数ポインタの引数
void (__cdecl *func)()
に統一
- 呼び出し規約
この比較を参考に、コード中の宣言部分を見直すことで、エラーの原因となる型指定の不一致を解消できる点に注意が必要です。
Microsoftドキュメントを参照した対応策
内部仕様との整合性確認のポイント
Microsoftの公式ドキュメントには、コンパイラが内部で使用する関数宣言の詳細が記載されています。
内部仕様との整合性を取るための主なポイントは以下の通りです。
- 呼び出し規約が正しく指定されているか確認する
- 例:
__cdecl
や__stdcall
など
- 例:
- 関数ポインタの引数の型・数が内部宣言と一致しているか確認する
- 再宣言する場合は、コンパイラ内部の仕様と全く同一の型定義を用いる
これらのポイントを参考に、Microsoftドキュメントとコードを照らし合わせることで、宣言の不一致によって発生するエラー C2357 を防ぐことができます。
まとめ
この記事では、コンパイラエラー C2357 の発生原因を、システム定義関数とユーザー定義宣言の型指定の不一致や関数ポインタの誤った再宣言に着目して解説しています。
具体例を通じて、誤った宣言パターンとコンパイル時のエラーメッセージの読み方を紹介し、正しい宣言の記述方法および修正例を示しました。
Microsoftドキュメントを参照することで、内部仕様との整合性確認の重要性も理解できる内容です。