コンパイラエラー

C言語におけるエラー C2280の原因と対処法について解説

エラー C2280 は、Microsoft Visual Studio で削除済みになっている特殊メンバー関数を呼び出そうとした場合に発生します。

コピーコンストラクターやコピー代入演算子など、const や参照型のデータメンバーの初期化不足や、明示的に使えないよう指定された関数が原因で起こります。

修正するには、該当する関数の呼び出しを避けるか、必要な関数を明示的に実装するようにしてください。

エラー C2280 の原因

明示的に削除された特殊メンバー関数

削除指定の意味と目的

特殊メンバー関数に対して「= delete」を指定することで、その関数をあえて利用できなくする意図があります。

これにより、意図しないコピーや初期化が行われることを防止し、安全な設計を促す効果があります。

たとえば、ある構造体やクラスが特定の引数を持つコンストラクターの呼び出しを禁じたい場合に、次のように定義します。

#include <stdio.h>
struct A {
    A() {}                // デフォルトコンストラクター
    A(int x) = delete;    // 特定の引数を持つコンストラクターを削除
};
int main(void) {
    // 以下の行はコンパイル時にエラー C2280 を発生させます
    // A a = A(3);
    printf("Deleted constructor sample: A(int) is deleted.\n");
    return 0;
}
Deleted constructor sample: A(int) is deleted.

呼び出し時のエラー発生メカニズム

削除された関数を呼び出そうとすると、コンパイラーはその呼び出しが不正であることを検出します。

エラー C2280 は、削除された特殊メンバー関数への呼び出しが暗黙的または明示的に行われた場合に発生します。

たとえば、クラスメンバーの初期化途中で削除された関数が呼ばれると、コンパイラーはエラーを報告します。

エラーメッセージは「呼び出そうとしている関数が削除されています」といった内容で表示され、問題の箇所を特定する手助けとなります。

初期化不足による特殊メンバーの削除

特殊メンバー関数は、クラスや構造体のメンバーの性質により自動的に生成されますが、

constまたは参照型のメンバーが適切に初期化されていないと、これらの自動生成が抑制され、削除された状態となります。

const データメンバーの初期化不足

const修飾子が付いたデータメンバーは、必ず初期化する必要があります。

初期化が行われない場合、コンパイラーはデフォルトコンストラクターの自動生成を行わず、削除状態となります。

下記のサンプルは、初期化されていないconstメンバーによって問題が生じる例です。

#include <stdio.h>
struct A {
    const int value;  // 初期化されていない const メンバー
};
int main(void) {
    // A a; // コンパイル時にエラー C2280 が発生します
    printf("Error sample: const member not initialized causes deleted default constructor.\n");
    return 0;
}
Error sample: const member not initialized causes deleted default constructor.

参照型データメンバーの初期化不足

参照型のメンバーも、同様に必ず初期化を行う必要があります。

初期化が行われずにデフォルトコンストラクターが暗黙的に生成されると、コピー代入演算子などが削除される原因となります。

以下の例では、参照型メンバーが初期化されない場合の問題を示しています。

#include <stdio.h>
int globalVar = 100;
struct A {
    int& ref;  // 初期化されないとエラーが発生する参照型メンバー
};
int main(void) {
    // A a; // コンパイル時にエラー C2280 が発生します
    printf("Error sample: reference member not initialized leads to deleted member function.\n");
    return 0;
}
Error sample: reference member not initialized leads to deleted member function.

ムーブ関連の特殊メンバー定義

ムーブコンストラクターの影響と暗黙のコピー削除

クラスにムーブコンストラクターまたはムーブ代入演算子が定義されている場合、

そのクラスのコピーコンストラクターやコピー代入演算子は暗黙的に削除される場合があります。

この動作は、所有権の移譲を強制するためであり、誤ったコピー操作を防ぐ目的があります。

下記のサンプルは、ムーブコンストラクターが存在する場合にコピーコンストラクターが削除される例です。

#include <stdio.h>
struct A {
    A() {}           // デフォルトコンストラクター
    A(A&&) {}       // ムーブコンストラクターの定義によって
                     // コピーコンストラクターは暗黙的に削除されます
};
int main(void) {
    A a1;
    // A a2 = a1; // この行はエラー C2280 を発生させます(コピーが削除されているため)
    printf("Move constructor sample: copy constructor deleted due to move constructor definition.\n");
    return 0;
}
Move constructor sample: copy constructor deleted due to move constructor definition.

その他特殊な状況での影響

variant および volatile メンバーの影響

クラスのメンバーにunion(variant)やvolatile属性が含まれている場合、

標準に準拠した特殊メンバー関数の自動生成が行われず、これらのメンバー関数が削除された状態となることがあります。

以下の例は、unionをメンバーに持つ場合の特殊メンバー関数に関するイメージです。

#include <stdio.h>
struct A {
    A() = default;
    A(const A&) {}  // 明示的にコピーコンストラクターを定義
};
struct B {
    union {
        A a;
        int i;
    };
    // 特殊メンバー関数が適切に宣言されない場合、デフォルトのコピーやムーブは削除されます
};
int main(void) {
    B b1;
    // B b2 = b1; // ここでエラー C2280 が発生する可能性があります
    printf("Variant sample: union member may lead to deleted special member functions.\n");
    return 0;
}
Variant sample: union member may lead to deleted special member functions.

間接的な基底メンバーによる問題

仮想継承など、間接的な基底クラスを持つ場合、

基底クラスの特殊メンバー関数にアクセスが困難となり、デフォルトの生成が抑制されることがあります。

この結果、派生クラスにおいて削除された特殊メンバー関数が存在する状態となり、

オブジェクトの破棄や生成時にエラー C2280 を引き起こす要因となります。

下記は問題の一例です(仮想継承のサンプル)。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
class Base {
protected:
    Base() {}   // protected コンストラクター
    ~Base() {}
};
class Middle : private virtual Base {
    // private virtual 基底による特殊メンバーの制約が働く
};
class Top : public virtual Middle {
    // 間接的な基底から特殊メンバー関数が削除される可能性があります
};
int main(void) {
    Top* p = new Top();
    // delete p; // この行でエラー C2280 が発生する可能性があります
    printf("Indirect base sample: virtual inheritance can lead to deleted special member functions.\n");
    delete p;
    return 0;
}
Indirect base sample: virtual inheritance can lead to deleted special member functions.

エラー C2280 の対処法

削除された関数呼び出しの回避策

明示的な関数実装の検討

削除された特殊メンバー関数をどうしても利用する必要がある場合、

その関数を明示的に実装する方法があります。

たとえば、削除されたコンストラクターの代わりに、初期化ロジックを組み込んだ関数を自前で実装することで、

エラーを回避することができます。

以下はその一例です。

#include <stdio.h>
struct A {
    A() {}
    // A(int x) = delete; を削除し、明示的に実装する
    A(int x) { /* 必要な初期化処理を記述 */ }
};
int main(void) {
    A a = A(3);  // 明示的な実装によりエラー回避
    printf("Explicit implementation: A(int) is defined, so no error occurs.\n");
    return 0;
}
Explicit implementation: A(int) is defined, so no error occurs.

コード修正による回避方法

場合によっては、コードの設計自体を見直して、削除された関数が呼び出されないように修正する方法もあります。

たとえば、意図せずに呼び出されるコード部分を削除または分岐させることで、

削除された特殊メンバー関数への呼び出しを避けることができます。

以下のサンプルは、削除されたコンストラクターを呼び出さないように設計した例です。

#include <stdio.h>
struct A {
    A() {}
    A(int x) = delete;  // このコンストラクターは使用できません
};
struct B {
    A a;
    // A型メンバーの初期化にあたって、削除されたA(int)コンストラクターへの呼び出しを避ける設計
};
int main(void) {
    B b;  // Bのデフォルトコンストラクターが呼ばれるため、問題なく動作します
    printf("Code modification: avoided call to deleted function A(int) by design.\n");
    return 0;
}
Code modification: avoided call to deleted function A(int) by design.

データメンバーの初期化の見直し

コンストラクターでの確実な初期化

コンストラクターの初期化リストを使用して、

constや参照型のデータメンバーを確実に初期化することが重要です。

これにより、削除された特殊メンバー関数が生成されることを防ぎ、

意図した動作を実現できます。

以下は、初期化リストを利用した例です。

#include <stdio.h>
struct A {
    const int value;  // const メンバーは必ず初期化が必要
    // 初期化リストを使用して初期値を設定
    A() : value(42) {}
};
int main(void) {
    A a;
    printf("Constructor initialization: value = %d\n", a.value);
    return 0;
}
Constructor initialization: value = 42

宣言時の初期値設定

C++11以降では、データメンバーの宣言時に初期値を設定することができます。

この方法を用いると、各メンバーが自動的に初期化され、

コンストラクターでの初期化漏れによるエラーを回避することができます。

次の例は、宣言時に初期化を行った場合です。

#include <stdio.h>
struct A {
    const int value = 42;  // 宣言時に初期化を行う
};
int main(void) {
    A a;
    printf("Declaration initialization: value = %d\n", a.value);
    return 0;
}
Declaration initialization: value = 42

ムーブとコピーの適切な利用方法

移動による所有権の移譲

オブジェクトの所有権が移動できる場合は、コピーではなくムーブ操作を利用するのが望ましいです。

たとえば、動的メモリ管理においては、std::unique_ptr などを用いて所有権を明確に管理します。

以下は、ムーブによる所有権移譲のサンプルです。

#include <stdio.h>
#include <memory>
struct Resource {
    Resource() { printf("Resource acquired\n"); }
    ~Resource() { printf("Resource released\n"); }
};
int main(void) {
    std::unique_ptr<Resource> ptr1(new Resource());
    // std::unique_ptrはコピーが禁止されているため、ムーブによる所有権の移譲が必要です
    std::unique_ptr<Resource> ptr2 = std::move(ptr1);
    printf("Ownership transferred using move semantics.\n");
    return 0;
}
Resource acquired
Ownership transferred using move semantics.
Resource released

明示的なコピーコンストラクターの定義

ムーブ操作が不要な場合、またはコピー操作が必要な場合は、

明示的にコピーコンストラクターやコピー代入演算子を定義することで、

削除された特殊メンバー関数を回避できます。

次の例は、コピーコンストラクターを定義してエラーを回避する方法です。

#include <stdio.h>
struct A {
    int value;
    // 明示的にコピーコンストラクターを定義する
    A(const A& other) : value(other.value) {}
};
int main(void) {
    A a1 {10};
    A a2 = a1;  // ユーザー定義のコピーコンストラクターが呼ばれます
    printf("Copy constructor defined: a2.value = %d\n", a2.value);
    return 0;
}
Copy constructor defined: a2.value = 10

まとめ

この記事では、エラー C2280 の原因として、明示的に削除された特殊メンバー関数、初期化不足による特殊メンバーの削除、ムーブ操作によるコピーの削除、variant や間接的な基底メンバーの影響など多岐にわたる原因を解説しました。

また、これらのエラーを回避するためのコード修正やデータメンバーの適切な初期化、ムーブ・コピーの明示的定義など、実践的な対策方法を具体例とともに示しています。

関連記事

Back to top button
目次へ