コンパイラエラー

C言語 コンパイラエラー C2193の原因と対策について解説

C言語で発生するコンパイラエラー C2193は、同じ識別子が異なるメモリセグメントに配置された場合に発生します。

例えば、#pragma alloc_text#pragma code_segを使用して関数を別セグメントに配置すると、識別子が重複して定義されたとしてエラーが報告されます。

エラー C2193の発生背景

C2193エラーは、同一の識別子が異なるメモリセグメントに配置されようとした場合に発生するエラーです。

関数に対して、複数のプラグマディレクティブが適用されると、コンパイラがどちらのセグメントに割り当てるか判断できなくなるため、エラーが出力されます。

以下では、識別子とメモリセグメントの基本的な考え方や、各ディレクティブの指定方法とその影響について解説します。

識別子とメモリセグメントの基本

C言語では、関数や変数はメモリ上で特定のセグメントに配置されます。

これにより、プログラムの実行中やデバッグ時に、各コードやデータの管理が容易になります。

Microsoftのコンパイラでは、alloc_textcode_segというプラグマディレクティブを使用して、関数を特定のセグメントに配置する指示が可能です。

alloc_textとcode_segの指定方法

alloc_textディレクティブは、関数を指定したセグメントに割り当てるために使用されます。

例えば、特定のコード領域に配置したい関数に対して以下のように記述します。

#include <stdio.h>
extern "C" void MYFUNCTION();
// alloc_textでMYCODEセグメントに配置する指定
#pragma alloc_text(MYCODE, MYFUNCTION)
extern "C" void MYFUNCTION() {
    // 関数の実装(例として画面出力)
    printf("MYFUNCTION が呼ばれました\n");
}
int main(void) {
    MYFUNCTION();
    return 0;
}

一方、code_segディレクティブは、以降のコードを別のセグメントに割り当てるために使用されます。

例えば、code_seg("MYCODE2")と記述すると、その後に定義されるコードはMYCODE2セグメントに配置されます。

この両者を組み合わせて使用するとき、同一の識別子が異なるセグメントに割り当てられ、C2193エラーが発生する場合があるため注意が必要です。

複数セグメント定義の影響

同一の識別子が異なるセグメントに配置されると、コンパイラはどの配置を採用すべきか判断できなくなります。

たとえば、以下の例では、MYFUNCTIONに対してalloc_textcode_segが別々に適用されることで混乱が生じ、エラーが発生します。

#include <stdio.h>
extern "C" void MYFUNCTION();
// alloc_textでMYCODEセグメントに配置する指定
#pragma alloc_text(MYCODE, MYFUNCTION)
// code_segでMYCODE2セグメントに変更
#pragma code_seg("MYCODE2")
extern "C" void MYFUNCTION() {
    printf("エラー発生のサンプルです\n");
}
int main(void) {
    MYFUNCTION();
    return 0;
}

このように、同一識別子への異なるセグメント指定が原因でコンパイラはエラーを報告するため、コード設計時にはセグメント割り当ての一貫性に注意する必要があります。

同一識別子定義時の具体例

同一の識別子に対して外部宣言と関数定義が別々のセグメント指定を受けると、エラーの原因となります。

以下では、外部宣言と関数定義の対応、および重複定義によるエラー発生例をサンプルコードを交えて解説します。

サンプルコード検証

関数の外部宣言と実際の定義が互いに整合していない場合、または両者に対して異なるセグメント指定が存在する場合、エラーが生じることが確認できます。

外部宣言と関数定義の対応

関数を利用する前に外部宣言を行い、定義でその宣言に対応するセグメントの指定を統一しないと、コンパイラはどの識別子を優先すべきか判断できません。

以下のコードは、外部宣言と定義を行った例ですが、セグメント指定に食い違いがあるためエラーが発生します。

#include <stdio.h>
extern "C" void MYFUNCTION();  // 外部宣言
// alloc_textでMYCODEセグメントに配置を指定
#pragma alloc_text(MYCODE, MYFUNCTION)
// code_segで次のコードをMYCODE2セグメントに変更
#pragma code_seg("MYCODE2")
extern "C" void MYFUNCTION() {  // 定義部
    printf("MYFUNCTION が呼び出されました\n");
}
int main(void) {
    MYFUNCTION();
    return 0;
}

このコードは、MYFUNCTIONが異なるセグメント指定を受けることでエラーとなります。

重複定義によるエラー発生例

以下のコードは、同一識別子に対して複数のセグメントが適用された場合のエラー例です。

指定ミスにより、コンパイラがエラーを出力する様子を確認できます。

#include <stdio.h>
extern "C" void MYFUNCTION();  // 関数の外部宣言
// alloc_textでMYCODEセグメントに配置
#pragma alloc_text(MYCODE, MYFUNCTION)
// code_segでMYCODE2セグメントに変更
#pragma code_seg("MYCODE2")
extern "C" void MYFUNCTION() {  // 重複定義によりエラー発生
    printf("重複定義によるエラーのサンプルです\n");
}
int main(void) {
    MYFUNCTION();
    return 0;
}

この場合、同一のMYFUNCTIONが異なるメモリセグメント用に宣言されるため、コンパイラは'identifier' : セグメント内に既に存在しますというエラーを報告します。

対策方法

エラーが発生した場合には、程序中のプラグマディレクティブの指定内容を見直す必要があります。

同一識別子に対して複数のセグメント指定を行わないようにすることが基本的な対策です。

コード設定の見直し

プラグマディレクティブによるセグメント指定が不要な場合は削除することが有効です。

また、必要な場合でも、どの関数にどのセグメントを適用するかを明確にし、設定に矛盾がないようにコードを整理する必要があります。

セグメント指定の整理

特定の関数にセグメントを指定する際は、どちらか一方のプラグマディレクティブのみを用いるようにします。

以下の例は、alloc_textのみを使用した正しいセグメント指定の方法です。

#include <stdio.h>
extern "C" void MYFUNCTION();
// alloc_textでMYCODEセグメントに配置
#pragma alloc_text(MYCODE, MYFUNCTION)
extern "C" void MYFUNCTION() {
    printf("MYFUNCTION実行中\n");
}
int main(void) {
    MYFUNCTION();
    return 0;
}
MYFUNCTION実行中

宣言と定義の統一

関数の外部宣言と定義に対して、同じセグメントを適用する必要があります。

両者のセグメント指定に一貫性を持たせることで、コンパイラがどのセグメントに関数を配置するか正しく判断できるようになります。

コード全体を見直し、以下の点に注意してください。

・同一識別子に対して複数のプラグマディレクティブが存在しないこと

・外部宣言と実装部分において、同一のセグメント指定が適用されていること

これにより、C2193エラーを回避することが可能です。

エラー検出と対処

エラーが発生した場合には、まずコンパイラから出力されるエラーメッセージを詳細に確認することが重要です。

適切にエラーメッセージを解析することで、どの部分に原因があるかを特定できます。

コンパイラエラーメッセージの解析

エラーメッセージには、問題となっている識別子や使用されたセグメント名が記載されています。

これにより、誤ったプラグマディレクティブの使用や、複数のセグメント指定が行われた箇所を特定できます。

以下の点を重点的に確認してください。

・エラー出力に記載される識別子(例: MYFUNCTION)

・適用されたセグメント名(例: MYCODEMYCODE2)

・ディレクティブの記述順序と適用箇所

発生条件の確認

エラーC2193は、同一の識別子に対して複数のセグメント指定がなされた場合に発生します。

具体的には、alloc_textcode_segが両方適用されているときに生じやすいです。

セグメント指定がどのようにプログラム中に記述されているかを再度確認し、意図しない重複がないかをチェックしてください。

また、関数の外部宣言が行われた後に、別のセグメントを指定して定義される場合も問題となるため、コード全体を通して一貫性が保たれているか確認することが重要です。

対応策の実施方法

エラーを解消するための対応策は以下の通りです。

・重複したプラグマディレクティブを削除または統合する

・外部宣言と定義を書き換え、一方のセグメント指定に統一する

・プログラム全体のセグメント割り当てを見直し、必要なセグメントのみを使用する

これらの手順を踏むことで、識別子の配置に関するコンパイラの混乱を防止し、C2193エラーの解消が可能となります。

まとめ

C2193エラーは、関数の外部宣言と定義において異なるセグメント指定が原因で発生するエラーです。

本記事では、alloc_textおよびcode_segプラグマの使い方を解説し、外部宣言と定義の不整合や重複定義による具体例を検証しました。

エラーメッセージの解析方法や対処策を把握することで、コードの一貫性を保ち、エラー回避に役立つ知識が得られます。

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