コンパイラエラー

C言語 C2179エラーについて解説

本記事はC言語環境で発生するc2179エラーの概要を説明します。

このエラーは、属性引数にコンパイル時に評価できる具体的な型が必要な場面で、ジェネリックな型パラメーターを指定したときに起こります。

たとえば、[Attr(T::typeid)] のような書き方はエラーとなるため、具体的な型指定に変更する必要があります。

エラー発生の原因

属性引数と型パラメーターの制約

属性引数は、プログラムのコンパイル時に値が確定している必要があります。

コンパイル時評価では、プログラム内の定数や固定値が利用されるため、数式で表すならば Vcompile のように定義できます。

一方、ジェネリック型パラメーターは実行時に決定されるため、Vruntime として扱われ、コンパイル時に確定していません。

そのため、属性の引数としてジェネリック型パラメーターを使用すると、コンパイラはコンパイル時評価と実行時評価の間に不整合があると判断しエラーを発生させます。

コンパイル時評価と実行時評価の違い

プログラム中の定数値やリテラルはコンパイル時に評価され、プログラム全体に影響を与えます。

これに対し、ジェネリック型パラメーターは実行時に具体的な型が決定されるため、コンパイル時にその内容を利用することができません。

属性引数に要求されるのはコンパイル時に確定する情報であるため、実行時にしか分からないジェネリック型パラメーターを渡すと不適合が生じ、エラー C2179 となります。

ジェネリック型パラメーター利用時の問題点

ジェネリック型パラメーターは、型の多様性や再利用性を高めるために用いられます。

しかし、ジェネリックの性質上、型が実行時に決定されるため、コンパイル時に求められる定数情報として属性に利用することはできません。

その結果、属性の引数に T::typeid のような記述を用いると、コンパイラはその情報を完全に評価できず、エラーを出力します。

属性指定における型取得の誤り

属性を指定する際に、ジェネリック型パラメーターである T の型情報を T::typeid として取得しようとすると、コンパイラは T の型がコンパイル時に固定されていないため、属性引数に使用できないと判断します。

適切な型情報としては、コンパイル時に確定している具体的な型(例:既知の型 G)を指定する必要があり、この違いがエラー C2179 の原因となっています。

コード例によるエラー再現

エラー再現コードの構成解説

以下のサンプルコードは、エラー C2179 を再現するための例です。

コードは、属性クラスとジェネリッククラスを定義し、ジェネリック型パラメーターを属性引数として利用している部分に注目してください。

各部分の役割はコメントに記述し、どの記述がエラーを引き起こすかを明示しています。

各部分の役割と注意点

  • 属性クラス Attr は、コンストラクタで受け取った型情報をメンバー変数に保持し、属性として振る舞います。
  • ジェネリッククラス Z は、型パラメーター T を利用し、属性指定で T::typeid を使用しています。この部分が、コンパイル時に具体的な型情報が与えられないことを原因にエラーを発生させます。

次のコードブロックで、エラー再現部分に関する詳細なコメントを確認いただけます。

サンプルコード(エラー再現例)

#include <cstdio>
// 注意: このコードはコンパイルエラー C2179 を再現するための例です。
// コンパイルには /clr オプションが必要です。
// 属性クラスの定義(C++/CLI形式)
using namespace System;
// Attrクラスは、コンパイル時に型情報を要求する属性を表しています。
public ref struct Attr : Attribute {
    // コンストラクタで受け取った型情報をメンバー変数に設定
    Attr(Type^ a) {
        x = a;
    }
    Type^ x;
};
// 基本となる型Gの定義
ref struct G {};
// ジェネリッククラスZの定義
generic<typename T>
public ref class Z {
public:
    Type^ d;
    // 下記の属性引数にジェネリック型パラメーターTを指定しているため、エラーが発生します。
    [Attr(T::typeid)]   // ここでコンパイルエラー C2179 が発生します。
    T t;
};
int main(void) {
    // メイン関数は空です。このコードはエラー再現用であり実行されません。
    return 0;
}
コンパイルエラー C2179: 'T::typeid' は使用できません。

エラーメッセージの詳細解析

エラーメッセージには「’type’: 属性引数は型パラメーターを使用することはできません」と記載されています。

これは、ジェネリック型パラメーターが実行時に解決される性質と、属性引数が要求するコンパイル時に評価できる情報との不一致を示しています。

また、メッセージは型情報の解決が不完全であると指摘しており、具体的にはコンパイラが T::typeid の評価を行えないためにエラーとなっています。

エラー内容と発生理由の解説

エラー内容は、属性引数にジェネリック型パラメーターの情報をそのまま使用していることに端を発します。

数式で表すならば、コンパイル時に確定すべき値 Vcompile が、実行時に決定する Vruntime と一致しないため、下記のような状態となります。

VcompileVruntime

この不一致が原因で、コンパイラは属性引数として適正な値が得られないと判断し、エラー C2179 を出力します。

エラー回避と修正方法

修正方法の具体的手法

エラーを回避するためには、属性引数として確定している具体的な型を指定する必要があります。

ジェネリック型パラメーター T の代わりに、既に決定済みの型、例えば G を用いることで、コンパイル時に評価可能な値を与えることができます。

この方法により、属性引数で要求されるコンパイル時定数が正しく取得され、エラーが解消されます。

型指定の正しい記述例

下記の修正例では、属性引数として G::typeid を指定し、エラーを回避する方法を示しています。

#include <cstdio>
// このコードは、エラー C2179 を回避するための修正例です。
// コンパイルには /clr オプションが必要です。
using namespace System;
// 修正済みの属性クラス
public ref struct Attr : Attribute {
    Attr(Type^ a) {
        x = a;
    }
    Type^ x;
};
ref struct G {};
// 修正済みのジェネリッククラスZ
generic<typename T>
public ref class Z {
public:
    Type^ d;
    // 修正例: コンパイル時に確定している型Gを指定
    [Attr(G::typeid)]
    T t;
};
int main(void) {
    // 修正例のクラスをインスタンス化してエラーが解消されることを確認
    Z<int>^ instance = gcnew Z<int>();
    // 簡単な出力で正常動作を確認
    Console::WriteLine("コンパイルエラーが解消されました。");
    return 0;
}
コンパイルエラーが解消されました。

修正後の動作検証ポイント

修正後は、属性引数に指定した型がコンパイル時に確定していることが確認されます。

主な検証ポイントは以下の通りです。

  • コンパイル時に属性引数へ渡す型が固定され、エラーが発生しないこと。
  • 実行時に、属性から正しい型情報を取得できること。
  • プログラム内でジェネリッククラスの他の部分が正しく動作していること。

開発環境とビルド設定

開発環境における設定項目

エラー C2179 の検証や回避策の実施には、Microsoft Visual Studio などの開発環境において、CLR サポートが有効な状態でプロジェクトを構築する必要があります。

プロジェクトのプロパティでは、「Common Language Runtime サポート」やコンパイルオプションの設定項目を十分に確認してください。

コンパイルオプションの確認ポイント

  • /clr オプションが有効になっていること。
  • プロジェクトのプロパティで「Common Language Runtime サポート」が正しく設定されていること。
  • 修正前のコードにおいて、属性引数にジェネリック型パラメーターを使用した場合、コンパイルエラーが発生することを実際に確認すること。

以上の点を確認することで、環境依存の問題を回避し、正しい動作検証が可能となります。

まとめ

本記事では、属性引数におけるコンパイル時評価と実行時評価の相違点を踏まえ、ジェネリック型パラメーターを用いた際のエラー発生の原因を詳しく解説しています。

サンプルコードを通じて、エラー再現とその詳細なメッセージ、また回避方法と修正例を紹介し、開発環境およびビルド設定での注意点についても説明しています。

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