C言語のコンパイラエラー C2087: 配列添字不足の原因と対策について解説
C言語で発生するコンパイラエラー C2087は、複数次元の配列を宣言する際に全添字が指定されていない場合に出ます。
たとえば、char a[10][];
という記述はエラーとなり、正しくはchar b[4][5];
のように各次元のサイズを明示して記述する必要があります。
エラー内容をよく確認し、添字を適切に指定するようにしましょう。
配列宣言の基本とC2087エラーの原因
変数宣言の基礎知識
1次元配列と多次元配列の違い
1次元配列は要素が連続したデータの集まりを扱い、添字でアクセスします。
たとえば、整数型の1次元配列は次のように宣言します。
#include <stdio.h>
int main(void) {
int oneDim[5] = {1, 2, 3, 4, 5}; // 要素数5の1次元配列
printf("One-dimensional array first element: %d\n", oneDim[0]);
return 0;
}
上記の例では、oneDim
配列の各要素は添字を使ってアクセス可能です。
一方、多次元配列は2次元以上の配列として宣言され、行と列、またはそれ以上の次元でデータを扱います。
以下の例は2次元配列です。
#include <stdio.h>
int main(void) {
int twoDim[3][4] = {
{1, 2, 3, 4},
{5, 6, 7, 8},
{9, 10, 11, 12}
};
printf("Two-dimensional array element: %d\n", twoDim[1][2]); // 出力例: 7
return 0;
}
このように、1次元配列と多次元配列は宣言方法やアクセス方法に違いがあり、正しく添字を設定することが重要です。
添字の役割と重要性
添字は配列内の特定の要素にアクセスするために使います。
各添字は配列の次元ごとに役割があり、すべての次元に対して正しく指定する必要があります。
たとえば、多次元配列では、すべての次元のサイズを明示的に宣言しないと、コンパイラエラーが発生する可能性があります。
添字指定が不十分な場合、コンパイラはどの要素にアクセスするのか判断できず、エラーとなります。
C2087エラー発生のメカニズム
添字不足によるエラー例
C2087エラーは添字が不足している場合に発生します。
たとえば、2次元配列の宣言において、片方の次元サイズが指定されていない場合が該当します。
以下はエラーが発生するサンプルコードです。
#include <stdio.h>
int main(void) {
char array[10][]; // 添字不足のためエラー C2087 が発生
return 0;
}
上記コードでは、2次元配列array
の2番目の次元のサイズが指定されていないため、コンパイラが添字不足として認識しエラーが発生します。
コンパイラのエラーメッセージ解析
コンパイラのエラーメッセージは以下のように表示されます。
'identifier' : 添字が不足しています
このエラーは、配列宣言時に
コンパイラは宣言内容の不足を検出し、適切なサイズや添字値の指定を要求します。
このエラーメッセージを見ることで、どの配列宣言に誤りがあるかを特定する手がかりとなります。
正しい多次元配列の宣言方法
全添字指定の必要性
正しい多次元配列の宣言例
C2087エラーを回避するためには、すべての次元の添字を明示的に指定する必要があります。
正しい2次元配列の宣言は以下の通りです。
#include <stdio.h>
int main(void) {
char matrix[4][5] = { // 4行5列の配列として正しく宣言
{'a', 'b', 'c', 'd', 'e'},
{'f', 'g', 'h', 'i', 'j'},
{'k', 'l', 'm', 'n', 'o'},
{'p', 'q', 'r', 's', 't'}
};
printf("Matrix element: %c\n", matrix[2][3]); // 出力例: n
return 0;
}
上記の例は、すべての添字を指定しているためエラーなくコンパイルできます。
添字指定漏れとの比較
添字指定が漏れると、たとえば次のような記述でエラーが発生します。
#include <stdio.h>
int main(void) {
char matrix[4][]; // 2次元配列として宣言する場合、すべての添字を指定する必要がある
return 0;
}
この場合、コンパイラは2次元目のサイズが不明なため、配列領域を正しく確保できず、C2087エラーが発生します。
正しい宣言では、すべての次元のサイズを明示することでエラーを防ぐことができます。
コード例による修正手順
エラー発生コードの検証
まず、エラーが発生するコードを検証するためのサンプルコードを示します。
以下のコードは、添字不足によりC2087エラーが発生する例です。
#include <stdio.h>
int main(void) {
// エラー発生: 添字が不足している
char errorArray[10][];
printf("This code will not compile due to C2087 error.\n");
return 0;
}
コンパイル時に次のようなエラーメッセージが表示されます。
error C2087: 'errorArray' : 添字が不足しています
修正後コードの確認
修正後の正しいコード例を次に示します。
添字を完全に指定しているため、エラーは発生しません。
#include <stdio.h>
int main(void) {
// 修正済み: 全ての次元のサイズを指定
char fixedArray[10][20] = {0}; // 10行20列の配列
fixedArray[0][0] = 'A';
printf("fixedArray[0][0]: %c\n", fixedArray[0][0]);
return 0;
}
このコードは、すべての添字が指定されているため正常にコンパイル・実行され、出力は次のようになります。
fixedArray[0][0]: A
実践例によるエラー解決手法
具体的なコード例の提示
エラーを引き起こす記述例
添字不足によるエラーを再現するためのコード例を以下に示します。
#include <stdio.h>
int main(void) {
// 添字指定が不足しているためエラーが発生するコード例
int errorMatrix[3][] = {
{1, 2},
{3, 4},
{5, 6}
};
printf("This code will cause a C2087 error.\n");
return 0;
}
このコードは、2次元配列として宣言しているにもかかわらず、2次元目のサイズが指定されていないためエラーとなります。
修正例との比較分析
正しいコード例では、すべての添字が正しく指定されています。
以下のコードは、上記のエラー例を修正したものです。
#include <stdio.h>
int main(void) {
// 正しく全添字指定がされている
int correctMatrix[3][2] = {
{1, 2},
{3, 4},
{5, 6}
};
// 修正例の比較として配列の内容を出力
printf("Element at [1][0]: %d\n", correctMatrix[1][0]); // 出力例: 3
return 0;
}
修正例では、2次元目のサイズとして2
を指定しているため、コンパイルエラーは解消されます。
エラー例と比較すると、添字が不足している部分が明確に修正されていることが確認できます。
開発環境での検証方法
コンパイル手順の確認
開発環境では、通常のCコンパイラを使用してコンパイルを行います。
以下は、コンパイルコマンドの一例です。
- Windows環境(Visual Studioのclコマンドの場合)
コマンドプロンプトで
cl /EHsc sample.c
- LinuxやMac環境(gccの場合)
ターミナルで
gcc -o sample sample.c
これらの手順で、エラーが発生するコードと修正後のコードの両方を検証できます。
エラー修正後の動作検証
修正済みコードを実行することで、配列へのアクセスや値の出力などが正しく動作しているか確認します。
たとえば、以下のコードではcorrectMatrix
の要素が意図した通り出力されるかチェックします。
#include <stdio.h>
int main(void) {
int correctMatrix[3][2] = {
{1, 2},
{3, 4},
{5, 6}
};
// 配列内の値を出力して動作を検証
printf("Element at [0][1]: %d\n", correctMatrix[0][1]);
printf("Element at [2][0]: %d\n", correctMatrix[2][0]);
return 0;
}
このコードの出力は以下のようになります。
Element at [0][1]: 2
Element at [2][0]: 5
これにより、添字指定を正しく行った結果として、意図した値が正しく取得できることが確認できます。
まとめ
本記事では、C言語における配列宣言の基本と、C2087エラーの原因について解説しています。
1次元配列と多次元配列の違いや添字の役割に注目し、添字不足がエラー発生の要因であることを示しました。
正しい宣言方法として全添字指定の必要性を説明し、エラー発生例および修正例をコードで示すことで、実践的なエラー解決手法が理解できる内容となっています。