C言語コンパイラエラー C2086:識別子の再定義と対策について解説
C言語でコンパイラ エラー C2086が発生する場合、同じ識別子が2回以上定義されていることが考えられます。
特に、後の宣言内容が前と異なるとエラーになるケースがあります。
また、参照するC#アセンブリのビルド結果が影響することもあるので、コードや環境設定を確認してください。
エラー C2086 発生原因
再定義によるエラーの発生パターン
C言語では、同一の識別子を複数回定義するとエラー C2086 が発生します。
たとえば、変数を同じ関数内で再定義するとエラーとなることがあります。
以下のサンプルコードでは、変数 a
を2回定義しており、エラーが発生する例を示しています。
#include <stdio.h>
int main(void) {
int a = 10; // 変数 a を初期化
// 以下の行は再定義となり、エラー C2086 を引き起こす
int a = 20; // 再定義エラー
printf("a = %d\n", a);
return 0;
}
// コンパイル時に以下のようなエラーメッセージが表示される可能性があります。
// error C2086: 'a' : redefinition
また、複数のヘッダーファイルから同じ識別子が読み込まれた場合にも、再定義となる可能性がございます。
このような場合は、インクルードガードなどを利用し、識別子の二重定義を防止することが有効です。
宣言内容の不一致事例
同じ識別子でも、宣言内容が異なる場合にもエラーが発生することがあります。
例えば、同じ変数名でも型や宣言の修飾子が異なる場合、コンパイラは整合性が取れていないと判断します。
下記の例では、a
の型に矛盾があり、エラーが発生します。
#include <stdio.h>
int main(void) {
int a = 10; // int型として定義
// 次の行では、型を異なって定義しているためエラーとなる
double a = 20.0; // 宣言内容の不一致エラー
printf("a = %f\n", a);
return 0;
}
// コンパイル時に以下のようなエラーメッセージが表示される可能性があります。
// error C2086: 'a' : redefinition with a different type
宣言内容の不一致は、ヘッダーや複数のソースファイル間で起こることもあるため、各ファイルでの宣言が統一されているか確認することが大切です。
C#アセンブリ連携の影響
C2086 エラーは、C#アセンブリと連携して開発を行う場合にも発生することがあります。
Visual Studioのような統合開発環境では、C#アセンブリのインクリメンタルビルドが原因で、複数回定義された識別子がリンク時に指摘されるケースがあります。
この問題は、C#アセンブリのリビルドをすることで解消される場合が多いため、ビルド環境や連携設定の見直しとともに、識別子の定義を慎重に確認することが必要です。
エラー C2086 の対策方法
コード修正による対処策
識別子の一意性確保方法
エラーを解決するための基本的な対策は、識別子を重複しないように適切に命名することです。
以下のような対策が挙げられます。
- グローバル変数とローカル変数の命名に工夫を取り入れる
- 同じスコープ内での識別子の再定義を避ける
- 複数のファイル間で使用する場合は、名前空間的な工夫やプレフィックスを付ける
具体的には、変数名や関数名にプロジェクト固有の識別子やモジュール名を付けることで、重複を防ぐことが可能です。
宣言方式の統一による修正
全体のソースコードに対して、宣言方式を統一することも重要です。
- 各ソースファイルやヘッダーファイルで宣言の方法が一致しているか確認
- プロジェクト全体で typedef や構造体の宣言方法を統一
- 複数の定義がある場合は、
extern
を用いて共有する方法を採用
このように、コードの記述方法を統一することで、コンパイラが誤って識別子の重複を検出するリスクを低減できます。
ビルド設定と環境の見直し
インクリメンタルビルドの注意点
インクリメンタルビルドは、ビルド時間を短縮するメリットがありますが、変更が正しく反映されない場合がございます。
- ビルドキャッシュが古い場合、以前の定義が再利用される可能性があります。
- ソースコードの変更により、キャッシュをクリアする必要がある場合があります。
こうした場合は、一度クリーンビルドを実施することで、問題が解消されることを確認してください。
C#アセンブリのリビルド手順
C#アセンブリを利用している場合、以下の手順でリビルドを行うと効果的です。
- Visual Studio のメニューから「ビルド」->「クリーンソリューション」を選択
- 次に「ビルド」->「ソリューションのビルド」を実行
- 必要に応じて、プロジェクトの参照設定を再確認し、更新されたアセンブリをリンクする
これにより、古いアセンブリが原因で発生していた識別子の二重定義問題が解消される場合があります。
修正例と実践事例
エラー発生時のコード例
以下は、エラー C2086 が発生する例です。
複数の場所で同じ識別子 data
が定義されているため、コンパイラは再定義とみなします。
#include <stdio.h>
// グローバル変数として data を定義
int data = 5;
int main(void) {
// ローカル変数として再定義しようとするため、エラー発生
int data = 10;
printf("data = %d\n", data);
return 0;
}
// コンパイル時に以下のようなエラーメッセージが表示される可能性があります。
// error C2086: 'data' : redefinition
正しい定義方法による修正事例
上記のエラーを回避するためには、同じスコープ内での識別子の重複を避ける必要があります。
たとえば、グローバル変数とローカル変数で異なる名前を使用する方法があります。
以下のサンプルコードは、適切に識別子を区別する修正例です。
#include <stdio.h>
// グローバル変数として dataGlobal を定義
int dataGlobal = 5;
int main(void) {
// ローカル変数として dataLocal を定義
int dataLocal = 10;
printf("dataGlobal = %d\n", dataGlobal);
printf("dataLocal = %d\n", dataLocal);
return 0;
}
dataGlobal = 5
dataLocal = 10
このように、変数名に明確な接頭辞を付けることで、グローバル変数とローカル変数の区別が容易になり、再定義エラーを防ぐことが可能です。
まとめ
この記事では、識別子の再定義が原因で発生するエラー C2086 のパターンと、その原因としての宣言内容の不一致、C#アセンブリとの連携による影響について解説しています。
さらに、コードの修正やビルド設定の見直し、具体的なリビルド手順を通してエラーを解消する方法や、サンプルコードを用いた修正事例を紹介しています。
これにより、識別子の重複を防ぐための対策が明確になります。