致命的エラー

C言語の致命的コンパイルエラー C1310 の原因と対策について解説

この記事では、C言語で発生する致命的なエラー C1310について解説します。

特に、/openmpと/GLオプションを組み合わせて使用し、さらに/LTCG:PGIでリンクを試みた際に生じる問題に注目しています。

具体例を交えながら、エラーの原因とその対処法を確認できる内容です。

エラーC1310の原因

エラーC1310は、コンパイラやリンカが指定されたオプションの組み合わせに対して対応できず、致命的なエラーとして検出される場合に発生します。

主な原因は、並列処理を有効にするための/openmpオプションと、コード全体の最適化やリンクに関する/GLおよび/LTCG:PGIオプションが同時に利用されたことによって、内部で不整合が生じる点にあります。

コンパイラオプションの影響

/openmpオプションの機能と制限

/openmpオプションは、C言語における並列処理(マルチスレッド実行)を有効にするために用いられます。

このオプションを指定すると、コンパイラはOpenMPディレクティブを認識し、並列処理用のコードを生成します。

ただし、並列処理のために生成されるコードは、他の最適化オプションと組み合わせる際に特殊な処理が必要となることがあります。

特に、コード全体の最適化を意図する/GLオプションと一緒に使用する場合、OpenMP固有の動作が正しく反映されず、エラーが発生する場合があります。

/GLオプションの自動最適化の挙動

/GLオプションは、コンパイル時にソースコード全体の最適化(グローバル最適化)を行うためのものです。

このオプションを指定すると、コンパイラは関数のインライン展開やコードの大幅な変換を行い、リンク時に統合された最適化処理を実施します。

しかし、この最適化過程でOpenMPによる並列処理用コードが意図した形で生成されなくなる可能性があり、その結果としてエラーC1310が発生する原因となります。

リンクオプションの制限

/LTCG:PGIオプションの役割と制約

/LTCG:PGIオプションは、リンク時のグローバル最適化(Link-Time Code Generation)を行い、プロファイル情報や最適化情報を活用するためのフラグです。

このオプションは、特定の最適化機能を有効にするために用いられますが、/openmp/GLといった他のオプションと組み合わせると、その最適化処理が正しく行われず、エラーC1310が発生します。

つまり、/LTCG:PGIが意図している最適化環境と、OpenMPによる並列処理が内部で相反する動作をする点に起因します。

オプション間の不整合性

複数の最適化および並列処理を有効にするオプションが同時に指定されると、コンパイラおよびリンカ内部でオプション間の不整合が生じることがあります。

具体的には、/openmpは並列処理用のコード生成を行いますが、/GL/LTCG:PGIはソースコード全体に対する最適化を意図しているため、両者の処理が競合することがあります。

この競合により、コンパイル時またはリンク時に致命的なエラーC1310が検出される結果となります。

ソースコード例による解析

エラーを再現するための試験用コードとその解析を行うことで、どの部分が問題となっているのかを明確にすることができます。

試験用コードの説明

コード例の構成

以下のサンプルコードは、/openmp/GL/LTCG:PGIの各オプションを組み合わせた際にエラーC1310が発生する例として作成されています。

コードは、以下のような構成になっています:

  • 必要なヘッダファイルstdio.hおよびomp.hのインクルード
  • main関数の定義
  • 初期化された変数ijの宣言
  • #pragma omp parallelによる並列領域の指定
  • 並列領域内での#pragma omp forを用いたループ処理(実際にはループ条件によりループ内の処理は実行されません)
#include <stdio.h>
#include <omp.h>
int main(void) {
    int i = 0, j = 10; // 初期値の設定
    // OpenMPを用いた並列領域開始
    #pragma omp parallel
    {
        // 並列forループの定義
        #pragma omp for
        for (i = 0; i < 0; i++) { // ループ条件のためループ内は実行されない
            --j; // 変数jのデクリメント
        }
    }
    // 結果の表示
    printf("j = %d\n", j);
    return 0;
}
j = 10

エラー発生箇所の特定

このコード自体には文法的な問題はありませんが、コンパイルオプション/openmp/GL/LTCG:PGIを同時に指定することにより、コンパイラ内部でオプションの不整合が発生し、エラーC1310が出力されます。

具体的には、OpenMPによる並列処理を行う部分が、グローバル最適化の処理と干渉し、リンク時に問題が発生する点が原因と考えられます。

並列処理部分の注意点

OpenMPによる動作の解説

OpenMPディレクティブ#pragma omp parallelは、スレッドを生成して内部のコードブロックを並列に実行します。

また、#pragma omp forは、ループの各反復を複数のスレッドに分割して実行するために使用されます。

この並列処理は、実行時にスレッド間の同期や変数の共有状態を適切に管理する必要がありますが、コンパイル時の最適化フラグとの組み合わせによって、正しく動作しなくなることがあります。

特に、グローバル最適化が行われると、コンパイラがOpenMP用のコード生成を最適化の対象外にするなど、意図しない挙動を引き起こす場合があるため、運用時には注意が必要です。

エラー回避の対策

エラーC1310を回避するためには、使用するコンパイルおよびリンクオプションの見直しが必要です。

ここでは、具体的な設定の修正方法について説明します。

コンパイル設定の修正方法

オプション選択の調整

エラーを回避する最も確実な方法は、オプションの組み合わせを見直すことです。

具体的には、以下のような調整が考えられます:

  • 並列処理を行う場合は、/openmpオプションを有効にして、グローバル最適化を行う/GLおよび/LTCG:PGIオプションは無効にする
  • グローバル最適化が必要な場合は、/GLおよび適切なリンクオプションを使用し、並列処理による最適な動作が不要であれば/openmpオプションを除外する

このように、使用するオプションを状況に合わせて個別に選択することで、内部の不整合を回避し、エラーC1310の発生を防ぐことができます。

リンク設定の再構成

適切なリンクオプションの利用

リンク時に使用されるオプションについても、コンパイルオプションとの整合性が重要です。

例えば、/LTCG:PGIオプションは、/GLと組み合わせた際に最適化情報を利用するよう設計されていますが、OpenMP用のコードが含まれる場合、最適なリンク処理が行われない可能性があります。

このため、並列処理が必要な場合は、リンクオプションもそれに適したものへ変更するか、コンパイル時の設定と整合性が取れるようにプロジェクト全体の設定を再構成する必要があります。

環境に応じた正しいリンクオプションを選ぶことで、最適かつエラーの出ないバイナリを生成することが可能になります。

エラー検出とデバッグ手法

エラーC1310が発生した際に、原因を特定するための方法や効果的なデバッグ手法について解説します。

エラーメッセージの解析方法

ログ出力の活用

エラーが発生した際は、コンパイラおよびリンカから出力されるエラーメッセージを注意深く確認することが大切です。

エラーメッセージには、内部でどのオプションの組み合わせが問題となっているか、あるいはどの部分で不整合が発生しているかなどの情報が含まれている場合があります。

また、ビルド時に詳細なログ出力を有効にし、エラー発生時のスタックトレースや内部処理の流れを確認することで、より正確な原因の特定が可能となります。

問題切り分けのポイント

エラー発生時には、問題を切り分けるための以下のポイントに注目してください:

  • サンプルコードなど、最小限のコードでエラーが再現できるか確認する
  • 各オプション/openmp/GL/LTCG:PGIを個別に有効にした場合と、組み合わせた場合での挙動を比較する
  • 他の並列処理用オプションやリンクオプションを試し、コンパイラ内部でどの部分が不整合を引き起こしているかを検証する

これらの手法により、どのオプションがエラーの主因となっているかを明確にすることができ、適切な対策を講じるためのヒントとなります。

まとめ

この記事では、エラーC1310の原因としてコンパイラおよびリンカオプションの不整合が挙げられる点を解説しています。

具体的には、/openmpによる並列処理の実現と、/GLおよび/LTCG:PGIによるグローバル最適化との組み合わせが原因とされ、内部での処理衝突が致命的なエラーを招くことを示しています。

また、サンプルコードを用いてエラー発生箇所や並列処理の注意点、設定変更によるエラー回避の方法、デバッグ手法についても理解できる内容となっています。

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