[C++] multisetから要素を削除する方法

2025-04-15更新日: 2025-04-15

C++のstd::multisetから要素を削除するには、eraseメソッドを使用します。

特定の値を削除する場合、multiset.erase(value)を使うと、その値を持つすべての要素が削除されます。

一方、特定の要素を1つだけ削除したい場合は、イテレータを指定してmultiset.erase(iterator)を使用します。

イテレータはfindメソッドで取得可能です。

目次から探す

multisetから要素を削除する方法
実践例：multisetの削除操作
削除操作のパフォーマンスと注意点
まとめ

C/C++を使った求人

読み込み中…

multisetから要素を削除する方法

C++のmultisetは、重複を許可する集合を表現するデータ構造です。

要素を削除する方法はいくつかありますが、ここでは代表的な方法を紹介します。

eraseメソッドを使用する

multisetから特定の要素を削除する最も一般的な方法は、eraseメソッドを使用することです。

このメソッドは、削除したい要素の値を引数として受け取ります。

#include <iostream>
#include <set>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {1, 2, 3, 2, 4, 2};
    // 要素2を削除
    myMultiset.erase(2);
    // 結果を表示
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

1 3 4

このコードでは、multisetからすべての2を削除しています。

eraseメソッドは、指定した値を持つすべての要素を削除します。

イテレータを使用して削除する

特定の位置にある要素を削除したい場合、イテレータを使用することもできます。

以下の例では、最初の要素を削除しています。

#include <iostream>
#include <set>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {1, 2, 3, 2, 4, 2};
    // 最初の要素を削除
    auto it = myMultiset.begin();
    myMultiset.erase(it);
    // 結果を表示
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

2 2 2 3 4

このコードでは、begin()メソッドを使って最初の要素を指すイテレータを取得し、その要素を削除しています。

条件に基づいて削除する

特定の条件に基づいて要素を削除する場合、remove_ifとeraseを組み合わせて使用することができます。

#include <iostream>
#include <set>
#include <algorithm>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {1, 2, 3, 2, 4, 2};
    // 条件に基づいて要素を削除
    for (auto it = myMultiset.begin(); it != myMultiset.end(); ) {
        if (*it == 2) {
            it = myMultiset.erase(it); // 削除した後、次の要素を指す
        } else {
            ++it; // 次の要素へ
        }
    }
    // 結果を表示
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

1 3 4

このコードでは、2という値を持つ要素をすべて削除しています。

eraseメソッドは削除した要素の次のイテレータを返すため、ループを正しく続けることができます。

削除のパフォーマンス

multisetの削除操作は、平均してO(log n)の時間複雑度を持ちます。

これは、要素がソートされた状態で保持されているため、削除時にバランスを保つ必要があるからです。

大量の要素を削除する場合は、パフォーマンスに注意が必要です。

実践例：multisetの削除操作

ここでは、multisetを使用した具体的な削除操作の実践例を示します。

例として、整数のmultisetを作成し、いくつかの要素を削除するシナリオを考えます。

基本的な削除操作

まず、基本的な削除操作を行う例を見てみましょう。

以下のコードでは、multisetに整数を追加し、特定の値を削除します。

#include <iostream>
#include <set>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {5, 3, 8, 3, 1, 4};
    std::cout << "削除前の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    // 要素3を削除
    myMultiset.erase(3);
    std::cout << "削除後の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

削除前の要素: 1 3 3 4 5 8 
削除後の要素: 1 4 5 8

この例では、multisetに3が2つ含まれているため、eraseメソッドを使用すると、すべての3が削除されます。

イテレータを使った削除

次に、イテレータを使用して特定の位置にある要素を削除する例を示します。

以下のコードでは、最初の要素を削除します。

#include <iostream>
#include <set>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {5, 3, 8, 3, 1, 4};
    std::cout << "削除前の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    // 最初の要素を削除
    auto it = myMultiset.begin();
    myMultiset.erase(it);
    std::cout << "削除後の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

削除前の要素: 1 3 3 4 5 8 
削除後の要素: 3 3 4 5 8

この例では、最初の要素である1が削除され、残りの要素が表示されます。

条件に基づく削除

最後に、条件に基づいて要素を削除する例を見てみましょう。

以下のコードでは、multisetから偶数の要素を削除します。

#include <iostream>
#include <set>
int main() {
    std::multiset<int> myMultiset = {5, 3, 8, 3, 1, 4};
    std::cout << "削除前の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    // 偶数の要素を削除
    for (auto it = myMultiset.begin(); it != myMultiset.end(); ) {
        if (*it % 2 == 0) {
            it = myMultiset.erase(it); // 削除した後、次の要素を指す
        } else {
            ++it; // 次の要素へ
        }
    }
    std::cout << "削除後の要素: ";
    for (const auto& element : myMultiset) {
        std::cout << element << " ";
    }
    std::cout << std::endl;
    return 0;
}

削除前の要素: 1 3 3 4 5 8 
削除後の要素: 1 3 3 5

この例では、8と4という偶数の要素が削除され、残りの要素が表示されます。

このように、条件に基づいて要素を削除することも可能です。

削除操作のパフォーマンスと注意点

multisetの削除操作は、データ構造の特性により、特定のパフォーマンス特性を持っています。

ここでは、削除操作のパフォーマンス、注意点、および最適化の方法について説明します。

パフォーマンス特性

時間計算量:
- multisetの削除操作は、平均してO(log n)の時間計算量を持ちます。

これは、multisetが内部的にバランスの取れた木構造(通常は赤黒木)で実装されているためです。

特定の要素を削除する場合、木の高さに比例して時間がかかります。
削除の影響:
- 削除操作は、要素の順序を維持しながら行われるため、他の要素の位置が変更されることはありません。

ただし、削除後の木のバランスを保つために再構築が行われることがあります。

注意点

重複要素の削除:
- multisetは重複を許可するため、eraseメソッドを使用すると、指定した値を持つすべての要素が削除されます。

特定のインスタンスを削除したい場合は、イテレータを使用する方法が適しています。

イテレータの無効化:
- eraseメソッドを使用すると、削除した要素のイテレータは無効になります。

削除後は、必ず新しいイテレータを取得する必要があります。

これを怠ると、未定義の動作を引き起こす可能性があります。

大量の削除:
- 大量の要素を削除する場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。

特に、条件に基づいて削除する場合は、ループ内での削除が多くなるため、注意が必要です。

最適化の方法

バッチ削除:
- 複数の要素を一度に削除する場合、条件に基づいて削除する方法を使用することで、パフォーマンスを向上させることができます。

例えば、条件に合致する要素を一時的に別のコンテナに格納し、最後に一括で削除する方法です。

データ構造の選択:
- multisetが適していない場合、他のデータ構造(例えば、unordered_multisetやvector)を検討することも重要です。

特に、削除操作が頻繁に行われる場合は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

このように、multisetの削除操作には特有のパフォーマンス特性と注意点があります。

適切に使用することで、効率的なプログラムを実現できます。

まとめ

この記事では、C++のmultisetから要素を削除する方法について詳しく解説しました。

具体的には、基本的な削除操作、イテレータを使用した削除、条件に基づく削除の実践例を通じて、削除操作のパフォーマンスや注意点についても触れました。

これらの情報を活用して、multisetを効果的に利用し、プログラムの効率を向上させることを目指してみてください。