リンカー

C言語 LNK1282エラーの原因と対策について解説

C言語の開発環境でLNK1282エラーが発生する場合、署名されたアセンブリに対して/REBASEオプションを実行したことが原因として考えられます。

エラーを解消するために、まずベースアドレスを変更してからアセンブリに署名する手順を試すとよいです。

エラーの基本情報

エラー発生の背景

C言語のプロジェクト開発時に、リンク時の設定やオプションの組み合わせにより、エラーが発生することがあります。

特に、アセンブリに署名を施す場合、署名前と署名後でファイルの状態が変更されるため、後述のような特殊なエラーが発生することが確認されています。

このエラーは、署名済みのアセンブリに対して、/REBASE オプションを適用しようとすると発生することが多く、環境設定やビルド手順の順序が影響します。

エラーメッセージの詳細

リンク時に表示されるエラーメッセージ「`/REBASE ファイルを実行できません。

署名されています」は、署名が適用されたアセンブリに対してeditbin/REBASE` オプションが実行された場合に発生します。

具体的には、以下のような状況が考えられます。

  • アセンブリがすでに署名されているため、ベースアドレスの変更処理を行えない。
  • リンカの設定やオプションの順序が不適切なため、署名済みファイルに対して不要な処理が実行される。

これにより、リンク処理が中断され、プログラムのビルドが失敗することがあります。

エラーの原因解説

署名されたアセンブリと /REBASE オプション

/REBASEオプションの影響

/REBASE オプションは、アセンブリのベースアドレスを変更するために使用されます。

ベースアドレスとは、実行ファイルがメモリ上にロードされる際の開始アドレスを示しており、複数のアセンブリが同時に走る場合のアドレス競合を回避する目的があります。

しかし、署名済みのアセンブリにこのオプションを適用すると、ファイルの内容が変更されるため、既に計算済みの署名(デジタル署名)の整合性が崩れ、エラーが発生してしまいます。

ベースアドレス変更と署名順序の問題

署名前にベースアドレスを変更する手順と、変更後に署名を施す手順を逆にしてしまうと、署名済みのアセンブリに対して再度ベースアドレスの変更が試みられる結果となります。

数式で表すと、

正しい手順:(BEFORE: Rebase)(AFTER: Sign)

となるところを、誤って

誤った手順:(BEFORE: Sign)(AFTER: Rebase)

の順序で実施すると、署名情報との不整合が生じ、エラー「LNK1282」が発生する原因となります。

リンカー設定の注意点

リンカーの設定においては、/REBASE オプションやその他のオプションの組み合わせが影響するため、設定ミスがエラーの原因となる可能性があります。

たとえば、プロジェクト全体のビルド設定や、複数の設定ファイル間でのオプションの不一致などが考えられます。

各オプションの目的や動作を正しく把握し、ビルド手順に沿った設定を確認することが重要です。

対策の具体的手順

ベースアドレス変更前の準備

必要なツールの設定確認

エラー発生を防ぐためには、まず必要なツールが正しくインストールされ、設定が適切に構成されていることを確認する必要があります。

具体的には、以下の点を確認してください。

  • editbin コマンドが利用可能なパスに存在するかを確認する。
  • プロジェクトの設定で使用されているリンカオプションが正しいかをチェックする。
  • アセンブリの署名に使用する証明書や秘密鍵の設定が正確に行われているかを確認する。

これらの準備が整っていない場合、署名前後の処理でトラブルが発生しやすくなります。

正しい署名手順の実施方法

署名前後の手順整理

正しい手順としては、まずアセンブリのベースアドレスを変更し、その後に署名を適用する流れとなります。

以下は、手順を確認するためのシンプルなサンプルコードです。

このコードは、実際に editbinsigntool を呼び出すシミュレーションとなります。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
int main(void) {
    // ベースアドレス変更のシミュレーション
    printf("Rebasing assembly at 0x00400000...\n");
    // 実際には editbin コマンドが使用されるため、system()関数で呼び出す例です
    system("editbin /REBASE:0x00400000 MyAssembly.dll");
    // 署名処理の実行
    printf("Signing the rebased assembly...\n");
    // 例として、signtool コマンドを利用する場合の呼び出し方です
    system("signtool sign /f MyCert.pfx /p password MyAssembly.dll");
    return 0;
}
Rebasing assembly at 0x00400000...
Signing the rebased assembly...

この例では、まず editbin を使用してアセンブリのベースアドレスを変更し、その後に signtool を利用して署名を実施する流れになっています。

実際のプロセスに合わせて、コマンドの引数やパラメータを調整してください。

開発環境での設定確認

リンカーオプションの調整

editbinの利用方法

editbin は、実行ファイルのヘッダー情報を編集するツールです。

署名済みアセンブリへの適用が原因となるエラーを避けるため、プロジェクトのビルド設定内でこのツールを使用するタイミングを正しく管理する必要があります。

具体的には、以下の点に注意してください。

  • editbin を実行するのは、署名を行う前の段階に限定する。
  • コマンドラインの引数として正しいオプション(例:/REBASE)を指定する。
  • 環境変数やパスの設定が正しく行われ、必要なツールが確実に呼び出せる状態になっているかを確認する。

これにより、署名済みアセンブリに対して不要な編集が加えられることを防げます。

プロジェクト設定の見直し

プロジェクト全体の設定が適切かどうかを確認することも重要です。

特に、複数のビルド構成(例:Debug、Release)が存在する場合、各構成でのリンカオプションが一致しているか、または意図した順序で実施されているかを見直してください。

以下のリストは確認すべきポイントです。

  • 各ビルド構成でのリンク順序
  • 署名前後の処理が混在していないか
  • ビルドスクリプトや自動化ツールとの連携に問題がないか

これらのポイントを再確認することで、予期しないエラーの発生を未然に防ぐことができます。

まとめ

この記事では、C言語プロジェクトで発生するLNK1282エラーの原因と対策について説明しています。

署名済みアセンブリに対して/REBASEオプションを適用してしまうことで発生する内容と、正しい手順(まずベースアドレスを変更し、その後署名を行う)を具体的なサンプルコードと共に解説しました。

また、開発環境でのリンカーオプションやプロジェクト設定の見直しの重要性にも触れ、エラー防止のためのポイントを明確にしています。

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