【C言語】usleep関数が非推奨になった理由について解説

はじめに、C言語のusleep関数が非推奨となった理由について解説します。

usleep関数は、指定された時間だけプログラムを一時停止する機能を持っています。しかし、この関数はPOSIX規格で定義されており、Windows環境では使用できません。

また、マルチスレッドアプリケーションでは正確なタイミング制御が行えず問題が発生することもあります。

そのため、代替手段としてnanosleepやselect等の関数を使用することが推奨されています。

この記事では、usleep関数について、非推奨となった理由などを詳しく解説していきます。

目次

usleep関数とは

usleep関数は、C言語で定義されている関数の一つです。この関数は、指定した時間だけプログラムを停止することができます。具体的には、マイクロ秒単位で指定した時間だけ処理を停止します。

例えば、以下のようなコードを書くことが出来ます。

#include <unistd.h>

int main() {
    usleep(1000000); // 1秒間処理を停止する
    return 0;
}

この場合、usleep関数に1000000(1秒)を渡しています。これにより、プログラムは1秒間処理を停止し、その後に次の行へ進みます。

しかし最近では、「usleep関数は非推奨」という警告が表示されるようになってきました。それではなぜusleep関数が非推奨となったのか見ていきましょう。

usleep関数が非推奨となった理由

C言語には、時間を指定して処理を一時停止するための関数があります。その中でも代表的なものがusleep関数です。しかし、最近ではこのusleep関数が非推奨とされるようになりました。

POSIX標準の変更によるもの

まず、usleep関数が非推奨とされる理由として挙げられるのは、POSIX標準の変更です。POSIX(Portable Operating System Interface)は、UNIX系OSで共通して使用されているAPI(Application Programming Interface)規格です。

POSIX.1-2001以降では、usleep関数は廃止予定とされており、nanosleep関数を使うことが推奨されています。nanosleep関数は精度やスレッドセーフ性に優れており、より高度なタイマー処理を行うことができます。

スレッドセーフではないため

また、usleep関数自体にスレッドセーフ性が無いことも問題視されています。複数スレッドから同時に呼ばれた場合に正常動作しない可能性があるためです。

これらの問題点から、現在ではusleep関数を使わず代替手段であるnanosleep等を使用することが推奨されます。

usleep関数の代替は?

usleep関数は非推奨となったため、代替手段が必要になります。代替手段としては以下のようなものがあります。

nanosleep関数

nanosleep関数は、指定された時間だけプログラムを停止することができる関数です。

引数に停止する時間を設定したstruct timespec構造体を渡し、その時間分だけプログラムを停止します。usleep関数と同じくマイクロ秒単位で指定することも可能です。

#include <time.h>

int nanosleep(const struct timespec *req, struct timespec *rem);

単純に処理を一時停止したい場合はnanoleep関数を使用するのが推奨されています。

select関数

select関数は、ファイルディスクリプターの状態変化を監視する際に使用されるシステムコールです。第2〜4引数にそれぞれ読み込み用・書き込み用・例外処理用のファイルディスクリプターセットを渡し、第5引数に待ち時間(timeout)を指定します。

#include <sys/select.h>

int select(int nfds, fd_set *readfds, fd_set *writefds,
           fd_set *exceptfds, struct timeval *timeout);

poll関数

poll関数もselect同様にファイルディスクリプターの状態変化を監視する際に使用されるシステムコールです。selectより高速であることが特徴的です。

#include <poll.h>

int poll(struct pollfd fds[], nfds_t nfds, int timeout);

これら以外でもsleepやusleep同等の処理が可能なAPIは存在しますが、上記3つは比較的一般的かつ汎用性が高いため代表的なものとして挙げました。

まとめ

C言語のusleep関数は、遅延処理を行うために使用される便利な関数でしたが、現在では非推奨となっています。

これは、POSIX標準の変更によるものやスレッドセーフではないためです。

代替手段としてnanosleep関数などが用意されています。これらを使うことで、より安全かつ正確な遅延処理を実現することができるでしょう。

目次